ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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魔元帥ゼルドラドを偲ぶ。

 昨日の記事でも話題にした、ゼルドラドとアラハギーロ軍の戦いについて考えてみました。

 この戦いは、まずゼルドラドが大軍を率いてピラミッドを目指し、その報を聞いたアラハギーロ軍が後を追い、やがて両者が激突したことになっておりま~す。

 ここで疑問なのは、そもそもゼルドラドがピラミッドを目指した目的で~す。

 神の緋石を破壊しに行ったという可能性は、かなり低いで~す。勇者の力なしで破壊できるかどうかの実験は、守り手のいない古き神の遺跡の緋石で先に試すはずであり、わざわざリスクを背負って大軍を動員してピラミッドの緋石から狙う必要はありませ~ん。

 またピラミッドの中を偵察する場合、大軍で地上の警備員をけちらさなくても、そもそもピラミッドの上方には屋外に露出している通路もあるのですから、空を飛べる魔物に命じればすむ話で~す。

 よってこの時のゼルドラドの目的とは、実はピラミッドにあったのではなく、アラハギーロ国の軍隊を荒野に誘い出すことにあったのだと思われま~す。

 なぜ城から誘い出さなければならなかったのかといえば、やはり前回の記事で検討した通り、アラハギーロ国の格闘場には不思議な力があるので、そこに籠城されると攻め落とすのはほぼ不可能になるからなのでしょう。

 しかし「そもそもなぜアラハギーロを弱体化させる必要があったのか?」という疑問もわきま~す。やがて偽のレンダーシアによって真のレンダーシアを浸食してしまえば、アラハギーロ王国ごときは一兵も損せずに滅ぼせるはずで~す。実際、ゼルドラドは後にグランゼドーラ王国をあとほんの一押しで滅ぼせるという状況に追いこみながらも、無駄な犠牲を嫌ってさっさと撤退しておりま~す。

 一つには、大魔王が当初から偽アラハギーロ王国の住民として格闘場専属モンスターたちを迎えようとしていた、という可能性もありま~す。

 しかしそれ以上に実利的なことを考えるなら、その後のメインストーリーの展開の通りの「敗戦でアラハギーロの財政が破綻し、王が先祖の秘宝を目当てに「太陽の石室」を開いてしまい、神の緋石が無防備な状態になる隙が生じる」という流れを読んでいたというほうが、自然であると思われます。

 ムーニス王は自分だけが見逃されて生還できたのを、単なる偶然と敵のミスだと思い込んでいたようですが、最高責任者だけが偶然生還できたなどというのは不自然すぎま~す。しかも魔物に関する知識は魔軍の方がはるかに格上でしょうに、捕虜を魔物化するさいに不用意に砂漠でわかめ王子を作ってしまい、そのせいで相手を見失うなどというミスがおきるとは、到底考えられませ~ん。やはりこれは、全部ゼルドラドのシナリオ通りだったと考えたほうがいいでしょう。

 そして、敵を誘い出すために相手の先祖の墓を狙うふりをしたというのも、人類について深く研究した成果であると思いま~す。

 大魔王の代弁者である創生番号832は、「人間は 死者を弔い 墓とやらを建て 花を手向けるという。 なぜそのようなことをするのであろうか? 死者とは すなわち 敗者である。 そのような者に 思いを馳せる必要はない」と言っておりま~す。大魔王は人間の墓参という慣習については、単に馬鹿にするだけで終わってしまったのでしょう。しかしゼルドラドはそういう人間の感情を理解した上で、それを利用する策を考えたので~す。

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 ゼルドラドがアラハギーロ王国の国制・経済・文化まで深く探求した上で、神の緋石破壊という目的のためにもっとも効率的と考えた行動こそが、「大軍を率いてピラミッドを攻めるふりをする」というものだったのでしょう。

 ゼルドラドの戦闘能力については、「大魔王の描いた絵のほうが手強い」と馬鹿にする声も多いで~す。またゼルドラドは勇者と手を組まなくても極限まで努力すれば戦闘で勝てそうな相手であるのに対し、ゼルドラド配下の四魔将を勇者の力を借りずに倒すというのはほぼ不可能な話で~す。

 しかしながら、上述のように彼の知性をストーリーに従って合理的に考えると、やはり大魔王軍次席の地位に実にふさわしいキャラクターであったと言えると思いま~す。

 だから、今まで登場した敵キャラクターの中で星月夜がもっとも尊敬している相手は、魔元帥ゼルドラドなのでありま~す。

(以下、追記)

 後に順位を変えました*1