ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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幻妖の黒公子の「黒公子」という称号を考えてみました。

 1月10日以来、邪神の眷属の一人が、トーマ王子をモデルにした姿となり、「幻妖の黒公子」という名前で挑んできました。

 ここで不思議だったのは、「公子」という称号で~す。トーマさんは生前には王の息子である王子だったはずで~す。なぜ公爵の息子扱いなのでしょうか?

 最初に考えた説は、「何となく格好よく、呼びやすい名前にした」という、やや身も蓋もない説で~す。

 しかしこのゲームは、ガテリア皇国の皇帝の子をちゃんと「皇子」と表記しており、そういう点ではかなりこだわりを持っていま~す。

 よってこの説は早々に放棄しました。

 次に考えたのは、「グランゼドーラの王位継承権を与えないため、あえて正式な王子としての地位を与えられていなかった」というもので~す。

 トーマさんは勇者姫の影武者である偽勇者でした。勇者でない者が王位を継げないよう、王の子として認められていなかったのではないかとも考えました。アリオス王が、グランゼドーラ国王の他に、例えば「ロヴォス公爵」などを兼任していたとして、その公爵の子としての地位のみが公式に認められていたのではないかと考えたので~す。

 しかしグランゼドーラの国王としての資格は、グランゼドーラ王家の血を引いてさえいればよく、勇者の直系子孫である必要はなさそうで~す。先代勇者アルヴァンも、子孫を残した形跡がありませ~ん。

 よってこの説も放棄しました。

 そこで「大魔王軍に所属してからは、生前より階級が下がった」と考えてみました。

 「王子」と名乗らせ続けると、まるで大魔王の養子のような印象を与えてしまいま~す。そして部下たちが「大魔王様が急死したら、我々はゼルドラド元帥ではなく、あんな奴の臣下になってしまうのか」と思いはじめると、大魔王が生存しているうちから、部下たちの忠誠心は下がってしまいます。

 せめてトーマさんが大魔王軍の中でも人気者であったならば、後継者扱いしてもそうした弊害はなかったかもしれません。でも邪教祖はトーマさんに対して面従腹背でしたし、闇の従者たちも彼らの「まめちしき2」によれば、トーマさんの指揮を受けるのが嫌で嫌で仕方なかったようで~す。

 しかも大魔王本人からして、偽グランゼドーラ王国に正式な国家元首が誕生することを嫌がっていたようで~す。それは魔勇者に対し、偽グランゼドーラ王国の支配権を与えながら、あえて王位までは与えなかったことからも明らかで~す。

 よって「王子という称号が大魔王の養子だと部下に誤解されるのが怖いなら、懇切丁寧に部下に『あれはグランゼドーラの王位継承権のみを指すのだ』と説明すればいいではないか」という反論は、成り立ちませ~ん。

 以上により大魔王は、同輩や部下から嫌われていて自分も既得権をあまり与えたくなかったこの新参者に、最初は「黒仮面」という称号を与え、古き神の遺跡の戦いで彼が仮面を失ってからは「黒王子」ではなく「黒公子」という称号を与えたのだと思われま~す。

 この説の唯一の弱点は、幻妖の黒公子の「まめちしき1」にある「挑戦者の記憶から戦いづらい相手の姿を再現するらしい」という記述で~す。

 多くの幻影的な強ボスたちが過去に実在した強敵自体のコピーであるのに対し、幻妖の黒公子はあくまで挑戦者の記憶からの孫引きなので~す。そして上に書いたような大魔王軍の裏事情が仮に本当にあったとしても、星月夜の記憶にはそうした情報はありませ~ん。

 この弱点に再反論する場合、以下の二つの論法が考えられます。

 第一には、このまめちしき1の文章が「らしい」という曖昧な言葉で締めくくられているので、確定情報ではないということで~す。

 第二には、確定情報だったとしても、「一緒にいた他の挑戦者の記憶には黒公子という称号についての知識が存在していた」と脳内補完することが可能だというもので~す。実際には他の挑戦者もまた自分と同じ物語を見てきたゲームプレイヤーなのでしょうが、物語の中では、勇者の盟友は自分一人であり、他の冒険者は別の冒険を続けてきた他人なのですから。

(以下、追記)

 本文中のビャン・ダオ皇子に続き、国王の後継者を「皇太子」ではなく「王太子」と表記している場面が、後に発表されたアスフェルド学園のメインストーリー中に登場しました*1

 こういう点では、世襲の元首の後継者なら誰でも彼でも「皇太子」にしてしまうジパングのマスコミなんかよりも、ずっとこだわりがあるゲームだということが、ますますはっきりしました。

 これにより、最初に放棄した「何となく格好よく、呼びやすい名前にした」説が正解である可能性は一層低下し、他の説が正解である可能性が微増したといえま~す。