ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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武闘魔ガウラドの記憶力の不自然な低さこそ、5.2で魔仙卿が明かした魔界の設定の予告だったのかもしれませ~ん。

0.はじめに

 武闘家の職業クエストで登場した武闘魔ガウラドは、魔界からの使者であったため、魔界には彼の前日譚に関する情報が存在するのではないかという期待がもたれていました。

 しかし後発のどうぐ使いの職業クエストで登場したデルクロア関連の情報は5.0の時点で早々と入手できたのに対し、ガウラド関連の情報は5.2になっても入ってきませ~ん。

 そこでそろそろ既存の情報を元にガウラドについて考えてみることにしました。

1.不自然に低い記憶力の問題

 武闘魔ガウラドを倒すと、「貴様には わかるまい……。 魔界に生きる者に 課せられた使命の重さを。 だが……。だが なぜ私は その使命を果たさねば ならなかったのか……。 今となっては もう覚えておらぬ……。 いつからか 私は 理由もなく ただ 与えられた使命を果たすためだけに 生きてきたように思える……」と語りま~す。

 これは発表当時の常識では、ツッコミ所だらけの発言に思えたことでしょう。

 ガウラドは自己の大切な使命の理由を、長めに見積もってもせいぜい数十年で忘れてしまい、それなのにその使命をアイデンティティにまでしてしまっていたのですから。

 しかも同じ魔界の出身者のザイガスが1.0時点で十五年間を「ほんの ひと眠り」とみなしていたのですから。

 しかし後述するように、5.2の終盤で魔仙卿が明かした魔界の設定を知ってからガウラドの末期の発言を読みなおすと、まことに味わい深い伏線だったという気がしてくるので~す。

2.魔仙卿の明かした魔界の設定の復習

 ここで魔仙卿の語った魔界の設定を復習しておきましょう。

 魔界は魔瘴に汚染された地域がルティアナによってアストルティアから切り離されて成立した世界で~す。

 魔界にはその切り離しのさいに見捨てられた者たちの絶望と無念が満ちているため、当時の記憶が失われたあとですら、住民の魂にアストルティアへの憎悪の炎が宿っていま~す。

 その記憶に基づかない本能的な憎悪こそ、大魔王を中心とした度重なるアストルティア侵攻の原因となったので~す。

3.魔界の設定で読み解くガウラドの発言

 前章で確認した魔界の設定を使い、ガウラドの一見奇妙だった発言を解読してみま~す。

※「魔界に生きる者に 課せられた使命の重さ」

 任務へのこだわりを語るならば、「我が軍の鉄の規律」などを話題に出すほうが自然であるのに、いきなり魔界の全住民が一律に重い使命を課せられているかのように語ってきました。

 そしてこの魔界住民の使命とやらが「大魔王への絶対服従」なんかではなかったことは、5.0で明らかになりました。ヴァレリアは大魔王の権威を軽視していましたし、バリクナジャが時には逆らった上司のネロドスが大魔王であったことも月明かりの家にて判明しました。

 つまりここでガウラドが語った魔界の全住民が一律に背負っている重い使命とは、5.2で判明した、魂に刻印されたアストルティアへの復讐心だったというわけで~す。

※「貴様には わかるまい……」

 やっと正直に遺言をする段階になったのに、いきなりヤーンを馬鹿にしすぎなようにも思えた発言で~す。

 しかしアストルティアへの憎悪の原因となった事件の記憶は完全に失われ、いわば本能的な理由で憎悪しているのであるとするならば、「理屈では理解してもらえない」という事実をなるべく誠実かつ簡潔に伝えたセリフに見えてきま~す。

※「なぜ私は その使命を果たさねば ならなかったのか……。 今となっては もう覚えておらぬ」

 一番馬鹿っぽく見えた部分で~す。

 しかし「昔は覚えていた」という認識のほうがアストルティアの常識に汚染されたがゆえの錯覚であり、本能的な衝動のみがアストルティア侵攻の使命の理由だとすれば、こういうセリフを吐いてしまうのも自然で~す。

※「いつからか 私は 理由もなく ただ 与えられた使命を果たすためだけに 生きてきたように思える……」

 その続きで、これもかなり馬鹿っぽい部分で~す。

 でも魔界の設定を知ってから読むと、「いつからか」の答えが「最初から」であることに気づいていない以外は、自分が本能的な憎悪に騙されて動かされてきたことに死の間際になってようやく気づきかけた人の発言という感がありま~す。

4.前日譚の記録は今後も登場しないかも

 ガウラドが上司の命令で行動していた可能性もゼロではありませんが、前章で解読した遺言の内容を見るに、仮にそんな命令があったとしてもそれは短期間で忘れてしまう程度の形式的で軽い命令だったのでしょう。そしてそもそも上司なんかいなかった可能性のほうが高そうで~す。

 つまり、テロリズム関連の専門用語でいうなれば彼は「ローンウルフ」だった可能性が高いので~す。どの過激組織にも所属していなかったものの漠然と社会に不満を持っていた者が、過激組織の活躍ぶりを見ているうちに自身も過激化し、個人の判断で急にテロを始めるというケースで~す。

 おそらく「マデサゴーラ様もがんばっているんだから、自分もできる範囲でがんばらないと」とか、勝手に決意してしまったのでしょう。

 この場合、ガウラドなんて魔界ではただの行方不明者で~す。

 ザイガスやラズバーンの情報を魔界で聞けない件については、地理を扱った過去の記事でプレイヤーの見ているマップの外側が本籍地なのではないかという説をたてました。

 でもガウラドの場合、仮に既存のマップの出身者だったとしても、記録に残らないほうが自然だというわけで~す。

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