0.はじめに
本稿では破界篇第1~3話時点のキーマンであるクマリス・ファビエル・メドナムの三名の名前の由来の考察をしつつ、その正体を探りました。
当初は物語が全部終わってから、その内容も参考にしつつ最終的意見だけを語ることも考えていました。
でも第3話で配信は一応一区切りであるので、ここまでに考えた内容を暫定的に一度発表しておこうと思ったので~す。
第4~6話で考えが変わったら、またその過程も書けばいいだけの話ですからね。
なお検索したところ、クマリスに関する説は二つともすでに数多くの人に言われていたので、説自体は真新しいものではありませ~ん。またファビエルに関する説と、メドナムに関する説のうちの一つは、きゅろいぬさんの「破界篇 ファビエルとメドナムの名前について考えてみた」という記事で先に発表されてしまいました~。
新説にしか興味のないかたは、「3-1」と「3-2」以外は読み飛ばすのも手かもしれませ~ん。
1.クマリスの語源
1-1.「熊」・「栗鼠」説
第2話の時点で空きビンのラベルを元に語った説で~す。
当時はクマリスの正体が魔勇者アンルシアのほぼ完全な転生だと思っていたので、本名「アンルシア」を隠すために付近のラベルを元に即興で名乗ったものだと考えたので~す。そのころは自分の中で正解率は90%ぐらいでした。
ただし第3話で魔勇者のアイデンティティの大半は滅びの手または滅びの剣に受け継がれた可能性が高いということが判明したので、正解率を80%ぐらいまで下げました。
1-2.「クリスマス」説
その反射的効果によって正解率10%弱から20%弱へと強化されたのがこちらで~す。
2016年のクリスマスイベントに登場した「魔天の勇者」*1は、勇者姫アンルシアの偽物である「魔勇者アンルシア」のさらなる偽物として創られた可能性が高い人物で~す。そして固有名詞の部分を持っていませんでした。
「こういう民草を 護りたいと思ったものだ」発言も、「無能な民しか護れなかった」人の発言とも解釈できますが、「そもそも一人の民も持てなかった」人の発言とも解釈できま~す。
それに偽物であることに長年苦しんだ人をエンディングで諭す場合、偽物のそのまた偽物なのにがんばって生きている人の発言が一番で~す。
2.ファビエルの語源
ファビエルについては、最強の語源を一種類だけ発見し、それを深めていく形となりました。
日本語では「ハビエル」とも「ファビエル」とも表記される、ほぼそのままの発音で、現代スペイン語に"Javier"という名前がありま~す。姓としても名としてもミドルネームとしても用いられていま~す。
その由来は現スペイン領にあるハビエル城であり、その城の名前はバスク語で「新しい家」を意味する"etxeberria"から来ていま~す。
なお"etxe"の部分が「家」を意味し、"berria"は「新しい」を意味する"berri"の単数絶対格ですが、この綴りはあくまで現代の王立バスク語アカデミーが定めた正書法によるものであり、大昔から使われていたわけではありませ~ん。今でもフランス風の方言のバスク語話者の多くは「家」を"etche"と綴るそうで~す。発音も現在の標準バスク語でこそ「エチェベリア」ですが、当時の現地ではかなり違っていたかもしれませ~ん。「"etxeberria"と"Javier"では綴りも発音も全然違うじゃん!」と疑われたかたは、以上の事情を汲んでご納得してくださ~い。
こんな話ばかりを書くとジパングからはるか遠い世界の話に聞こえますが、この城の主の子である聖フランシスコの名前を聞けば、一気に親しみがわくかと思いま~す。『ドラゴンクエストIII』でジパングへの布教に失敗して嘆いていた神父の最大のモデルで~す。
「新しい家」という語源は、壊れかけた世界をリフォームする側である護りの手の選定者と相性がいいですね~。
3.メドナムの語源
3-1.発音重視の"медонам"説
タジク語で"медонам"は「知っている」を意味する動詞であり、発音はそのまま「メドナム」だそうで~す。
発音のみを重視するならばこれが最強でしょうが、人名どころか名詞ですらないのが弱点ですね~。また意味においても、第3話時点では滅びの手の選定者とあまり関連性がなさそうで~す。
3-2.人名重視の"Μέδων"説
人名であるということを最大限重視したところ、古典ギリシア語の"Μέδων"(メドーン)にいきつきました。
ただしどう格変化させても「メドナム」にはなりませ~ん。ラテン語化した"Medon"もしかりで~す。
そしてこの名前を持つ有名な神話上の人物にも史実の人物にも、メドナムと似た者がいないのも弱点で~す。
3-3.対比重視の"Medmenham"説
最後にファビエルと対なる存在であることを重視して捜索した結果、イギリスの地名"Medmenham"(メドメナム)にいきつきました。
この地名の由来には複数の説がありますが、有力なものとして古英語で「中規模の屋敷」を意味しているという説がありま~す。
「古い家」ほど完璧な対ではありませんが、「通常の家」と理解すれば、それなりに「新しい家」と対になりますね~。
またこのメドメナムの地には名目上は修道院でありながら実態は風俗店だった有名な施設が存在していたそうで~す。
この件も、「強烈な信仰心を発露した聖フランシスコ VS 淫祠邪教」という図式になりますね~。
雨月「エロネタで終わると誰が想像しただろうか?」