「廊下に立つ」しぐさをすると、歯を食いしばって両手にバケツを持つ姿となりま~す。
そしてこのバケツには液体が入っていま~す。
この液体の正体は、ジパングの一般常識に照らして考えるならば、水であるはずで~す。
でも、「おもさ27のギガスクラッパーを左手だけで軽々と操りつつ戦場を軽やかに動きまわれるレベル96のバトルマスターですら、歯を食いしばってようやく持てるバケツなのですから、中身が真水なわけがない」と星月夜は考えました。
そこで、その仮説を実証するため実験をしてみることにしました。
具体的には、真水かそれに近い密度の液体の中にこのバケツを入れて、中の液体が全体とどう作用するかを観測しようと考えたので~す。
水の領海の海底付近の海水は、水圧が非常に弱い特殊な水であることが普段の動作から明らかなので*1、あまり参考にはならないでしょうが、先にこれも一応試してみました。
バケツの中の液体は周囲の海水とまったく混合せず、境界線がくっきりと見えました。とりあえず、水の領海の海底付近の海水よりはかなり重い液体だと確認できました。
次はいよいよ本番です。
ギルザの入り江のある程度水深がある場所で、このしぐさをしてみました。でもエルフや人間子供でこのしぐさをしても、バケツを海面下に沈めることはできませんでした。
そこで以前おこなった類似の実験*2のときと同じく、プクリポの手を借りることにしました。
なんと、通常の海水に対しても、この液体はまったく混じり合わず、くっきりとした境界線を維持しましたよ。しかもここはつねに波が往復している場所だというのに、バケツの中の液体はその影響をまったく受けませんでした。これはかなりの重さの物質ですね~。
こうしてこのバケツの中の液体がやたらに重いということが、冒険者の表情だけではなく、実験によっても証明できました。
おそらくは水銀あたりがこの液体の正体で~す。
ちょっと異常な提案をしたという理由だけで、こんなに恐ろしい重さのバケツを、せいぜいレベル40が上限の5月の二年生に二つも持たせるなんて*3、アスフェルド学園というのは実に怖い学園ですね~。