昨日の記事に引き続き、魔人エンラージャの考察を行いま~す。本日は彼の体の色について考えてみました。
リンジャの塔の周囲には東アジアの五行思想にちなんだ「五行の塔」という塔が建っています。そして5000年前にリンジャーラによって召喚された、五行思想にちなんだモンスターたちが、それぞれの塔の主として待ち構えています。
五行思想においては、五つの徳に対応する五つの色があります。木徳は青、火徳は赤、土徳は黄、金徳は白、水徳は黒といった具合で~す。
ゆえに、呪縛の悪鬼は青い木の体をしており、炎業の妖星は赤くて火を扱うのが得意であり、砂塵の幻馬は黄色くて土属性のブレスを吐き、諸刃の鋼竜は白い金属製の体であり、濁流の邪殻は黒くて水と関係が深いので~す。
ここまではちょっと五行思想をかじれば誰でもすぐに到達できる見解で~す。
しかしここからはかなり深く中国古典を学ばないと書けない内容で~す。ふふふ~。
古代中国には、現在では主流となった物事を五種類に分ける五行思想の他にも、物事を六種類に分ける思想がありました。儒学の重要な古典になった『周礼』や、賈誼の著作『新書』は、この「六」の思想を下敷きにした書物の代表例で~す。
そして『周礼』春官宗伯で、春官の長官である「大宗伯」の職務について説明した文章の中に、次のような部分があります。
「以蒼璧禮天,以黃琮禮地,以青圭禮東方,以赤璋禮南方,以白琥禮西方,以玄璜禮北方」
ここでは天・地・東・西・南・北を、それぞれ蒼・黄・青・赤・白・玄の色の祭器に対応させているので~す。「玄」は「黒」と大体同じ意味で~す。そして「蒼」は文脈によっては「青」と同じ意味になりますが、ここでは区別されていますね。とりあえず青に似て青でない何かだと思えばいいでしょう。
魔人エンラージャが、リンジャーラによって同時期に召喚されたという意味で、かつては五行の塔のボスたちと同格の存在であったことは、「災禍の光」の挿絵から明らかで~す。
六種類の同格の魔人を召喚したとなると、五行思想では対応ができませ~ん。よって当初は、彼らは六行思想に対応した魔人たちだったのでしょう。
『周礼』の六行思想に従って、リンジャの塔と五行の塔の関係から類推するに、蒼いエンラージャ・黄色い砂塵の幻馬・青い呪縛の悪鬼・赤い炎業の妖星・白い諸刃の鋼竜・玄い濁流の邪殻が、ほぼ同格の存在としてリンジャーラに仕えていたのでしょう。そして「天」であるエンラージャが一応の筆頭の扱いを受け、同輩者中の第一人者として中央の一番立派な塔の担当者になったのだと思いま~す。
以上の理由により、魔人エンラージャの体色は「蒼」に近い水色なのでしょう。
ただしプレイヤーに直接的に入ってくる情報から判断するに、自身が蒼い魔物となったリンジャーラが、最終的には中央塔の支配者を兼ねるようになったようで~す。
そうなった経緯が、リンジャーラによるエンラージャのリストラなのか、それともエンラージャの逃亡による戦力低下の穴埋めなのかは、現段階では不明としか言いようがありませ~ん。
この研究の続きは、星月夜の永遠の学友に任せたいと思いま~す。