0.はじめに
5.2メインストーリーの冒頭では、魔仙卿が「魔仙卿のカギ」をくれま~す。
これを使うと、それまでは開けられなかった謎の9枚の扉を開けることができ、その奥には必ず重要物の入った黒宝箱が2個ずつ配置されていま~す。
本稿ではこの9枚の扉の配置には不自然なところがあると考え、そこに込められた運営からのメッセージを解読しました。
1.9枚の扉の配置エリアの内訳
魔仙卿のカギの必要な9枚の扉については、すでに多くの攻略ブログで位置が紹介されていま~す。
その内訳を公式用語のエリア別に分けると、「魔界辺境エリア」に2枚、「ファラザードエリア」に4枚、「ゴーラエリア」に1枚、「ネクロデアエリア」に2枚で~す。
この機械的な内訳をした時点で、すでにファラザードが随分と贔屓されているように見えま~す。
しかも物語内の設定を考慮すると、5.1中盤までネクロデアエリアに出入りできたのはファラザードの有力者のみなので、実質的に9枚中6枚がファラザードの管理下にあったといえま~す。
対してゼクレスとバルディスタは0枚という、非常に極端な配置で~す。
これを純粋に一つの世界で複数のアイテムを探し回るゲームとした場合、配置が不自然すぎて落第点で~す。
よってこれは単純な宝探しなんかではなく、運営からの物語解釈にまつわるメッセージとみなすべきなので~す。
2.特におかしなファラザードの集合住宅の扉
扉の枚数以外にも魔仙卿のカギがらみでもう一点、奇妙なファラザード贔屓の形跡がありま~す。
以下の写真のように、集合住宅には魔仙卿のカギが必要そうに見える扉がありま~す。
でも開けて中に入ると、そこは密室ではありませんでした。
塵も積もっていませんし、照明は煌々と焚かれており、普段から掃除夫などが出入りしているようですね。
なんと鉢植えまであり、花も元気で~す。
鉢植えを跨いだりできるNPCならば、王宮方向の通路と自由に往来できそうですね~。
ここから上を見ると集合住宅のベランダがあんなに近くにありま~す。縄梯子などで簡単に降りてこられそうですね。
こちらは逆に集合住宅からあの空間を見下ろした図。
そしてこの無施錠の扉を開けると…、
そのまま黒宝箱2個とご対面で~す。黒宝箱なのでさすがに一般市民は手が出せないでしょうが、国家権力ならば中身まで占有しているも同然で~す。
3.ファラザード贔屓をできたのは誰か?
これらの扉が9枚とも一人の人物によって設置されたというわけではない可能性もありま~す。しかし扉の設置者が複数人であったとしても、魔仙卿のカギを自由に扱えた立場の何者かが現在のファラザード贔屓の状況を作ったのはまず間違いないでしょう。
そして前章で確認したとおり、ここ200年以内に旧ザード遺跡とは別の場所に建てられた新興のファラザードの集合住宅にまで扉があったので、この時期に魔界にいた人物に限定されま~す。
なおゴーラのマデサゴーラの自室にあった扉は、マデサゴーラの生前から設置されていたものであると思いま~す。仮にこの扉がマデサゴーラの死後に魔仙卿の命令で設置したものであれば、その命令のさいに大魔王の覇印の返還命令も出ているはずなのに、5.1のヌブロ長老には先代が覇印を借りっぱなしだったという話題は初耳だったようでしたから。
よってマデサゴーラも自室に出入りするために魔仙卿のカギを使っていた人物であり、かつ専用の扉を新たに設置する能力と権限を持っていた可能性が高いといえましょう。
そうなると現状のファラザード贔屓の偏った扉の配置を作ったのは、魔仙卿本人か、マデサゴーラかの、どちらかということになりそうで~す。
4.ファラザード贔屓をしたのは誰か?
では魔仙卿とマデサゴーラのどちらがファラザードを贔屓したのかですが、三魔王にほぼ同等の評価を与えていた魔仙卿には動機のようなものがありませ~ん。
一方マデサゴーラは、三国のイデオロギーのうち「混沌」にもっとも高い評価を与えていました。これは「偽の魔幻宮殿のマデサゴーラの作品群の紹介と考察」という記事が参考になりま~す。
さらに前述の個室にあった『出征の辞』というマデサゴーラの古い手記に「余に 万が一のことがあれば 古だぬきのゼクレスや 暴れ馬のバルディスタが 黙ってはいまい。魔界は再び 乱れるだろう」と書かれていましたが、ファラザードについては危険視していませんでした。
そうした証拠のみならず、一般論である「遠交近攻」の理論からもゴーラが大切にすべきなのはファラザードということになりま~す。
以上により、ファラザードを贔屓したのはマデサゴーラだと考えました。
5.ファラザードの置かれた立場
おそらくマデサゴーラは「ファラザードには重要な物資の保管庫を無料で供出してもらうぞ」という命令のふりをして、事実上の支援をおこなったのでしょう。名目上の施錠は、支援であることを潜在敵国であるゼクレスとバルディスタに気取られないためでしょう。
マデサゴーラ没後、ユシュカが魔仙卿のカギを借りられる立場になった場合、遺品である黒宝箱の回収作業をバルディスタやゼクレスは邪魔することができませ~ん。一方でゴーラには多少の交渉材料が残されていま~す。
逆にバルディスタやゼクレスが魔仙卿のカギを借りられる立場になった場合、ユシュカは自国領の遺産を交渉材料にして妥協を勝ち取ったり、私物化して抵抗運動のための軍需物資にしてしまうことも可能だったというわけで~す。
6.以上の研究成果が過去の研究成果へもたらした影響
以上により、マデサゴーラが強くファラザードに期待をして贔屓をしていた一方で、ゼクレスとバルディスタを非常に警戒していたことがわかっていただけたと思いま~す。
これにより、「カジノオーナーのフォン・バルディ氏に、マデサゴーラとの通謀疑惑」という記事で主張した「マデサゴーラはバルディスタを警戒して新王にアストルティア出身の弱者を任命しようとしていた」という仮説が正解である可能性が、さらに少し高まりました。