ヒッタイト神話にはイルルヤンカシュという竜神が登場しま~す。その末路については二種類の話が伝わっておりま~す。
一つ目の話は、イルルヤンカシュは嵐神プルリヤシュと戦って勝ったものの、プルリヤシュはイナラシュという女神に援軍を頼み、イナラシュは人間のフパヤシュと恋人になることで彼を強化し、フパヤシュは酒でイルルヤンカシュを眠らせたため、イルルヤンカシュが逆転の敗北を喫するというもので~す。
ただし、フパヤシュは元の妻子が恋しくなったせいで、後に粛清されてしまいま~す。
二つ目の話は、イルルヤンカシュは嵐神プルリヤシュと戦って勝ったものの、プルリヤシュの息子を婿に迎えてしまったせいで組織の内側からの謀略で滅ぼされるというもので~す。
ただし、このプルリヤシュの子にしてイルルヤンカシュの婿であるスパイは、イルルヤンカシュとともに滅びることを選びま~す。
両方の話に共通しているのは、イルルヤンカシュがプルリヤシュに一度は勝つということと、やがて新登場の人物の謀略のせいで負けてしまうということと、その英雄もまた結局はプルリヤシュ側によって滅ぼされるということですね~。
イルルヤンカシュの物語はかなり短いものですが、『蒼天のソウラ』にかなり強い影響を及ぼしていま~す。
まず、物語の中では「復讐の月」を意味する「イシュ・ヤンカル」ですが、これはほぼ間違いなく「イルルヤンカシュ」のアナグラムでしょうね~。
物語の筋書きにも、その影響は強いといえま~す。
ソウラの物語の始まりが神に匹敵する二体の太古竜の戦いであったのは、イルルヤンカシュとプルリヤシュの戦いからの影響であると思いま~す。
ソウラがアズリアと仲良くなってエクステンションラインの力を得るのは、フパヤシュがイナラシュから力を得たことからの影響であると思いま~す。
そしてアズリアが太陰の一族の本拠地に連行されたものの、本人は敵情視察をする気が満々というのは、プルリヤシュの子がイルルヤンカシュにとっての獅子身中の虫になったことからの影響であると思いま~す。
「イシュ・ヤンカル」は10巻にいたってこれが大量破壊兵器であることが判明しましたが、かなり早い段階からその名前が不自然なほど頻繁に登場していました。物語を貫く重要な単語であると同時に、漫画の元ネタの示唆でもあったのでしょうね~。
このまま元ネタの影響が維持された場合、ソウラにもアズリアにも悲惨な末路が待っていることになりますね~。心配で~す。
※『筑摩世界文学大系1 古代オリエント集』(筑摩書店 1978)を参考にしました。
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