以前の記事で書いたとおり、ドラゴンクエストシリーズにおける「ダーマ」とは、ジパングでは「法」と訳される概念で~す。そしてそれを指針として賢者を目指す運動を「仏教」と呼び、ダーマ神殿のことを「寺」と呼んでおりま~す。
星月夜は夕月夜と一緒に北鎌倉のダーマ神殿を見学してきたので、写真で紹介しま~す。
まずは大地の箱舟で北鎌倉駅に行きました。ここから鎌倉の中心まで歩き、途中の道の側にあるダーマ神殿に寄っていくプランでした。
駅から一番近いのは円覚寺で~す。
夕月夜「入山時に、酒やにんにく関連の手荷物検査がありませんでしたね。どうなっているのかしら?」
星月夜「相当古い本でジパング文化を学んだようね~。今はあんまりそういう規則は重視されてないのよ~」
夕月夜「この施設、知ってま~す。大賢者ゴータマの骨である仏舎利を祀る舎利殿ですね~」
星月夜「より詳細に説明すると、ここに祀られているのは仏牙舎利といって、歯の部分の骨よ」
夕月夜「「ホトケのキバ」ですか。重要アイテムですね~」
夕月夜「ここに弔われている北条時宗ってどんな人です?」
星月夜「北条時宗(1251~1284)は、ジパングの事実上の支配者として非常に強い権力を持っていた人で、モンゴル軍の襲来を二度も撃退したのよ~」
夕月夜「偉くて功績があったから従一位なんですね?」
星月夜「でも生前には正五位下という低い地位止まりで、死後600年以上して突然功績が評価されて従一位を追贈されたのよ。だから「贈従一位」って書かれているでしょ~」
夕月夜「ジパングの事実上の支配者にして救国の英雄が、生前と死後600年間、たかが正五位下ですか? それはいったいどういうことなんですの?」
星月夜「当時のジパングでは、いくら権力を持っていても、そしていくら功績があったとしても、名目上の地位は家柄でほとんど決まってしまっていたのよ~。明治維新の後にジパングの価値観も大きく変わり、さらには日清戦争を経て外国と一生懸命戦った人を高く評価する風潮が生まれ、1896年に一気に従一位に昇進したというわけなの*1」
夕月夜「長年馬鹿にしていたズーボーさんの真価をその死の直後に認めたガートラントと比べて、なんとも遅い対応ですね~。でも永久に認めないよりはマシですね~」
円覚寺の次には東慶寺に行きました。和辻哲郎などの有名人のお墓が多数ありました。
夕月夜「ここは私、円覚寺より詳しいですよ~。江戸時代には男子禁制のダーマ神殿で、妻がここに駆け込むとDV夫は手出しができなくなり、当時としては珍しく女性のほうから離婚を請求できたんですよね。時代劇でみました!」
星月夜「まあ実際の江戸時代には、強い妻が弱い夫に強制をして、夫が一方的に離婚をしたかのような証明書を作成させたりもしていたんだけど、名目上の規則としては夕月夜のいうとおりよ~」
星月夜「この「けんちょうじ」は夕月夜の得意な「けんちん汁」発祥の地ともいわれているよ~」
夕月夜「「長」を「ちん」と読んでいたんですか? 呉音ともまた違った発音のようですが…」
星月夜「現代中国語で"ng"で終わる発音の漢字は、呉音でも漢音でも「ん」で終わらないけど、中世にジパングに来たばかりの渡来僧の発音を当時の人が真似たら「ん」になった可能性が高いわね~。ただしこれは私の即興の仮説なので、あんまり信じないでね」
夕月夜「心が洗われる閑静な禅寺の光景が続いたと思ったら、何ですか、この成金趣味の門は?」
星月夜「これは鎌倉時代のものではなく、江戸時代に将軍が寄進した「唐門」という類系の門よ~。日光の東照宮や上野の東照宮にも似たようなものがあるのよ~。江戸時代初期の流行の建築物ね」
その次は円応寺。
夕月夜「写真禁止ですと!」
星月夜「仕方がないから外の看板の写真を撮りましょう」
夕月夜「この閻魔大王って地球版のエンラージャ*2ですよね?」
星月夜「そうよ~。でもこのダーマ神殿では道教の影響を受けたときにできた十王思想を受け継いでいるので、ここでのエンラージャは十人いる冥府の王のうちの筆頭程度の扱いのようね」
夕月夜「なるほど、こっちのネルゲルとか輝き帝王とか変成王とか宋帝王とかは、閻魔大王よりほんの少し格下の同輩だと思えばいいのですね~。あれ、でも全部で九王しかいないような…」
星月夜「ほんとだ、初江王の像がないわ~」
夕月夜「この石碑で顕彰されている道元という賢者は禅宗の関係者ですよね」
星月夜「ええそうよ~。でも今日拝観したダーマ神殿は禅宗といっても全部臨済宗のものなので、道元の曹洞宗とは別系統ね」
夕月夜「鶴岡八幡宮…。今度の施設はエルトナ様式にさらに近いですね~」
星月夜「こっちはジパング古来の宗教である「神道」の神殿で「神社」っていうのよ。「寺」がアストルティアでいうダーマ神殿みたいなものだとするなら、「神社」は通常の教会みたいなものね」
夕月夜「境内に鎌倉国宝館というのがありましたよ、入ってみましょうよ~」
星月夜「うん、入ってみよ~」
夕月夜「あ、円応寺では見つからなかった十人目の冥府王の像が置かれてますよ~。説明文でも本来の所有権者は円応寺ってなってま~す」
星月夜「ここに貸し出されていたのね~。冥府十王の像をコンプリートするには、円応寺で200ゴールド支払って、さらにここで500ゴールド支払わないといけないシステムというわけか~。なかなかあこぎな…」