星月夜「「山の日」の記念記事のため、ジパングで一番高い富士山に登ってみま~す。一緒に来てくれる子、ぼしゅ~!」
夕月夜「無理の無理無理で~す。仮に暁月夜とお姉様を二人きりにすることになったとしても、夕月夜は絶対行きませんよ~だ」
暁月夜「日本一高い山って新高山じゃなかったか?」
星月夜「まずは吉田ルートのスタート地点の北口本宮冨士浅間神社に参拝よ!」
暁月夜「門を守る随身(神)って無名のモブキャラかと思っていたが、こんな名前がついている場合もあるんだな。『記紀』で見かけた記憶のない名前だが、典拠は何だ?」
星月夜「『古語拾遺』よ。一応岩波文庫にもなっているメジャーな資料なので、一読しておきなさ~い」
暁月夜「一応ここからが正式な登山道とはいえ、まだしばらくはガソリンバイクが使用できる地帯のようだな。ドルバイクより不安定だから、しっかりつかまってろよ~」
星月夜「五合目。小御嶽神社。ここからはガソリンバイクが使えない地帯なので、徒歩となりま~す」
暁月夜「およ、馬がいっぱいいるぞ」
星月夜「幾ばくかのゴールドを払うと、あれでさらにショートカットできるのよ~」
暁月夜「さっきからアストルティアと似たシステムが多いな~」
暁月夜「よしー、てっぺん目指すぞ! 30分ハンディをやるからマラソンで勝負だ」
星月夜「そういうのは「弾丸登山」といって、危険なのよ。地球では高い場所の気圧がすぐに低くなるから、いくら体力がある子でも徐々に高地の薄い空気に体を慣らしながらゆっくり登らないと、高山病になってみんなに迷惑をかけるのよ~」
暁月夜「ふん、仕方ないな~」
星月夜「眼下の雲が桃色に染まった夕暮れよ~。中々見ることができない光景だから一緒に楽しみましょ~」
暁月夜「どうせ夕月夜と一緒に見たかった光景なんだろ~」
星月夜「それは否定しないけどね。でも明日の朝の「ご来光」を一緒に見たい相手は暁月夜よ~。だから機嫌なおして~」
その後、二人は深夜まで付近の宿で健全に休憩をしました。
暁月夜「う~、寒い。夜になったとたん、急に寒くなったな」
星月夜「さあ、日の出の直前に山頂に着けるよう、がんばろ~」
暁月夜「似たようなプランのカップルさんが多くて大渋滞じゃないか。日の出がぐんぐん迫ってきたぞ」
星月夜「私の完璧な計算に狂いはないのだ。ちょうど間に合うはず」
暁月夜「おお、本当にギリギリ間に合った。そして何と神々しい日の出ではないか!」
星月夜「ふふふ~」
暁月夜「大して疲れもしなかったな。所詮こんなもんか。ささ、目的も果たせたし、一気に帰ろ~ぜ~」
星月夜「地球にはルーラストーンが存在しないので、ここからまた何時間もかけて下山しま~す。登りの何倍も体力を使うし、山頂という目標ももうないから精神的にもかなり疲弊するわよ~。さあ、がんばろ~」
暁月夜「そういうオチかよ~!」
暁月夜「遠くから見るとあんなに美しいのに、まるで地獄のような光景だな」
星月夜「登っているときは、もっとロマンがあったのにね」
暁月夜「逆にここから見ると、何と美しい国だろうか」
星月夜「世の中そんなもんなのかもね」