ほしづくよのドラゴンクエストX日記

画像は原則として株式会社スクウェア・エニックスさんにも著作権があるので転載しないで下さ~い。 初めてのかたには「傑作選」(https://hoshizukuyo.hatenablog.com/archive/category/傑作選)がオススメで~す。 コメントの掲載には時間がかかることも多いで~す。 無記名コメントは内容が優れていても不掲載としま~す。

木工職人の評判がカンストして生きる伝説となりました。これにて全職人で生きる伝説となり、全ギルド装備もコンプリートしました。

 木工職人の評判がカンストし、生きる伝説となりました。「伝説の木工職人」の称号も得ました。

 そしてこれにて全職人で生きる伝説となりました。

 これを機に歴史を振り返ってみました。

伝説の防具鍛冶職人

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 最初は防具鍛冶だけやっていました。

伝説の道具鍛冶職人

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 2019年初夏に「全職人の装備とクエストを制覇するぞ!」と決め*1、まず手を出したのが道具鍛冶でした。

伝説の武器鍛冶職人

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 そのまま鍛冶系制覇を目指して武器鍛冶職人になりました。

伝説のさいほう職人

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 鍛冶の次にさいほうを選んだことには深い理由はなく、同様の目標を目指している並行キャラとギルドを交換すれば素材が無駄にならないと考えたからでした。

 このさいほうから先は全部一度は別のキャラで極めた職人であったので、徐々にブーストがかかりました。

伝説のランプ錬金職人

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 次は錬金系。

伝説のツボ錬金職人

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 錬金系制覇。

伝説の調理職人

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 さいほうになったときには同等の歩みであった並行キャラに、この時点でギルド一つ分差をつけられてしまいました。

 これではいけないと思い、ブーストをかけました。

伝説の木工職人

 木工は学園でも部活に選ぶほど大好きだったので*2、伝説の調理職人からわずか半月でここまでこれました。やっぱりエルフといえば木工で~す。

 もちろん同時に木工職人装備をコンプリートしました。

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 これにより全ギルドの装備もコンプリートとなりました。

 しかしこの「全ギルド装備コンプリート」と「全職人装備コンプリート」とは微妙に異なり、「全職人装備コンプリート」には実はまだもう一歩で~す。

 前述のとおり「全職人の装備とクエストを制覇するぞ!」と決めたのが2019年の初夏だったのですが、同年2019年10月24日にレベル66~70解放クエスト「とても刺激的な解放」が配信されたのをすっかり無視していました。

 このため「工匠神のむねあて」・「工匠神の前かけ」が未入手なので~す。

洞窟から見える雨の問題点

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 雨の日にロヴォス高地の清めの洞くつにいきました。

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 すると奥のほうの吹き抜けでは雨が降っていないかのように見えました。

 「雨はやんだのかな、それとも雨雲の切れ目が途中の道の真上にあったのかな?」とか思いました。

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 しかし吹き抜けの部分の真下まで移動すると、突然雨が見えるようになりました。

 そこで「小さな水滴は接近しないと見えないのかな?」と思いました。

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 しかし洞窟内で恒常的に垂れている雫は、相当遠くからでも見えました。

 どうやら冒険者本人が雨に当たる状態になると、遠くでも雨が降っているように見える」という単純なシステムのせいでこうした怪現象が起きていたようで~す。残念。

 この怪現象は「偶然の結果として、主人公が吹き抜けの真下まで移動するたびに雨が降り始める」と言い張れば、天文学的に低い確率とはいえそういうことも起きなくもないでしょうから、一応弁解の理屈になりま~す。

 また「どこまで移動すればルーラをしても天井に頭をぶつけないのか?」の判断をするのには最適で~す。ゲームにリアリティより効率を求める人は、むしろこの怪現象を歓迎することでしょう。

 だからさすがに提案広場に乗り込んだりはしませ~ん。

 でもやっぱり個人的には、「どちらかといえば修正してほしい」問題で~す。

木工職人のレベル46~50解放クエスト「立ちこめる暗雲」をクリア。エルフの成人年齢も判明!

 木工職人のレベル46~50解放クエスト「立ちこめる暗雲」を受注しました。課題は★★のマポレーナステッキで~す。

 前々回のレベル36~40解放クエスト「祖父から受け継いだ宝」では、このマポレーナステッキと同じくレベル35から装備できて「燃え木」のまてきのスティックの★★を作らされたもので~す*1。今回はその「燃え木」が「木目変化」ですんだわけですから、前々回よりかえって簡単になっている気がしま~す。こんな楽な課題でいいのかな~?

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 10本の依頼だったのにシズヤのミスで1本しか届かなかったというトラブルもありましたが、マスター・カンナが大急ぎで9本作ったのでこの問題は解決しました。

 でもそこへカンナの母のカナノコが入ってきて、好きにしていいのは成人になる20歳までだったという約束を持ち出して、カンナに引退を迫りました。カンナは次のマスターを決めるまでさらにもう少し待ってほしいと頼み、了承されました。

 こうしてエルフでは20歳が成人年齢だとこれで判明しました。これは重要な世界観設定なので暗記しておきましょう。

バザーで買えるプリズム全9種をコンプリート & 今後余分に入手した場合の使い道について

 星月夜は別キャラと合わせると、過去4回スペシャルふくびきで1等を当ててきました。

 ただしその4回というのはゲームを開始した直後に集中しておりまして、その当時はそれが幸運だとも知らず、「ふくびきで入手できるドルボードは全部ふくびきで集めよう」という果てしない計画を立ててしまっていました。

 でも、その後は約5年間スペシャルふくびきで1等が出ませんでした。

 最近になって確率を調べたら5年間1等が出ないことのほうが普通だとわかりました。

 また「超おたから花」から宝石のプリズムが出るという話を信じてかなり熱心に栽培していましたが、そろそろ飽きてきました。

 そこで計画を変更して金でプリズムを買い集めることにしました。

 これにより、バザーで買えるプリズムはコンプリートできました。別キャラも公平にコンプリートさせました。

 今後もしも超おたから花やスペシャルふくびきで高価なプリズムを入手した場合は、今までお世話になってきたかたがたへのご恩返しの贈呈品として使おうと思いま~す。「恩の大きな順」とすると序列づけが難しいので、強い恩を感じている数名からアミダクジで対象を選んでいきま~す。

 以下、バザーでの並び順に従って紹介していきま~す。

※ダイヤモンドプリズム

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 490万ゴールド。

※ルビープリズム

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 445万ゴールド。

サファイアプリズム

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 前にスペシャルふくびきで入手しました*1

※ドルフラワープリズム

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 前に交換屋からもらいました*2

※れんごく天馬プリズム

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 530万ゴールド。

※砂塵の幻馬プリズム

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 前に交換屋からもらいました*3

サイドカーDXプリズム

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 前にスペシャルふくびきで入手しました*4

※スライムカープリズム

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 約632万ゴールド。

※マシンボードプリズム

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 前に安く買いました*5

夕月夜の読書メモ ホッブズ著『リヴァイアサン』第3部・第4部 & そして明らかになるブルラトスとミナデインの意味

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第3部 キリスト教のコモン-ウェルスについて

3-32 キリスト教政治学の諸原理について

 キリストもいっているように、奇蹟をおこなう偽預言者というものも存在する。だから予言者と偽預言者の区別は難しい。しかも近年では奇蹟自体が起きていない。

 よってキリスト教は聖書の記述にだけ頼って理解されるべきである。

3-33 聖書の諸篇の数、ふるさ、意図、権威、および解釈者たちについて

 現在伝わる聖書は、編纂時期がローマ帝政期であったにしては内容がローマ皇帝に媚びていないので、信頼できる。

 聖書を公的に権威づけられるのは主権者だけである。ここで、キリスト教世界には教皇を頂点とする一つの国家があるのか、それとも教皇とは別に複数の国家とそれらの主権者があるのかが、問題となる。

3-34 聖書の諸篇における、霊、天使、および霊感の意義について

 これらの単語は聖書の中で多義的に使われているので、それらを整理した章。

 聖書解釈に当たっては、「宇宙に存在するものはすべて物質であり、それ以外のものを人が感じ取ったとすればそれは幻影である」という世界観が前提となっている。

3-35 聖書における、神の王国、神聖な、神にささげられた、および聖礼の意味について

 聖書において「神の王国」が比喩として使われることは少ないとして、これを政治的な意味での国と解釈し、それを前提に他の関連用語も解釈した章。

3-36 神のことばについて、および予言者たちについて

 自称予言者が本当に神の使いなのかの判断は困難であるが、国家設立後は主権者に判断の権利があるので個々人は判断しなくていいし、してはならない。

暁月夜「神の諸法が主権者より格上といっても、こうしてその取捨選択や解釈権まで主権者が握ってしまうと、結局は主権者が好き放題できそうだな」

夕月夜「その好き放題こそが、当時はどちらかというと宗教家から世俗の人々を救うと期待されていたんでしょうね」

3-37 諸奇蹟とそれらの効用について

 何が神の奇蹟であるのかの判定は曖昧である。異教の魔術師が似たようなことをした例もある。

 そこでこれも主権者が一元的に判断すべきである。

3-38 聖書における、永遠の生命、地獄、救済、来世、および贖罪の意味について

 これらの語について、何がどう比喩であり、何が比喩でないのかにつき、個人的な見解を語った章。

 あくまで個人的な見解であり、将来イギリスにおいて主権者があらわれたのちは、その教義の決定に従うことも匂わせている。

3-39 聖書における教会という語の意味について

 教会もまた一個の人格であり、現世的政府である。

 世俗国家と教会の二重統治体制などあってはならず、単一の主権者に帰服しなければならない。

3-40 アブラハム、モーシェ、祭祀長たち、およびユダ人の王たちにおける、神の王国の諸権利について

 『旧約聖書』に登場する国における「主権」を著者の理論に基づいて解釈し、やはり主権者に宗教的権限も集中しているのが正しいと主張している。

3-41 われわれの祝福された救世主の職務について

 キリストは将来的には支配者として再来するが、一世紀においては当時の主権者に背かない範囲で布教をしたと主張している。

3-42 教会権力について

 キリスト自身ですら主権者には背かず、また使徒たちが不信心者の王にも真心を込めて従うよう教えているのであるから、教会の権力とは単にキリスト教を布教するだけのものである。

 主権者が「キリスト教を信じるな」と命じてきても、信仰は内面的なものであるので、どうせそんな命令は無意味である。主権者が「キリスト教を信じない」と口で言えと命じてきたら、その外形的命令に従って内面で信仰を続ければいいのである。

 この章の後半では、当時の有力な論客を延々と批判している。

夕月夜「こういう「信仰なんて所詮内面の問題でしょ」というのはキリスト教、とりわけ多くのプロテスタントに有利な発想なので、その発想に基づいた法体系を問題視する声は世界中で起きているのよね」

暁月夜「うむ、「10メートル以上の高さのルビス神殿で毎年礼拝をしなかった者は地獄で永久に苦しむ」と固く信じている者にとって、「ルビス神殿の高さは9メートルまで」なんていう建築基準法は酷だよな。しかし「ばくだんいしで異教徒を10人以上殺さなかった者は、煉獄で2時間の研修を受けてからでないと天国に行けない」という信仰者に自由に10人殺させてやるわけにもいかない」

夕月夜「それで結局は程度問題になるわけだけど、その「程度」を判断するのは究極的にはそれぞれの国の主権者の嗜好による裁量なのよね」

3-43 人が天の王国に受容されるために必要なものごとについて

 人と神の両方に従うのは困難であるという主張は内乱の口実に使われるが、キリスト教の救済は「イエスはキリストである」と信じるだけで十分なので、政治的主権者への服従キリスト教の信仰が矛盾することはない。

夕月夜「やはりこのあたりは西ヨーロッパのローカルルールという感が強いわね。継受は慎重にすべきだわ」

第4部 暗黒の王国

4-44 聖書の間違った解釈からくる霊的暗黒について

 これまで証明したように、聖書で語られる神の王国というのは、キリストの再来後に地上に成立するものである。

 これを「現代の教会」であると間違って解釈したことで、政治権力と教会とが二重支配をする事態を許容してしまってきたが、それは改めるべきである。

 人が死ぬと「魂」のような思考回路も同時に消える。キリスト再来時の死者の復活とは、魂とやらの肉体への復帰ではなく、かつて無生物からアダムが作られたのと同じようなシステムによるのであろう。

 だからカトリックの教義にある、魂を浄化する場である「煉獄」なんてものは存在しない。

4-45 魔物学およびその他の異邦人の宗教の遺物について

 この世に存在するものはすべて物質であるという立場から、魔物の存在を否定する。

 そして聖書が禁止している偶像崇拝の精密な定義をしている。

4-46 空虚な哲学および架空のいいつたえから生じた暗黒について

 プラトンの学校の入学資格が幾何学であったことからもわかるように、哲学をするなら幾何学ができなければならない。

 ギリシア人の哲学の学校は主権者を無視して善悪を定め、主権者を圧制者呼ばわりしたので、世を乱した。

 今、アリストテレスの哲学が神学を汚染している。

4-47 そのような暗黒からでる利得について、およびそれがだれに帰属するか

 カトリック教会は破門を怖がらせて二重支配をして儲けている。破門を怖がらなければ大した脅威ではない。

 ヘンリ八世とエリザベス女王の尽力でカトリック教会はイングランドから去り、今では日本とかで布教しているらしい。連中の捲土重来の可能性を怖れるべし。

夕月夜「その後、ホッブズを家庭教師として育ったチャールズ二世が国王大権でカトリック教徒を保護し、公務員全員に国教を強制しようとする議会と対立したのは、歴史の皮肉である」

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読後感想会で考えたブルラトスとミナデインの意味

星月夜「長かったけどこれでわかったでしょう? 滅星の邪園に行くための手段がなぜブルラトスだった*1のかが」

暁月夜「うむ。まず魔界ではゴダ以来世俗権力が発達したものの、ジャゴヌバが大魔王選出に介入したり、アストルティア遠征をせざるをえない精神世界を作りだしてきた。この状況は教会が世俗権力に介入したり「聖地」奪還の十字軍戦争を煽ったりした中世ヨーロッパの状況に似ている。大審門関連の考察記事でもその類似性が指摘されていたしな。ホッブズが魔界にいたらきっと何とかしたいと思っただろう」

夕月夜「そこでヴァルザードとジャディンはジャゴヌバに対抗する唯一の手段として、地球の海の怪物リヴァイアサンに似た海魔獣ブルラトスを創造して育て始めたわけですね。しかしヘンリ八世時代の主権国家がまだよちよち歩きだったように、ブルラトスも当時は稚魚であり、その後もジャゴヌバに狂わされたりしたわけですね」

星月夜「やがて、ジャゴヌバの認定ではなく有力者たちからの承認という契約で即位した大魔王が出現し、ブルラトスプロジェクトを引き継ぎました。さらにそこに「力の大半を失い、皆で祈ることを煽るのが最大の能」という立場のルティアナが加わったわけで~す」

暁月夜「ホッブズが目指した真の主権者と「きれいな教会」のコンビだな」

夕月夜「最後には一人一人ではほぼ無力な一般人までが、主権者である大魔王も認めたその国教の権威の下で「ジャゴヌバなんかより大魔王に勝ってほしい」と祈り、その結果がミナデイン*2だったわけですね」

星月夜「まさにこのミナデインこそが、ジャゴヌバの影響力行使を終わらせた社会契約のチカラだったのよ~。つまり5thディスクとは、一言でいうと『リヴァイアサン』だったというわけ」

夕月夜の読後感想会後感想

夕月夜「姉のブログを乗っ取ったつもりでいたのに、いつのまにか数ある考察記事の一本にされてしまいました。これが主権者の底力でしょうかね~。何とか捲土重来したいで~す」

夕月夜の読書メモ ホッブズ著『リヴァイアサン』第2部

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第2部 コモン-ウェルスについて

夕月夜「「コモン-ウェルス」って、書くのが面倒なのと序章で著者自身が別名として「ステート」を挙げているので、このメモでは目次以外では主に「国家」と書いておきますね。その原初的なものを意味するときは「共同体」とか書くかも」

2-17 コモン-ウェルスの諸原因、発生、定義について

 自然法(要約すると、自分がしてもらいたいことを他人にすること)が守られるには権力が必要だ。

 成員全員が互いに、一人または一組織を全員の代表と認め主権者権力を与えることで、国家という可死の神(リヴァイアサン)が誕生する。

 自分たちの子孫や敵を屈服させるケースもあれば、協約によるケースもあり、まずは協約タイプから語る。

暁月夜「15章では白銀律だった自然法が、ここでは黄金律になっているぞ」

夕月夜「実は本人もあんまりこの点は深く考えてなかったのかもね」

暁月夜「バラバラの戦争状態の個人が一気に国を作るケースと、そんな国が他者を征服して拡大するケースの二種類ってのは、いくら社会契約論が個人を重視するものだといっても単純すぎるな。小さな共同体から長として認められた諸豪族同士がさらに契約をして大国や連邦を作るというようなケースも考察すべきなんじゃないのか?」

夕月夜「1086年のソールズベリー大会議で、イングランドでは陪臣も国王に忠誠を誓わされたのよ。これは「臣下の臣下は臣下でない」が常識のヨーロッパの封建制と比較して非常に珍しい現象なのよね。ひょっとしたらこの地域的伝統がすべての人間が一度に主権者に従う契約をするという社会契約の原型として、ホッブズに多少の影響を与えたのかもね(単なる個人的妄想ですのでご注意)

暁月夜「すごく古いな~。なんかもっとこの『リヴァイアサン』の初版である1651年から見て近過去の事件はないのかよ?」

夕月夜「イングランド関連では、1620年にイングランドニューイングランド着のメイフラワー号の船内でかの有名な「メイフラワー号契約」が結ばれているわ~。さらにホッブズにとっては敵であるオリバー・クロムウェル率いるイングランド共和国が、1650年1月1日までにイングランドの18歳以上の成人男子全員「共和国臣従契約」へ署名するよう求めたらしいのよね。敵の手口とはいえ、多少の影響があるかもね(単なる個人的妄想ですのでご注意)

2-18 設立による主権者の諸権利について

 いったん協約して自分たちの人格を担う者を決めたのであるから、臣民があとから主権者を廃したり批判したりするのは非合法である。主権者を決める議論で少数派だった者も、議論に加わった時点で多数派に従うという黙示の同意をしている。

 そして国政であれ学問であれ、「何が正しいのか」は主権者が決める。

 またこれらの権力は分割されてはならない。

 こういう強大な権力による弊害もあるが、内乱の弊害よりマシなのだ。

2-19 設立によるコモン-ウェルスのいくつかの種類について、および主権者権力の継承について

 主権者の数は、「一名」・「数名」・「全員」の三種類がある。

 主権者が複数だと会議の出席者の変動のせいで朝令暮改がおきやすい。だから主権者が一名の君主制が一番いい。

 しかし君主制にも弱点があり、承継がしっかりしていないと君主の死ごとに戦争状態に逆戻りである。君主本人が承継相手を決める権利を握っておくべし。

暁月夜「これは異論があるな。主権者が一名でも、加齢による趣味嗜好の変化や、その日の気分で、朝令暮改は起きるもんだぞ。国会や民会のメンバーが徐々に入れ替わるように、個人の細胞だって徐々に入れ替わっていくもんだ」

夕月夜「なるほど、「一個の法人」というものが法的な擬制であるように、「一個の自然人」もまた所詮は約束事による擬制よね」

暁月夜「仏教ではこの発想を「五蘊仮和合」という」

夕月夜「やはりオリエントの思想の知識では暁月夜のほうが一枚上のようね」

2-20 父権的および専制的支配について

 生殖や征服をきっかけに主権者を認めるというケースもあるが、これも決定打となるのは契約なのである。そして過程はともかく結果は協約による国家と変わらない。

2-21 臣民の自由について

 古典的自由論はアテナイ共和制ローマのローカルルールをさも真理であるかのように書いたものばかりである。また臣民全員が主権者を兼ねているような国の自由論は、臣民としての自由と主権者としての自由が混濁している。だから古典はあまり参考にならない。

 よって臣民の自由の本質は、今までの国家成立の契約の論理から考えるべきである。

 臣民のあるべき自由とは、法の沈黙と、契約によって譲り得ない自己保存の部分にある。

暁月夜「逆にいうと、民主制の国では『リヴァイアサン』を参考にするにも応用力が必要なんだな。「主権者にすら譲れない自由」と「主権者から黙認された自由」という『リヴァイアサン』的分類の他に「主権者の一員ならではの自由」もあることになる

夕月夜「ここを読み落とすと「現代社会で『リヴァイアサン』はどう活かせるか?」の議論は、酷く歪んだものになりそうね」

2-22 政治的および私的な、臣民の諸組織について

 様々な団体の法的性質を分類整理した章。

2-23 主権者権力の公共的代行者について

 摂政や将軍といった存在を分類整理した章。

2-24 コモン-ウェルスの栄養および生殖について

 海陸から産出される生活物資が国家の栄養であり、その分配も主権者が決める。流通に役立つ貨幣は国家の血液である。

 送り出した移民団に対して母国からの独立を認めることが国家の生殖。

2-25 忠告について

 主権者に研究成果や情報を提示する諮問機関はどうあるべきかについて、一般論としての「忠告」の性質から考えた章。

 諮問機関を合議体にすると内部で政治が起きて混乱するので、一人ずつ別個に忠告を聞くのがいい。

2-26 市民法について

 主権者が唯一の立法者である。慣習法ですら、主権者の沈黙によって作られたものだ。だから判例は後世の裁判官を拘束せず、法の解釈は立法者意思解釈によるべきである。

 市民法は理解できるもの同士の世界のものなので、子供や精神障碍者や獣には適用されない。

 そして主権者が個人であれ合議体であれ、彼は市民法に臣従しない。「かれ」は自分に不利な法なんてどうせ即座に変えられるから臣従させる意味がないのだ。

暁月夜「主権者が合議体なら、少数派の議員は自分に不利な法を改正出来ないまま投獄されることもあるんじゃないか?」

夕月夜「「かれ」って直訳に引き寄せられすぎるとそういう疑問もわくでしょうけど、原文では"The Soveraign of a Common -wealth, be it an
Assembly, or one Man"という部分の代名詞として"he"が使われているので、あくまで一個の「主権者」としての無答責の話ね」

卯の花月夜「今の若い子はいいのう。私らの若いころは原著を参照しようとしたら、大学の図書館までいってコピーするか、高い洋書を買うしかなかったんだぞ。それでもさらに上の世代からは羨ましがられたが」

2-27 犯罪、免罪、および軽減について

 市民法があって初めて犯罪がある。だから事後法で裁くのも禁止。

 そこに罰が書かれているか、量刑相場が慣習になっていたら、その罰を与えるべき。そういうものがなかったら、どんな罰を与えてもいい。

 死を回避するためのやむを得ない行為は罪ではない。

 その他、どういう場合に罪を重くしたり軽くしたりするかの列挙。

暁月夜「現代風に解釈するなら、絶対不定期刑を認めるタイプの罪刑法定主義だな」

2-28 処罰と報酬について

 本書は「人は自分が害されたくないから国家を作ったのであるから、自己防衛を放棄するような社会契約は無効だ」という立場である。そこで国家が刑罰権を持つ根拠が問題となる。

 そこでこれについては、「傷つける権利が主権者に与えられた」のではなく「自然状態において各人が他者に対して持っていた傷つける権利が主権者にだけ残された」と解釈する。

 その他、処罰とその類似物の区別。報酬とその類似物の区別。

2-29 コモン-ウェルスを弱め、またはその解体に役立つものごとについて

 主権者が絶対的でなくなると国は弱体化する。たとえば、霊的権威が登場したり、有力な個人や団体があらわれたときなど。

2-30 主権的代表の職務について

 主権者が、その任務をまっとうするため、そしてその地位を守るため、なすべきことを列挙した章。

 なお主権者と他国の主権者を規律する国際法は、自然法そのものなので、ここでは論じない。

2-31 自然による王国について

 神の諸法は主権者の命令に優先するとの立場から、神や国教について考えた章。

 たとえば個人の宗教活動もそれが内密である限りは自由である。

暁月夜「26章とは別の理由づけではあるものの、内心の自由も限定的に許されそうだな」

夕月夜の読書メモ ホッブズ著『リヴァイアサン』序文・第1部

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暁月夜「最近『リヴァイアサン』に興味を持ったのだが、姐御に色々質問しても「自分で読め」という反応が多い。私は「暁」という名前のとおり西洋畑は苦手なので、夕月夜殿の助力を借りに参った」

夕月夜「私も興味があったので、ここは協力して読んでいきましょう。主に岩波文庫の水田洋訳を参考にしま~す。特に各章の題名はそのまま使わせてもらいました。翻訳文だけでは理解できないときは、適宜このリンク先にある1651年版の原文を参考にしま~す」

暁月夜「なお、素人の小娘二人が個人的関心を中心に書くメモなので、勘違いや大胆すぎる省略も多くなりそうだ。我々のメモを元にレポートを書いて不可を食らっても責任を負えないぞ~」

序文

 神が世界を創造・統治するのに使用している「自然」の最高傑作は人間という機械であり、それを模倣して時計や国家が作られる。

 国家において主権とは人間でいうところの魂であり、政治家・公務員は関節である。公正・法律は理性・意志であり、内乱は死である。最初に国を作る時の契約は、神が最初に作ったときの命令のようなものだ。

暁月夜「序文でいきなり「社会契約論と国家有機体説は逆」という単純な通俗論が消し飛んだぞ。例外を捨象した概説も概説なりの正しさがあるのだろうが、やはり原典にあたるというのは本当に大事だな」

第1部 人間について

1-1 感覚について

 光や音は対象に内在しているのではなく対象の運動によって発せられたものであり、それらが人間の機関を刺激して感覚を生じさせるのである。

暁月夜「デカルトっぽい気がするな」

夕月夜「二人は実際に盟友だったそうよ~」

暁月夜「マジか。それぞれ畑違いの偉人だと思っていたぞ」

夕月夜「同業者が少なく基礎的な方法論についての最低限度の共通了解が未発達だったこの時代の学者って、自分の模索したい分野を理解するための方法論からしっかり自分なりに作って発表しないといけなかったからね。そして本人にとっては認識や思考の手段である方法論の部分が後世に重用されると「哲学者」と分類され、それのもたらす成果のほうが後世に重用されると別の分類に入れられるのよね」

1-2 造影について

 運動量は保存される。

 人間の記憶も体内で保存される。ではなぜ記憶がぼやけるかというと、時間的距離と空間的距離は似たようなものだからだ。

 夢や妄想は過去の記憶の総合であり、迷信的な説明は間違いだ。

暁月夜「多分に誤解が入っているとはいえ、運動に関する語りで時間と空間を一元化するというのは、ミンコフスキーの先駆ともいえるな」

夕月夜「そういう四次元的な発言は雨月に任せたいけど、今日は留守みたいね」

1-3 影像の連続あるいは系列について

 思考は関連性を持つ別の思考と連続する。その連続の仕方については、連想ゲームのような意図的でないものと、明確な意図を持ったものの、二種類がある。

 明確な意図を持った思考系列も二種類があり、第一は結果に至る原因や手段を考えるものである。これは人間以外の動物でも持つ能力であり、過去の記憶から帰納法的に類推される。

 第二は、あるものを仮に持ったとしてそれで何を成し遂げられるのかを考えるというものである。これは人間特有の能力であり、これを鍛えるためには言語が必要なのだ。

1-4 ことばについて

 言語があってこそ国家も契約も社会も平和も成り立つのであって、言語がなければ他の動物と同じである。

 言語に普通名詞というものがあるがゆえに、人は「三角形の内角の和は二直角」などの法則を記憶・伝達し、労力を省けるのである。

1-5 推理と科学について

 明瞭に定義された語を用いて推理をして定理を見出す。この繰り返しで科学は発展していき、人類に便益をもたらす。

 スタートである明瞭な言語がなければ、結論も間違ったものとなる。

1-6 ふつうに情念とよばれる、意志による運動の、内的端緒について。およびそれらが表現されることば(について)

 運動には意志によらないもの(呼吸等)と、意志によるものがある。

夕月夜「その原因となる体内の様々な情念(勇気等)を分類して分析していますが、煩瑣になるので省略しま~す」

1-7 論究の終末すなわち解決について

 人は絶対的な知識を持っていないので、「定義」から出発しない論究は仮定にもとづく意見にすぎない。権威などへの信頼・信仰から始まっている。

暁月夜「出発点の脆さは、デカルト的な演繹法の限界だよな。ここでいう間違うことのない定義から出発した論究というのも、所詮は閉じた公理系の中の壮大な循環論法なのだろうからな~」

1-8 ふつうに知的とよばれる諸徳性と、それらと反対の諸欠陥について

 多義的である「知的」という言葉の意味の整理と、それらの逆の意味の言葉の整理。

夕月夜「言葉の整理という点では第6章に似ていま~す。ただし「狂人とは魔物憑きではない」という自分の見解が聖書と矛盾しないということの証明にかなりのページを使っているのが特色で~す」

1-9 知識のさまざまな主題について

 「知識」の性質を分類し、そこから図表を用いて学術を分類している。

暁月夜「分かりやすい図だな~。他の章でもこんな風にもっと図を使ってくれれば理解しやすいのにな~」

1-10 力、値うち、位階、名誉、ふさわしさについて

 力とは利益を得るための道具。最強の力とは、同意によって合成された集団の力。

 人の値うちは、その人の力の使用の価格であり、状況に応じて他人が決める。

 国家から評価された値うちが位階。

 値うちの表明が名誉であるので、不正であっても力があると評価されれば名誉となる場合もある。古代ギリシアの神々の姦通や窃盗の能力とか、大規模な国家が作られる前の海賊行為とか。現代でも違法な決闘とか。

 ふさわしさとは、ある任務に対する適切な能力であり、値うちとは別物。ふさわしいというだけではその任務に関する権利はなく、権利は約束事によって与えられるから。

暁月夜「ようやく我々素人のイメージする社会契約論に近い話になってきたな」

夕月夜「そろそろ速読から熟読に移行したほうが身のためかもね」

1-11 さまざまな態度について

 人は生存している限り意欲をし続けるものだという見解を前提に、人がとる様々な態度の原因を探った章。

 その中の一例。人は安楽を求めるとき、全体のルールに従おうとする。

1-12 宗教について

 人以外の動物に宗教はない。人は物事に因果関係があると理解でき、また自分でその因果関係を探りきれないときには権威ある見解を尊重するので、宗教が始まった。

 キリスト教以外の宗教は、人々の無知につけこんで支配のために創始されたもの。彼らの予言が曖昧なのは、ノストラダムスの予言書が曖昧なのと同じ。

 第一起動者まで遡る絶対神を崇め、かつ本物のその神が直接作ったキリスト教だけが本物であるが、奇跡がない期間が続くと容易に異邦人の宗教のようになってしまう。スコラ派の跳梁がそのあらわれ。

暁月夜「まさかこんな本でノストラダムスに会うとは思わなかったぜ」

夕月夜「時空を超えてあなたは一体何度―― 我々の前に立ちはだかってくるというのだ!!」

1-13 人類の至福と悲惨に関するかれらの自然状態について

 人の先天的な能力は、ほぼ平等である。だから自分の労働の果実等を二人組の暴力に奪われる可能性は常につきまとい、人間不信が生じる。だから先手を打つための戦争も起きる。それでいて人はみな自己評価が高いので、全員を威圧する権力のない場所では仲間を作って仲間から低く評価されることを好まない。

 以上の理由により、政治権力のない世界では常に各人が各人に対して戦争をしているのである。そこでは法がなく、従って正と不正もない。

 そこで人々は死への恐怖と快適な生活への欲望から、それを達成するにふさわしいと理性が発見する内容の協定を結ぼうとする。それこそが自然法なのだ。

暁月夜「おお、教科書的要約で強調される部分までやっときたぞ。長かった」

1-14 第一と第二の自然法について、および契約について

 第一の自然法は、万人同士の戦争状態におけるもの。各人は平和を希求すべきだが、その平和が未達成の自然状態においては生きるために何をやってもいいというもの。

 第二の自然法は、平和と自己防衛のため、他人とともに、他人と同程度に、自然権を捨て、一定の自由で満足すべきというもの。

 死ぬのが怖くて一定の権利を相互放棄するのであるから、生存や正当防衛の権利まで捨てるような契約は無効である。

1-15 その他の自然法について

 第三の自然法は、第二の自然法を各人がしっかり守るべきだというもの。ここでようやく正と不正の概念が登場する。万人が万物に権利を持っている状態のときには、正も不正もないから。

 さらに第四~第十九まで自然法があるが、一言で要約すると「自分がされたくないことを他人にするな」である。

夕月夜「プラトーンの『国家』で、「何が正義か?」の抽象的な話し合いをソークラテースが中断させて、その議論のためにはまず理想の国家とは何かの議論を始めたのと、一脈通じるところがありますね。正義とは国家あってこそ意味がある概念。やはりホワイトヘッドが指摘するように、西洋哲学とはプラトーンの注釈なのだわ」

暁月夜「「自分がされたくないことを他人にするな」は白銀律として有名だな。時代的に考えてまさか『論語』の影響ではあるまい。ホッブズへの影響の源泉は『トビト記』あたりか?」

1-16 人格、本人、および人格化されたものについて

 代理人や代表者の行為が本人に帰属するというシステムの話。「本人」が複数いる集団も一個の人格とみなすことができ、多数派の決定が少数派にも帰属する。