偽グランゼドーラ王国では、魔勇者が倒された直後から、国民の大半が自らを大魔王に作られた存在だと自動的に気づいてしまいました。そして生きる気力を失ってしまいました。
おそらくは、「魔勇者を崇める存在である」という設定が実行できなくなったので、その矛盾をきっかけにして自分の過去の記憶の多くが架空のものであると気づいてしまったのでしょう。
一方、偽のメルサンディ・セレド・アラハギーロでは、そうした事態は起きていませ~ん。
これはやはり、住民が大魔王の完全な創作物ではなく、それぞれ何らかの意味で「原作」があったからだと思われま~す。
偽メルサンディの住民はパンパニーニがすでにおおまかな設定を創作していたものであり、偽セレドの住民は実在した人格の流用であり、偽アラハギーロの住民は逆に人格こそ後書きであるものの肉体は現実に存在した生命を改造したもので~す。
偽メルサンディだけは元から創作で若干頼りない印象もありますが、パンパニーニがそれだけ天才だったのでしょう。『ドラゴンクエストX みちくさ冒険ガイド Vol.6』の77ページの記述を信じる限り、彼は死後に単に偽の世界に転生しただけではなく、その姿のままホーローの羅針盤にも頼らずレンドアにやってきて、新生グランドタイタス号の出航祝いに参加しているので、限りなく神に近い存在なのでしょう。
三門の関所の兵士は、偽グランゼドーラの所属でありながらまだ自分が架空の存在だと気づいていないようですが、これはクロウズによって崇拝対象が真の勇者へと変更させられたからでしょう。
大魔王が「原作」を欲したのは、やはり自分の能力の限界に気づいていたからだと思いま~す。
それでも偽グランゼドーラの住民を原作なしで創ったのは、本来の予定より早く当座の社会を作らなければならなかったので、拙いプログラミング能力で必死で創作したからなのでしょうね。元々は真の勇者をさらう予定だったのが、ゼルドラドがその任務に失敗したので、仕方なく偽の勇者を創作して彼女が覚醒しやすい社会を大急ぎで創ってみたのだと思いま~す。
偽グランゼドーラ以外の場所で、自らが架空の存在だと住民が気付いている地域もありますね。ココラタの浜辺で~す。
偽グランゼドーラの住民が自分たちが何者であるか気づいたきっかけが魔勇者の死だったのですから、ココラタでも住民に当初与えられていた設定を覆すような大事件があったことになりま~す。
真の世界には存在しないこの壊れた船こそが、ココラタの住民を無気力にさせた原因である可能性が高そうですね。
「ココラタの浜辺の住民たちは、過去この船で魚を獲って暮らしてきた存在であり、これからもそうする存在なのだ」という設定で大魔王が住民を創生し、その後でシケにより船が大破したため、住民の脳が機能不全を起こしたと考えれば、色々とつじつまが合いそうで~す。
そしてひょっとしたらこの事件こそが、大魔王に自分の才能の限界を気づかせ、原作を求めさせはじめた、そもそものきっかけであったのかもしれませ~ん。
今はまだ適切に運営されている湖上の休息所や黄葉商店や滝を臨む集落も、嵐で店が壊れたりしたら、一気に機能不全に陥る可能性がありますね~。

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