0.はじめに
何かと評判の悪い「パクレ警部の事件簿」(以下、「事件簿」)ですが、世間の荒波に逆らって擁護論を書いてみま~す。
ただし論点は「パクレ警部が今作から急に強くなりすぎ、能力の設定が崩壊し、ひいては他の英雄の無用論にまで至った」という俗説の検証に絞りま~す。
「設定はさておき、つまらなかった」という意見に対抗する「いや、ここが面白いじゃん」といった主張は書かないので、その点は御了解くださ~い。
1.パクレ警部は元からそこそこ有能である。
世間では「事件簿」直前までのパクレ警部がとことん無能であったのを前提にした主張がかなり流布されていま~す。
でも、パクレ警部はこれまでの設定でもそこそこ有能であったというのが、星月夜の説で~す。
この件については、「パクレ警部の総合研究」と「続・パクレ警部の総合研究」をお読みくださ~い。
2.「事件簿」でも「弱さ」は描かれている。
「事件簿」第2話では、下手な変装をしてヘルーペさんに一瞬で見抜かれたり、背後から接近してくるマクリマさんの気配にまったく気づかず踏み台にされて首を痛めたりと、「弱さ」の部分もしっかり描かれていま~す。
急に完全無欠になったかのような見解は、こういう場面を見なかった人とかが流布しているのでしょう。
3.「事件簿」でも大して強くない。
そして今回の「事件簿」でも、実はパクレ警部の素の能力はそう高くないで~す。
まず第1話では主人公をミストデバイスで眠らせていましたが、これは文明の利器に頼っただけで~す。
「攻撃を当てただけでもすごいじゃん」と思っている人もいるかもしれませんが、それは自己評価が高すぎですね~。
主人公が意識的に回避可能な敵の攻撃は、よほどゆっくりとした範囲攻撃ぐらいのもので~す。レベル108になっても、スライムの体当たりすら、反射的にかわせることのほうがマレで~す。
第2話では、主人公が致命傷を負わせられなかった変異ケダモンを鎮静化していましたが、これも文明の利器と異次元についての知識に頼っただけで~す。主人公に代わって致命傷を与えたわけではありませ~ん。
第3話では「イレイザーGe50」を相手にそこそこ活躍していましたが、攻撃も回復も文明の利器に頼り切りだったので、どこまでが本人の実力なのかは不明で~す。
最後のムービーでは華麗な剣術を見せていましたが、これは主人公の奮闘によりイレイザーが瀕死の重傷を負ってほぼ無抵抗だったからで~す。イレイザーが元気な戦闘中の時点では、ここまで華麗に動く余裕はありませんでした。
つまりこの瞬間の活躍は、瀕死のジュリアンテにトドメだけを刺したスピンドル兵士長の手柄に近いで~す。
4.イレイザーGe50戦での能力値
イレイザーGe50戦では、P890のこうげき力もイレイザーのしゅび力も、互いに下がりやすいで~す。
それでもキラキラポーンなどを使い、互いにデフォルトの強さの状態を見計らって、能力値を計測してみました。
まずイレイザーGe50ですが、こうげき力が約340、しゅび力が約405でした。HPは30000強でした。
これは能力値と「打たれ名人」のレベルが判明している自分自身で、殴ったり殴られたりしつつ算出した数値で~す。
ここからP890の能力を逆算すると、こうげき力が約630、しゅび力が約375でした。HPとMPは公開で、それぞれ530と410で~す。
このデータから見るに、文明の利器に頼ればレベル100ぐらいのころのプレイヤーに何とか伍していける程度ですね~。
そこそこ強いけれども、これまでの設定を覆すほど異常に強いというわけではありませ~ん。
なおイレイザーGe50がP890に一度に与えられるダメージはせいぜい80程度であり、P890は危なくなるとすぐ自己回復ができるので、一対一でも基本的にP890のほうが優勢で~す。
そしておそらく、ザイガス強にも一対一で勝てるでしょう。ザイガス強は、こうげき力369、しゅび力311、HP10000弱で、イレイザーGe50よりも弱いで~す。
5.普段の冒険に介入してこない理由
以上の、「事件簿」以前に観測できたパクレ警部もそこそこ強く、「事件簿」でのパクレの強さも驚くほどではないという、星月夜の説に賛同してくれた人の中にも、「それでも時空監察機関なら普段から強敵退治を手伝って欲しい」と思われた人が多いかと思いま~す。
星月夜が考えるに、おそらくそれは管轄違いなのでしょう。
セリフを読む限り、時空監察機関が対応するのは「異次元」からの介入だけで~す。
そして冥王の根拠地である冥府や、大魔王の根拠地である魔界や、ナドラガ神の根拠地であるナドラガンドは、せいぜい「異世界」であって、「異次元」ではないのでしょう。
ダークドレアムはひょっとしたら異次元案件かもしれませんが、仮にそうであったとしてもアストルティアへの直接の介入は「悪夢の眷属たち」を送り込んで直後に瞬殺されたというだけなので、時空監察機関が対応するまでもなかったのでしょう。
だから現実の警察が民事不介入であるように、時空監察機関も普段の冒険に介入してこないのだと思いま~す。
また表向きの姿であるパクレ警部としても、「パクレ警部の愛と汗の事件簿」によれば「オルフェアの町を守」るのが仕事のようなので、やはりそれ以外の地域に関する事件は管轄外なのでしょう。
今後もパクレ警部は、「オルフェアの町を守」るのが仕事である警部としてはオルフェアの平和を乱すダンダダ団などだけを追い、「異次元からの介入を防ぐ」というのが仕事であるエージェントとしては異次元案件だけを追い、基本的に主人公の冒険には介入してこないかと思いま~す。
6.「ザイガス戦」の合理的な説明
本人の申告を元にした「管轄」の発想だけで、これまでのパクレの介入と不介入は説明できると自負しておりますが、一見するとその例外であるかのようにも思える事例が二回だけありました。
第一の事例は、「オルフェアの町を守」るはずの警部の姿で、町内侵入罪を犯したザイガスを見逃したことで~す。
強戦士の書で会えるザイガス強は、フォステイル広場で弱体化したザイガスのみならず、オルフェアの町を襲ったザイガス(以下、「真正ザイガス」と表記)よりも強いことは、「まめちしき」から明らかで~す。
上述の実験と設定から「P890 > イレイザーGe50 > ザイガス強 > 真正ザイガス」という公式が成り立つので、「単純に怯えた」では答えになりませ~ん。
しかしアルウェ王妃の予言において、対真正ザイガス戦の必勝法が「パクレに頼れ」でなかったということは、やはりこの時点でのパクレには真正ザイガスに勝てない何らかの理由があったのでしょう。
当時真正ザイガスに勝てなかった理由としては、「イレイザー戦で使用した武器や防具が、状況なり身分なりのせいで、あの日は使えなかった」とか「当時はまだレベルが低かった」とかが考えられますね。
オルフェアのメインストーリーで「やはりよく考えたら 無罪である!」と言わず「今日は 機嫌がいいので 特別に 見逃してやるのである!!」と言ったのも、翌日以降であれば勝機があったと解釈することが可能で~す。
また第3話の「ワガハイも 出世したものだ」から、かつては地位が低かったことをうかがわせま~す。
以上、ザイガスについては、「警部としての管轄内の事件だが、あの日は勝てない事情があったので特別に見逃した」と説明しておきま~す。
7.「ラグアス王子捜索」の合理的説明
ラグアス王子はオルフェアの町民でもなく、かつラグアス王子の誘拐事件はグランゼドーラ船籍の船内で起きたので、警部としての管轄の外のように思えま~す。
そうであるのに、パクレ警部はこの事件に介入しました。これは「管轄」論では説明がしにくい、第二の事例で~す。
しかし同時に誘拐されたアンルシア姫や、直後にアンテロに誘拐された他の被害者にはまったく興味を持たなかったことから、やはり強烈に「管轄」を意識していることがうかがえま~す。
これは、誘拐事件のせいで被害者の伯父のサーカス団長が町を離れ、町が急速に貧しくなったので*1、文字通り「オルフェアの町を守」るための活動を開始したと考えれば、やはり本人の自己申告通りの職務の枠内の作業であるといえましょう。
8.追記(21時10分頃執筆)
この記事を発表したその日の内に、運営が公式見解で裏設定のネタバレをしたようで~す。
運営自身が公式見解のページ内でネタバレ回避の仕組みを作っているので、ここでは詳細を語りませ~ん。詳しく知りたいかただけ、こちらのリンクを参照くださ~い。
「こういう裏設定があるのなら、わざわざ星月夜が擁護するまでもなかったかな?」とも思いました。
しかし「某氏にとっても矛盾がない物語なので、仮に百歩譲っても批判対象である俗説は間違いである」と証明した記事であるといえなくもないので、今後も掲載を続けることにしました。