1.問題
今回の問題のテーマは、「マローネがファラスを時渡りさせるとき、空間的にも時間的にも大幅なズレを作ってしまった理由」で~す。
記事中には星月夜の独創の部分もありますが、結論の中心部分は完全に相互フォロワー「おにぎり」さんの説で~す。
本稿を書いた動機も、「おにぎり」さんの説をより広めたいというもので~す。
2.4.5以降、安易な回答には無理がある
この問題の説明づけについて、「その程度の誤差は自然」とか「それが彼女の能力の限界」という回答も、マローネによるファラスの時渡りの事績が抽象的な形でのみ明らかになった4.4のムービー「ファラスは語る」の時点*1では、まだギリギリ許されたかもしれませ~ん。
しかし4.5の時獄の迷宮*2で見た再現映像「時渡りの暴走」以降では、そういう安易な回答には無理があるので~す。
このムービーでは、マローネはまずは自分で赤子を追おうとしていました。でもファラスが呪いを覚悟で時渡りを望んだので、自身が時渡りをするよりファラスを時渡りさせるほうがよいと判断して、ファラスのほうを飛ばしていました。
ここで映像で明かされた具体的な状況を踏まえ、赤子を救出しにいくのが誰であるべきなのかについて、簡単な利害の比較をしてみましょう。
※着時点の微修正能力 マローネ優勢
もしたどり着いた時代が赤子の着いた時代と相当ズレていた場合、マローネなら体力を回復したあとで多少の微修正が可能であるかもしれませ~ん。
ファラスでは自力では微修正できませ~ん。
※呪い マローネ優勢
マローネ本人の時渡りには呪いという副作用がありませ~ん。
ファラスには強力な呪いがかかりま~す。
※親子 マローネ優勢
マローネが赤子と会えれば、親子で暮らせま~す。
ファラスが運よく赤子と会えても、その赤子は親の下で成長できませ~ん。
※残された者の安否 マローネ優勢
マローネがファラスを宮殿に置き去りにしても、ファラスの戦闘力なら生き延びることができたかもしれませ~ん。
ファラスがマローネを宮殿に置き去りにすると、マローネはほぼ間違いなく異形獣に殺されま~す。
※赤子の成長後 マローネ優勢
マローネが赤子を救いに行き、やがて本人が自在に時渡りをできるところまで育てれば、二人そろってエテーネ王国に帰還できるかもしれませ~ん。
ファラスの場合はファラスだけ未来に置き去りで~す。
※赤子の護り手としての戦闘力 ファラス優勢
もしも5000年後の世界が極めて危険な世界だった場合、マローネだけで赤子を守り切れるかどうか心配で~す。
でもファラスなら何とかなるかもしれませんね。
いかがでしょう。マローネのほうが時渡りをしたほうがいい理由が5点あるのに対し、ファラスのほうが時渡りをしたほうがいい理由がわずか1点で~す。
こうなるとせめて「ファラスを飛ばしたときのマローネには、自分なら極めて正確に赤子の跡を追えるので、跳躍後の微修正のための能力なんて考慮する必要がない、という確固とした自信があった」とでも考えなければ、自分ではなくファラスを飛ばした件の説明がまったくつきませんよね。
それでもまだマローネの4勝1敗1引き分けですが、5勝1敗よりはマシになりま~す。
3.「頭が悪そうに見えたファラス」という伏線
ファラスは記憶を取り戻して自分が守るべき対象の赤子の名前を思い出したあとでも、同名の主人公を中々その同一人物とは認めませんでした。
ムービー「ファラスは語る」で主人公に時渡りの能力があると教わったあとですら、「ひょっとしたら同一人物かもしれない」程度の扱いをしてきました。
「あの日の思い出」*3で読める手記を書いた時点では同一人物だと「確信」していたようでしたが、名前や能力の他に、現代で見聞した事物や行動をともにしたときの主人公の心根などを総合的に考慮し、やっと確信にいたったようでした。
当時は異常に頭が固くかつ鈍い男に見えました。
しかし過去のマローネの実績から、「先に跳躍した者の痕跡という手がかりがあるような時渡りで、マローネ様が10年以上ものズレを生じさせるはずがない」と頭から信じ切っていた場合は、むしろ正常で慎重な反応で~す。
同一人物だと確信したときですら、内心では「自分はほぼ正確に飛ばしてもらえたが、その直後に呪いでさらに約15年飛ばされた」とか「自分はほぼ正確に飛ばしてもらえたが、その直後に赤子が自力で約15年巻き戻った」といった仮説でも立てて無理矢理納得していただけなのかもしれませ~ん。
4.ではなぜズレたのか? おにぎりさん説の紹介
では利害得失の観点からの常識的な推論においても、同時代を生きていた人物からの評価でも、ほとんどズレの生じる余地のないマローネの時渡りが、なぜ空間的にはレンダーシアの直径の約半分ものズレを生み、さらには時間的にも10年以上ものズレを生んでしまったのでしょうか?
この問題の完璧な回答が、前述の「おにぎり」さんの説で~す。
これは空間も時間もズレたという困難な問題が、逆に説の正しさを証明しているという、すごい説なので~す。
マローネがファラスを飛ばして赤子を追わせたとき、時代と位置のヒントになったのは少し前に時渡りをした赤子の痕跡でした。
その赤子はやがて成長して5000年前の世界に舞い戻り、4.0終盤では自分が赤子時代に過去に飛んだのと同日のほぼ同刻に、エテーネ王宮の少し下方の空中からまた現代のグランゼドーラの「勇者の橋」の上に時渡りをしました*4。
この着地点はムービーで念を押されていま~す。詳細はおにぎりさんのこのツイートをご覧くださ~い。
そしてファラスが飛ばされたのは、4.1終盤の勇者の橋の上でした。
つまりマローネは「先ほどエテーネ王宮付近の空間から未来に旅立った自分の子」の時渡りの痕跡をたどろうとして、成長したほうの子の時渡りの痕跡をたどってしまったのでしょう。この説はおにぎりさんのこのツイートにありま~す。
これならば空間的なズレはゼロ。時間的なズレも4.0終盤から4.1終盤までであり、かなり小さなもので~す。
5.キュルルの個体識別能力の傾向という証拠も
さらにこの説を補強する証拠を探したところ、この世界における時渡りの元祖であるキュレクスの分身のキュルルが、4.0時代のメレアーデと猫に変身できるようになったあとのメレアーデの識別に苦労していたことを思い出しました。
キュレクスと同等の能力の存在であるキュルルがこうなのですから、同じくキュレクスからレトリウスを経由してエテーネ王家に受け継がれた能力にも、この種の傾向がつきまとっていた可能性が高いで~す。
またこの生体継続時間を軽視して同一人物だと見抜けてしまう立場が逆によい方向に作用した例もありま~す。4.5の時獄の迷宮のムービー「カメさまの申し子」中でパドレに自分の子と目の前の冒険者が同一人物であると認定して、すぐにそれを信じてもらえたという件で~す。
あの一般論としては不自然な即座の信頼から考えるに、エテーネ王族のパドレの常識として「時の妖精の同一人物認定に間違いはない」というものがあったのでしょう。さらにはこっそり自分でもその能力を発動させて裏を取った可能性も考えられますね~。
だから「時渡りのチカラで他人の痕跡をたどろうとすると、同時代に二重に存在する同一人物の識別が困難である。その反射的効果として、年齢が違っていても同一人物だと認定するのは容易である」という設定があった可能性が非常に高いので~す。