ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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電網虚仮、世間是真?

 地球人がアストルティアなどのネット上の仮想空間に己の化身を垂迹させ、そこでの活動に懸命になると、必ず馬鹿にする隣人があらわれて賢しらな忠告をしてきま~す。

 「そこは虚構の世界だ。そこでいくら活動しようとも、現実世界では何の利益もないぞ。早く目を覚まして戻ってきなさい」とか。

 でもほんの少し前まで、そして一部では今でも、その「現実」と称する地球世界もまた同じような扱いを受けていたのですよ。

 例えば仏教からは、「閻浮提は仮の世界であり、そこでいくら栄達しようとも風の前の塵のようなものだ。早く目を覚まして死後の真の世界のことを考えなさい」と地球世界は誹謗されていました。

 そして地球の虚妄さに気づいて目覚めた人は、「仏陀」(サンスクリット語で「目覚めた人」の意)として尊ばれました。

 だからこの「仏陀」という単語は、現代語に意訳するとまさに「リア充」なんですよ。「非リアル」として蔑まされている場所がほんの少し違うだけで、発想は完全に同じなので~す。

 この精神を一言で表現したのが、聖徳太子の発言とされる「世間虚仮、唯仏是真」で~す。

 『新約聖書』にも似たような訓戒がありま~す。ルカ福音書第12章では、地上で大量の財産を貯えて安心しきったけれどもそれを使う前に急死してしまったという愚かな金持ちが登場します。

 こうした宗教の「世間虚仮」の発想は、唯物論者にとっても大切な遺産で~す。地球なんていつ終わるか知れたものではないですし、地球が終わらなくても自身がいつ交通事故でBANされるか知れたものではありません。命に別状がない普段の生活においてすら、貯えた貨幣も株式も価値が刻々と変化しているので、まさに諸行無常ですね。

 地球もアストルティアも所詮は一炊の夢。だから他者がどの世界で頑張ろうとも他者の勝手。「自分が絶対だと信じている世界の価値を異世界に生きる者に押しつけるなーっ!」と星月夜は言いたいで~す。

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ティア充「その妖精の国はイベント期間だけの虚構世界。そのスライムの姿はあなたの仮の姿。そこで経験値をいくら稼いでも、現実のアストルティアにはフィードバックされません。だからボスを倒したらさっさと戻ってきなさ~い!」

キングスライム&ザイル「うるせー!」