偽りのセレドの町で戦った魔人エンラージャは、本人のまめちしきと魔人エンラージャ強のまめちしきとサブストーリー「災禍の光」の挿絵の情報を総合するに、リンジャーラによって召喚された魔人だったようで~す。
本日は、召喚される前の彼の立場について考えてみました。
まず「エンラージャ」という名前の元ネタですが、サンスクリット語の"यमराज"「ヤマラージャ」であると星月夜は考えました。
一見すると「ラージャ」の部分しか同じでないように見えます。しかしヤマラージャの「ヤマ」は漢字圏では音訳により「閻」や「閻魔」となり、「ラージャ」は意訳されて「大王」となりました。「ラージャ」を音と意味とで二重に翻訳した「閻羅王」などの表記もありま~す。
よって"यमराज"の前半だけを漢字に音訳して"閻・राज"とし、さらに「閻」を現代中国語の"yán"ではなく現代ジパング語風の"en"と発音すれば、「エンラージャ」という発音の出来上がりとなるので~す。
エンラージャの正体が閻魔大王であるならば、その出身は冥府と考えるのが自然ですね~。
そしてそれを裏づけるのが、彼の容姿と肩書で~す。冥府エリアやそれと隣接する王家の迷宮には、エンラージャと容姿がそっくりな連中が住んでおり、彼らの肩書も「魔人」となっておりま~す。おそらくは同族でしょう。
偽りのセレドの町の死人たちを上手に騙して操っていた業績も、過去に死人の管理者であったために死人を扱うのが上手だったと考えれば、きわめて自然で~す。
何かを与え続けて信用を確保しておいて最後に裏切るという騙し方も、王家の迷宮の三魔人の手法とほとんど同じで~す。
さらに閻魔大王の部下としては牛頭・馬頭が有名です。牛頭はほぼサンスクリット語のまま護門将ゴウシルシャとしても登場しておりますが、エンラージャの部下にも半羊半人のモンスターがいます。羊は一応ウシ目ウシ科で~す。
最後の根拠である「部下」はそれ自体としてはかなり弱いものですが、他の「語源」・「容姿」・「肩書」・「業績」という四つの強い証拠の補強程度には使えると思いま~す。
ただしこの魔人エンラージャが現在の「えんまのつかい」たちの上司とは限りませ~ん。
漢字圏に取り入れられた後の「閻魔大王」は、個人の名前としてよりも役職名としての色彩を強めました。そして閻魔大王の地位に就いた人物は過去に複数いたと道教では信じられていま~す。
そうした文化的背景から考えるに、魔人エンラージャ失踪事件以後に新たに後任の閻魔大王に就任した別のモンスター(たち)がいた可能性も十分ありま~す。