ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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宿題だった、「国王」と「王」の異同について考えました。

1 はじめに

 以前、ジュテ国王の「ジュテ」の部分についての研究記事を書きました。自分でもそれなりに納得できる記事だったのですが、同じ国の王なのになぜアリオス氏は「王」でジュテ氏は「国王」なのかという問題は、宿題として残りました。

 本日の記事は、その宿題を果たす内容で~す。

 「国王」という称号は、現代ではウラード氏のみが名乗っているので、それを考察のヒントにしました。

2 対外関係での格はほぼ同等

 六王会議でも八王会議でも、ウラード国王が特に格上や格下の扱いを受けている様子はありませんでした。

 ひょっとしたら多少の差があるのかもしれませんが、誤差の範囲内と考えて差し支えないでしょう。

3 ノブレス・オブリージュの励み具合の差

 しかし、それぞれの国内では、差が見られます。

 「王」は全員ノブレス・オブリージュに勤しんでいる形跡が見られるのに対し、「国王」にはその形跡が見られません。

 以下にそれを列挙してみましょう。

※アリオス王・・・・・回想シーンで、親征をしていた。

※ムーニス王・・・・・ゼルドラドを相手に親征をした。今もバトルロードの天覧を我慢してバッジじいさんとしての仕事に励んでいる。

グロスナー王・・・・ガズバランの牙をあぶりだすために、自分を何度も囮にした。

※バグド王・・・・・・『蒼天のソウラ1』の206~207ページで、城下町に侵入したキラーマシンと自ら戦った。

※女王ディオーレ・・・バサグランデ弱体化のため、自らを危険にさらした。

※ニコロイ王・・・・・危険な暗黒大樹の破壊のために親征し、最前線で番人と交渉した。危険だと知っているテンオツキジンの召喚の儀式に二度も立ち会った。

※プーポッパン王・・・自分の健康を犠牲にして魔瘴の調査をした。自分の命を犠牲にして大風車塔で儀式をしようとしていた。

 以上に対して、ウラード国王とジュテ国王が民のために苦労している場面は見当たりませ~ん。

 この差は偶然の可能性もありますが、それはきわめて小さそうですね~。

4 非道な行い

 二人の国王には、非道な行いがありま~す。

※ジュテ国王・・・・・大した証拠もなく、議論も終結していない段階で、カミルを公的に裏切り者扱いした。

※ウラード国王・・・・娘を捨てた。

 バグド王とプーポッパン王にも、大した証拠もないのに主人公を悪者扱いした過去がありますが、これは「魔瘴」という酌量の余地がありま~す。

5 フランス1971年憲法の視点から考える、「国の王」と「国民の王」の違い。

 以上から考えるに、「国王」とは、対外関係においては「王」と対等であるものの、国内では民のために尽くす努力を怠り、非道な行為を好き放題にできる立場のようで~す。

 実は地球でも、この立場の違いが明確に強調されたことがありました。

 それはフランス革命後の、1791年憲法で~す。

 それまでフランス王は"Roi de France"と一般に呼ばれていました。意味は「フランス(という国)の王」で~す。

 しかし1791年憲法では、"Roi des Français"と呼称が限定されました。意味は「フランス人たちの王」で~す。条文でも第3編第2章第1節第2条後段で、わざわざ"son seul titre est Roi des Français"(「その唯一の称号はフランス人たちの王である」)と明記していま~す*1

 先に王がいてその付属物として臣民がついてくるという発想ではなく、先に国民がいてその代表者として王が任命されるという発想へと変わったので~す。

 そして国民と法律への忠誠を適時宣誓することを怠った場合などには自動的に廃位される規定も、この節では定められました。

 これを契機にして、多くの国が絶対君主制から立憲君主制に移行し、さらには共和制の国も多数うまれました。ただし、絶対君主だろうと立憲君主だろうと大統領だろうと、外交の世界では皆対等の元首の扱いで~す。

 この地球の制度は、現代のアストルティアにおける「国王」と「王」の関係に似ていますね。

 ウラード国王は、国内では堅牢な要塞の奥にある高い玉座の上でふんぞりかえっていて、国が天魔に滅ぼされかけても対応は全部部下任せにして批判されない立場で~す。そういう点では他国の王より普段は偉ぶれるわけで~す。でも国際会議に出れば他国の王と対等の立場で~す。

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 また以前の記事で、ジュテ国王の部下のコルシュール大臣とアリオス王の部下のコルシュ大臣の立ち位置を比較したとき、コルシュ大臣のほうが若いのに高い場所に立っている件の原因を、単なる出世の速度として解釈してしまいました。

 しかし、これはむしろ王族がどれだけ威張っているかの違いとして解釈すべきだったと、今では思っていま~す。

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6 結論

 アストルティアにおける「国王」と「王」の異同は、地球における絶対君主と立憲君主の異同に酷似している。

 その証拠は、「国際会議」・「王たちの善行」・「国王たちの悪行」・「過去と現代のグランゼドーラにおける大臣への待遇の差異」である。

7 おまけ

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星月夜「国王とは 何だ? ただ絶対君主制の国の王家に 生まれついた。 それだけの理由で わがまま放題 かしずかれ暮らす国王とは?

 立憲君主制の国の王には 国王のように ふるまう事は 許されぬ。 たとえその王が 国王の器を 持っていようとも 生まれついた身分からは 逃れられぬ。

 ……そう 私もだ。 エテーネ王を祖父や叔父に持つような 立憲君主制の国の王族は 国王にふさわしくない。 国民の誰もが そう言った。 絶対君主制の国に生まれた 無能な王族どもにしか 国王の称号は 与えられぬのだ と。

 だが(以下略)」