1.マーズフェイスとは
「マーズフェイス」という球形のモンスターがいま~す。「まめちしき1」によると、隕石に意思が宿ったもののようで~す。
地球で「マーズ」といったら、エジンベア方言で、ロマリアの軍神マールスを意味し、天文がからむと第四惑星の火星を意味しま~す。
「まめちしき2」によるとマーズフェイスはタコメットに愛着を感じているらしく、これはかつての地球で、「火星にはタコ型の知的生命が多い」という仮説が存在していたことへのオマージュであると思われま~す。
2.「マーズは惑星」説の検証
ではアストルティアの付近でも「マーズ」の名を冠した同格の赤い惑星があって、マーズフェイスはそれになぞらえて命名されたのでしょうか?
星月夜はそうではないと考えていま~す。そもそもアストルティアの周囲には、アストルティアと同格の惑星は存在しないと考えているからで~す。
まず夜空を観測しても、惑星のような特殊な動きをする星は存在しません。それどころか、そもそも太陽と月以外の星は動いていません。
よってアストルティアの太陽には、他に惑星と呼べるような星は存在しない可能性が高いで~す。仮に存在したとしても、観測できないほど小さかったり、あるいは色が漆黒だったりするのでしょうから、どちらにしろマーズフェイスの名称の元ネタになるような火星のような色と大きさの惑星は存在しませ~ん。
また夜空の星々が微動だにしないということは、アストルティアは自転しておらず、72分周期の昼夜は、アストルティアの自転によってもたらされているのではなく、太陽がアストルティアの周囲を公転することによってもたらされていると考えられま~す。
つまりアストルティアの太陽は、アストルティアと比較してかなり質量が低いということになりま~す。そのような質量の星に仮に惑星があったとしても、それはかなり卑小な存在だということになりま~す。
「白夜」について考察した記事で、「アストルティアは144時間周期で南北にバウンドしている」と書きましたが、これも「太陽は144時間周期で南北にバウンドしている」と書いたほうが、意味は同じですが、天体現象の表現としてより適切であったかもしれませ~ん。
観測結果のみならず、語られた公式設定からも、以上の世界観は裏づけられま~す。
『アストルティア創世記』の20ページには「ルティアナが光を生み出して虚空を照らすと、空間に漂う混沌とした塵芥がみるみる寄り集まって大地が生まれる。創生の力を授かったルティアナの光がもたらす奇跡だった。大地を照らしだす光はそのまま太陽となり、大地を成した塵芥の余りが寄り集まって月となった。太陽と月はそれぞれに大地の周りを巡りだして、ひとつの世界を成したという」と書かれていま~す。
3.「マーズは天文と無関係」説の検証
では、「マーズフェイス」の名は、天文と一切関係がなく、単に「軍神マールスの顔と似ているから」という不敬な理由から名付けられたのでしょうか?
しかし、これはこれで暴論に近いですね。マーズフェイスと類似した立場で同じような姿と顔をしていて色だけが違う「デスマーキュリー」なんていうモンスターもいるのですから、マールスやメリクリウスはそれぞれのモンスターと直接の強い類似性を持った元ネタというよりかは、元ネタである天文現象のそのまた元ネタと考えるほうがよさそうで~す。
4.「マーズは赤い時期の月」説
4-1.モンスター格闘場に謎を解くカギ
ここで、この謎を解く最大のカギを紹介しま~す。
モンスター格闘場の敵パーティには、「死兆のブラッドムーンズ」という連中がいま~す。構成は「マーズフェイスA」・「なげきムーン」・「マーズフェイスB」・「ダークプラネット」の四体で~す。
このうち、「ブラッド」の形容に値する色をしているのは、マーズフェイスだけなので~す。
よって「マーズフェイス」は、「ムーン」と称してもそうおかしくはない立場なのでしょう。
こう考えると、アストルティアにおける天文用語としての「マーズ」とは、「火星」ではなく「赤い時期の月」を意味している可能性が非常に高いことになりま~す。
4-2.モガレの洞窟でもその証拠を発見
これを裏づける別の証拠もありま~す。
バトルマスターの職業クエスト「月光の花摘み」では、「白い月光の花」・「赤い月光の花」・「青い月光の花」が、ほぼ同格の存在として登場していました。
つまりアストルティアの常識では、月光には白・赤・青の三種類(以上)があり、白が一番標準的であるが、赤や青の月光もありえないほどの異常事態ではないということになりま~す。
4-3.神話篇と月世界の総合解釈で裏付け
バージョン1.3から1.5の時期には、災厄の王のせいで月はずっと赤かったそうですが、それを問題視するNPCはほとんどいなかったそうで~す。またその後、月世界の都やムーンキャロット王国に行っても、「ちょっと前に月が赤くなった時も、かなり驚いた」などと主張するNPCは一人もいませんでした。
災厄の王の復活は5000年に一度ぐらいの大事件ですが、その影響で発生した「赤い月」現象のほうは、それほど珍しくもなかったようで~す。
5.結論
以上の諸設定を勘案するに、「アストルティアでは、神々の名を借用して、赤い時期の月を「マーズ」、青い時期の月を「マーキュリー」と呼び、それらになぞらえて「マーズフェイス」や「デスマーキュリー」というモンスターの名称が考案された」と考えるのが、一番整合性があるのではないかと星月夜は思いま~す。
6.要約
長くなったので、以下に全体の主張を簡略化してまとめておきま~す。
※夜空の星々が動かないことや『アストルティア創世記』の記述からみて、アストルティアの太陽は、アストルティアの周囲を公転する質量の低い光源である。
※よってアストルティアには、地球にとっての火星に匹敵する惑星は存在しない。
※格闘場の敵パーティ名から考えるに、マーズフェイスの元ネタは火星ではなく月。
※1.3~1.5時代の月の色へのNPCの反応と、花の名前から考えるに、赤い月や青い月は極端に珍しいわけではない。
※以上の設定から考えるに、アストルティアにおける「マーズ」・「マーキュリー」とは、それぞれ赤い月と青い月とを意味する天文用語である可能性が高い。
(以下、2022年9月7日追記)
6.2で地球と同じ太陽系に所属する土星にそっくりの星の模型をあしらった「サターンロッド」が登場したので、マーズやマーキュリーも月とは別のサターンのような星である可能性が高まり、本稿の結論が正解である可能性は若干低下しました。
なお本稿は非常に読みにくかったので、この機に章立てをしておきました。
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