ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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名前の語源・太陽の王国史・先行研究である会議室本棚の書籍の三点から、ラウルの正体を考えてみました。

 いつも拝読しているotomonekoさんの日記で、アラハギーロ王国の会議室にある本棚の『砂漠の狼王』という書籍の内容から、「ラウル=砂漠の狼王」仮説が提唱されていました。

 『砂漠の狼王』によると、狼王は密林の遺跡にこだわっていたそうで~す。また生涯結婚せず、何かに恋い焦がれるように各地を旅したりしたそうで~す。

 「夜の神殿に眠れ」シリーズはジャイラ密林を舞台としておりますし、第一話「運命の出会い」*1のエンディングでも二人の恋が破局に終ったことが示唆されていました。

 『砂漠の狼王』の内容と「夜の神殿に眠れ」シリーズの内容を比較しただけでも、「ラウル=砂漠の狼王」である可能性はかなり高いと思いました。

 そして検索をしたところ、似たような主張を書いている他のブログもいくつか見つけました。

 ここまでは他人の先行研究の紹介であって、星月夜が自力で考えたものではありませ~ん。独自性のある部分は、ここから先で~す。

 この仮説に興味を持って、まずはWikipediaで「ラウル」という人名について調べてみたのですが、狼との関連性があるみたいでした。でもそこには出典が書かれていなかったので、自分で妖精図書館に行って専門書を本格的に探してみました。

 梅田修(2000)『ヨーロッパ人名語源事典』(大修館書店)という書籍をみつけたので、借りてきました。

 その262ページに、「ラルフ(Ralph)は、古英語ではRædwulf(狼のように猛々しい指導者)である。Raed-は古英語Rædanが語源であるが、この古英語はread(読む)やriddle(謎)の語源でもあり、ドイツ語のRat(熟慮、相談、評議会)と同系の言葉である。riddleには、元来、普通の人には知りえない神意を読む能力とか自然の謎を読む能力という意味があった。そして、そのような能力をもつ人こそ指導者になりうると考えられていたのである。Ralphの変化形にはラードルフ(Radolf)、ラウル(Raoul、Raul)などがある」と書かれていました。

 な~んと、「ラウル」の語源は「狼」のみならず「指導者」や「読む」とも通じていたのです。「狼」にして「指導者」なのは、まさに「狼王」で~す。そしてラウルは大昔の文字をスラスラ「読める」ので~す。

 よって「ラウル」という名前からも、彼が砂漠の狼王であるという可能性が高いといえま~す。

 そして第三の証拠として、太陽の王国の歴史が挙げられま~す。

 『アストルティア創世記』の6~19ページは年表なのですが、この年表では、かつて存在して現存しない国については、一度でも話題に出したならば、唯一の例外を除いて滅亡の時期まで記載しております。

 1500年前の「オルセコ王国建国」しか他に話題のないオルセコ王国ですら、わざわざ900年前に「オルセコ王国滅亡」と記載しているので~す。

 そしてこの法則の唯一の例外が、2000年前に「太陽の王国建国」と書かれ、解説16で夜の王国を滅ぼしたとされている、太陽の王国なので~す。これについては、いつ滅んだのかが書かれていないので~す。

 ただし、その後どうなったのかを推測させる記述はありま~す。

 1400年前のアラハギーロ王国関連の記述が「建国」ではなく「成立」となっており、これについての解説17でも「アラハギーロ王国が現在の形に」という題名で、「若者エージスが砂漠の果てにあった神の緋石を中心におこした国を前身として、現代までつづくアラハギーロ王国が誕生」と書かれているので~す。

 そして若者エージスがおこした国については、直接的な記載がありませ~ん。

 いつ滅んだのかが書かれていない国と、いつ建てられたのかが書かれていない国……。前者が強大化の後に後者へと国名を変えたと考えると、しっくりきそうですね~。

 そう考えると、一見奇妙な記述に思えるファラオ・ラーの「まめちしき」の謎も解けそうで~す。

 ここでは「古代王朝の礎を築いた建国の祖であるファラオ。彼の息子はファラオの中のファラオと呼ばれたという」と書かれておりま~す。これだけを読むと、二代目の時点でファラオの中のファラオなんていうファラオが登場したかのように思えてしまいま~す。

 これはかなり不自然ですね~。地球の歴史に例えるならば、「二世皇帝胡亥は皇帝の中の皇帝と呼ばれた」とか「ジョン=アダムズは歴代最高の大統領と呼ばれた」とか書いてあるようなものですから。

 でも「2000年前にエージスが太陽の王国を建国」→「1400年前にラーが太陽の王国を発展させてアラハギーロ王国を建国」→「ラーの息子(カーメン?)、エージス以来史上最高のファラオとして尊崇される」と考えれば、ちっとも不思議ではなくなりま~す。

 またアラハギーロ王国のピラミッドには、太陽光線を利用した仕掛けがあったり、「たいようのおどり」で開く扉があったりと、太陽が強く意識されていま~す。それはちょうど夜の王国の遺跡に、満月の夜だけ行ける区域があったり、月の像を使った仕掛けがあったりするのと、対になっておりま~す。

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 アラハギーロの前史については、年表を最初に読んだ直後にはまだ迷いがあったのですが*2、以上の考察により、「太陽の王国が強大化してアラハギーロ王国になった」と確信するにいたりました。

 そして「永遠の約束」*3では、終盤でラウルが太陽の王国の支配者の子孫であることが示唆されていました。

 太陽の王国がアラハギーロ王国の前身で、ラウルがアラハギーロ王国の砂漠の狼王ならば、ラウルは太陽の王国の支配者の子孫ということになりま~す。

 以上、自分で考えた二つの根拠「名前の語源」と「太陽の王国史」、および先行研究である「アラハギーロ王国の会議室の本棚の書籍の内容」の、計三つの根拠から、ラウルこそ砂漠の狼王という仮説を支持したいと思いま~す。

 ちなみにこれが正解だった場合、『アストルティア創世記』の年表によれば、「夜の神殿に眠れ」シリーズは約300年前の物語ということになりそうで~す。

(追記その1)

 第四の根拠として、ウルフキャンディが登場!*4

(追記その2)

 ラウルの正体、完全に正解でした。*5

(追記その3)

 ラーの息子の正体も、正解でした。*6