0.はじめに
本稿は、ウルベア地下帝国の帝都の立地や規模や経済に関する、様々な奇妙な点につき、合理的な説明を加えようとしたもので~す。
1.立地の合理的説明
ウルベア地下帝国は実に広大で~す。
その証拠となるエピソードとしては、メインストーリーで名誉が回復された後のビャン・ダオが、結局同時代に復活できなかったというものがあげられま~す。リウ老師に話しかけると、ビャン・ダオの眠る魔神兵を捜索する予定ではあるものの、帝国があまりに広大すぎて困難な作業になるという話が聞けま~す。
他には、カルサドラ火山のそばまで住宅街が広がっているという話も聞けま~す。
それにしては一見奇妙なのが、ガタラ大山林の入口から地下に潜るとすぐ帝都であり、しかも帝国城が目と鼻の先ということで~す。
ここで多くのプレイヤーが感じた疑問は、「国家の中枢が東に寄りすぎていないか?」ということでしょう。
グレンのような小国ならばグレン城下町東口とグレン城が目と鼻の先なのは仕方ないですが、通常のフィールドマップよりも巨大な帝国でこれは不思議で~す。
この問題の解決につながるのは、「地下帝国」という語感から受ける先入観の払拭で~す。実は領土は地上にも広がっており、面積だけなら地上の方が広く、地上は経済的にも重要で~す。
上層にいたテテンさんはエゼソル地方からのおのぼりさんらしく、エゼソルもウルベア領であり、製塩業が盛んであることが会話から伺えま~す。
すなわち、第一次産業や第二次産業が盛んな広大な東方の地上エリアと、第三次産業が盛んな西方の地下エリアとの結節点が、帝都なので~す。
ここを反乱分子などに抑えられたら帝国は一気に弱体化してしまいますから、ここに都を置いて東西に睨みを利かせるというのは、非常に正しい選択であるといえましょう。
2.経済規模の合理的説明
プレイヤーが感じる第二の疑問は、帝都にしては狭くて経済規模も小さいということで~す。
店の数はグレンより少なく、道具屋の品ぞろえも悪いで~す。中層にいたメヌヌさんも「買い出し」の心配をしていました。そして住宅街が上層と下層にやたらとあって、通勤ラッシュが大変とかいう話題がでま~す。そしてウッツァ神父は、町の人々個々人と交流して慕われているのに、宗教やメンコに時間を割く余裕がありま~す。
現代ジパングに例えると、千代田区の地下が安アパートばかりで、高層階の大半もマンションばかりで、地上にベッドタウンレベルの小さな商店街があり、埼玉から神奈川に働きに行く人々によって通勤ラッシュが発生している状態みたいなもので~す。
これについては、本稿第1章をお読みいただければ、一応の説明がつくでしょう。すなわち、経済都市ではなく政治都市であるので、経済規模自体は小さいのだと。
3.近年のますますの衰退について
しかしそれだけでは説明がつかない部分がありま~す。
数年前まではもう少し豊かだった形跡があるので~す。
この無駄に広い酒場をご覧下さ~い。収容人数はドラゴンクエストXの酒場史上最大級であるというのに、客が一人もいないので~す。
これについては三つの理由が考えられま~す。
理由1.高級官僚とその家族が減った。
政府機関が置かれた都市の経済的な強味といえば、官僚とその家族が住み着いていることによる一大消費地であることで~す。数年前までは帝都に多くの官僚がいたので、彼らの消費によって多少は潤っていたのでしょう。
そして高級官僚がグルヤンラシュの謀略によって80%も減った今では、その強みすら消えているのでしょう。
帝国城でも食堂が閉鎖の危機でしたが、酒場の経営危機もこれと連動しているのでしょうね~。
理由2.政治の中心地でもなくなった。
それでも政治の中心でさえあれば、政治関連の情報を求める人が集まるものですが、政治の中心は帝国技術庁に移転してしまいました。
潜入ジャーナリストのキキミミさんも、主たる狙いは帝国技術庁であり、帝都に関して知りたい情報がたまにあったら冒険者を雇えばいいという態度で~す*1。おそらく同僚にも帝都の駐在員が一人もいないのでしょう。
理由3.治安の悪化
ガテリア難民の流入によるドヤ街化により、高い治安を欲するものの上層に引っ越すほどの金はない中間層は、次々に別の町へ引っ越していったのでしょう。
難民にも移動の自由があれば、豊かさを求めて彼らも経済都市へ移転していくのでしょうが、おそらく途中の検問で引っかかる仕組みになっているのでしょうね。
難民が帝都にだけは入れた理由は、下層の本棚の「ウルベア報道局 号外」によると、ゴブル東から帝都まで直通の軍用道路を利用したからのようで~す。
4.防衛体制について
ガタラ大山林から地下帝国に入り、その方向のまま直進すると帝国城なので、いかにも警戒が甘い雰囲気がありますね~。「防衛体制はこれで大丈夫なのか?」という疑問も、多くのプレイヤーが抱いたことでしょう。
これについても、東方は安定してウルベア領であるという本稿第1章の説明でほぼ解決ができますね~。
ウルベア地下帝国としては、「敵の大軍が過酷な環境のゴブル砂漠を踏破し、カルデア溶岩帯で身を焼かれながらガタラ大山林に侵入し、ついに首都への出入口から一気に最終防衛ラインまで雪崩れ込む」という筋書きは、ほとんど想定していないのでしょう。
もしもその作戦を敵が採用したら、それはそれで罠に誘いこんだようなものですから、補給線という観点からは非常に現実的で~す。
そして外国や反乱軍が正攻法で十分な補給とともに西から徐々に市街地を占領して帝国城に迫ってきた場合には、ガタラへの出口は要人の逃亡経路にする予定だったのでしょう。これならむしろ、帝国城正門とガタラへの出口が直線であることこそ正しいということになりま~す。
この構造にやや似ているのが、聖都エジャルナの防衛で~す。
東の赤熱の荒野には、戦闘力だけなら魔炎鳥にも勝てる屈強な若者たちが集うアペカの村とか、いつ嵐の領界の住民たちが翠嵐の聖塔の試練を突破して雪崩れ込んでくるか知れたものではない円盤の遺跡とかがあったので、東への警戒は非常に厳重でした。
これがウルベアでいえば、ドルワームやガテリアに備えなければならない「西出口」ですね~。
一方、西の烈火の渓谷では住民の大半はすでに滅んでおり、円盤の入り口も相手のほうからは解放できないタイプのものだったので、警備は緩やかでした。ドナブロという兵が一人いますが、その視線を見るに、警戒対象はむしろエジャルナから出てくる人のようで~す。
これがウルベアでいうところの、ガタラにある「東出口」というわけで~す。
5.次回予告
以上の研究成果が、意外な形で別の研究の進展にもつながりました。その別の研究のテーマとは、「ジュラシックロイドはなぜ野生化したのか?」で~す。
これについては明日発表しま~す。