8月の終盤、列車内で追いつめられたエリシャ先生は、フランジュさんに「師匠は なぜ あなたを調査していたの? あなたは 何者なんです!」と聞かれ、「わ…私は ある人から頼まれて 一連の事件の元凶…… 願いの少年を つかまえようとしていたの」と答えました。
このときはこれで納得したのですが、2月の終盤に願いの少年の誕生秘話を知り、疑問がわきました。
フランジュさんの師匠であるザビアナ先生が死んだのは、アイゼル先輩が一年生のころでした。そのザビアナ先生が生前にエリシャ先生を疑っていた理由が、エリシャ先生が願いの少年を探していたからだということになると、この時点までに願いの少年は発生していたことになりま~す。
ところが2月に明かされた話によると、願いの少年はアイゼル先輩が二年生だった年度の秋に誕生したことになっていました。これはおかしいですね。
この矛盾を解決する仮説をいくつか考えてみました。
仮説1.「願いの少年自体は以前からいた」説
「偽ウェスリーの原型である願いの少年自体は、以前から学園内をさまよっていたけれども、当時は顔も人格もあいまいで実体化もほとんどしない幻のような存在であった」と考えれば矛盾はなくなりま~す。
学園長の話では、願いの想域は本来は人格を持った存在を創り出すような複雑な願いは叶えられないということでした。この話が語られたときは、今回だけが例外だった理由を、単にアイゼル先輩の願いが強かったからということにされていましたが、これだけではあまりに極端な偶然の作用ということになってしまい、不自然で~す。
しかし、すでにある程度複雑な意識の存在がいて、そこに少し手を加える形で願いが発動したと考えれば、非常に辻褄が合いますね~。
そもそも、本当にウェスリーの復活の願いが完璧にかなったのであれば、復活した偽ウェスリーの人格はウェスリーそのものであるはずで~す。でも、正体がばれたときに「なんだ 気付いちゃったのか」と発言していました。
このことからも、偽ウェスリーは誕生以前にすでにその意識の原型があり、ウェスリーを意識的に演じていたとわかりま~す。
願いの想域について詳しいはずの学園長が、「アイゼル先輩が偽ウェスリーを弟でないと認めれば自然に消えるはずだ」と考えたのに、その作戦でかえって相手を暴走させてしまったのも、この仮説と整合性が高いで~す。
学園長は偽ウェスリーの材料が単にアイゼル先輩の願いだと思い込んでいたから、その想定に基づいて適切な処置をしたつもりだったのでしょう。でも実は相手の正体は、「願いの少年の原型 + アイゼル先輩の願い」だったため、目算が狂ったのだと考えれば、非常に辻褄が合いますね。
以上、この仮説1こそが星月夜が一番支持したい説で~す。
仮説2.「願いの少年の誕生は、時期をある程度あいまいにした形で予言されていた」説
封印事件を予言した「フェルディナクの書」という予言書が存在していたのですから、願いの少年の誕生を予言した別の予言書が世間に出回っていたとしてもおかしくはありませ~ん。
ただしその誕生の時期については完全には特定されていなかったとしま~す。
予言書を持っていたシナイジッチは、二年前の時点ですでに「そろそろ願いの少年が誕生したかもしれない」とか考えて、エリシャ先生に学園中を調査させていたのかもしれませんね。
仮説3.「エリシャ先生の嘘」説
二年前のエリシャ先生がシナイジッチから与えられていた任務は、例えば「ルナナの校則違反を血眼になってでも見つける」などの、もっと汚いものだったのかもしれませ~ん。
でもそれでザビアナ先生に睨まれたと正直に話すのはさすがに恥ずかしかったので、去年あたりから教頭に与えられた任務をとっさに元ネタにして、嘘をついたのかもしれませ~ん。