1.不死の悪魔、ザイガス
オルフェアのメインストーリーでフォステイル広場にて主人公に敗れたザイガスは、紫の霧となって消え去ったはずでした。
しかし彼は「魔瘴が活性化した影響で」とかいう理由で「ザイガス強」として復活を遂げました。
復活までにかかる時間は現在ではほんの数分。1.0初日に倒された場合ですら1.3配信までの約半年で復活できました。
しかも上司に怒られ給料が半分になったことへの悔しさの力だけで一気に強くなりました。
また2.3後期以前にはザイガス強とはフォステイル広場で戦うことができたのですが、ここでも強戦士の聖域と同じ戦闘力を持っていましたので、フォステイル広場の霊力に対する耐性も身に着けたことになりま~す。
運営は、やろうと思えばこのザイガス強も他の強ボスと同じように「幻影」と言い張れたでしょうし、そのほうが「まめちしき」執筆の手間も省けたでしょうに、あえて「ザイガス本人」であることを強調しているので~す。だからこれは深い意味がある設定だと考えるべきでしょう。
幻影ではなく本人として復活できた強ボスには他に冥王ネルゲル強がいますが、あちらは「大いなる闇の根源のチカラで この世に よみがえった」とされていま~す。魔瘴の活性期も広い意味では「大いなる闇の根源のチカラ」の一端ではありますが、文章を読み比べてみるとやはりネルゲルの復活のほうが作為的な雰囲気がありますよね。やはり本当に自然治癒力だけで復活して強ボスになれたボスは、ザイガスだけなのでしょう。
魔界よりは魔瘴の薄いアストルティアでも「活性期」ならジャゴヌバに特段の贔屓をされなくても自然に復活できるということは、魔界では実質的に常に不死といえましょう。
2.不死の悪魔長、ジウギス
そしてザイガスの上司で取締役のジウギスもまた、幻影ではなく実体であるというのに、主人公に何度倒されても復活しま~す。
強ボス関連で実体でありかつ量産型ではないというのに何度も復活するモンスターとしては、他にもミャルジ・アトラス・バズズ・ベリアルがいま~す。
でもミャルジは戦闘中ですらキャット・マンマーが蘇生させているので、戦闘後にも蘇生させていると考えるべきでしょう。アトラスたちは元々の所属が冥界なので、倒しても次に召喚されるまで元の世界に帰還しているだけと解釈できま~す。
だから強ボスで本当に自分の自然治癒力だけで復活しているのは、ザイガス強以外ではジウギスのみと考えられま~す。
するとザイガスの勤務先って、ネロディオス覇王国みたいに一定以上の地位の連中はみんな不死のチカラを与えられていそうで~す。
『亡国の記憶 ~ネロディオス覇王国~』では「これまでの 魔界の歴史を見ても 不死のチカラを持つ者は ネロドスの他に存在せず」とありますが、これは所詮は本が書かれた時点までに書き手が得た見識に基づく記述で~す。
第二のネロドス的存在がすでに出現していて、将来は第二のネロディオス覇王国になることを目指す会社を経営し、役員や有力社員に次々に不死のチカラを分け与えることで今まさに勃興しつつあるという可能性は、十分にあるので~す。
以下、この仮説に基づいて話を進めま~す。なおザイガスの勤務先を仮に「不死の悪魔産業(株)」と呼び、その代表取締役を仮に「不死の悪魔ズエグス」と呼びま~す。
3.不死の悪魔産業(株)の業務形態の推測
ただし、そういう会社は将来性があるからこそ今はまだ魔界で目立つわけにはいかないのでしょう。
ザイガスの上司のジウギスがザイガスとの差異を「管理職の おそろしさ」と強調しているので、ザイガスは管理職ではないのでしょう。そんな平社員ザイガスの上司がいきなり取締役なのですから、現在の不死の悪魔産業(株)はまだまだ中小企業で~す。
「幹部はみんな不死だけど戦闘力は成長途上で、勢力もまだ小さい」なんていう設定の会社がゴーラに見つかってしまったら、自分たちが伸張してゴーラを征服する前にゴーラから先制攻撃を受け、社員全員がジャオマンダみたいに絵に閉じ込められてしまうのがオチで~す。そうなったら不死だろうともうどうにもなりませ~ん。
同じく、勃興期にゼクレスに見つかったらレイジバルスみたいに封印されて都合のいい使い魔にされてしまうでしょう。バルディスタに見つかったら氷漬け、ファラザードに見つかったら鉄塊化で~す。
かといって現時点でアストルティアに活路を見出しすぎたら、叡知の冠に目をつけられて魔軍十二将の二の舞として魔法の迷宮送りにされることでしょう。
不死というだけで覇王になれるほど、『ドラゴンクエストX』の世界は甘くはないので~す。
だから不死の悪魔ズエグスは、プクリポの子供を「喰えば喰うほど 強くな」るような性質の社員にはプクリポの子供を喰らう業務をさせ、他の手段で強くなる社員にはその作業に打ち込ませ、やがて来る本格的な旗揚げの日まで密かに実力を蓄えているのでしょう。
もちろん社員たちには、「各員強大化のために必要最小限の騒動を起こすのは仕方がないが、それでもなるべくなら目立つな。とくに国家権力に目の敵にされることは、可能な限り避けよ」とか命じていたことでしょう。
4.やっと説明がついた悪魔たちの中途半端に穏便な態度
4-1.ザイガスの中途半端に穏便な態度の解釈
これで説明が一気につくのが、ザイガスのアルウェ王妃に対する中途半端に穏便な態度で~す。
ムービー「ふたたび銀の丘で」では、ザイガスはアルウェ王妃に予言を強要しつつも、アルウェ王妃の呼称は要求通りにしており、「15年待ち」の条件を大人しく飲み、予知後に用済みになったはずのアルウェ王妃を即座には殺さず「予知のほうびに お前は いずれ 苦しまぬよう 殺してやろう!!」と実質的に見逃していました。
こういう穏便な態度については、初見時には「わざわざそんな妥協をする必要がなさそうなのに、なぜこんなにもお人好しなのか?」と疑問に思ったもので~す。
でも今こうして魔界の情報も得たうえで勃興期の不死の悪魔産業(株)の微妙な立場を考えれば、納得できま~す。
4-2.ジウギスとザイガス強の中途半端に穏便な態度の解釈
同様にジウギスとザイガス強にも中途半端に穏便な態度がありましたね。
プクリポ以外の種族の主人公でザイガスを倒した場合も、ジウギスのまめちしきでは「プクリポどもめ とくと見よ! 管理職の おそろしさを!」と対プクリポ限定の宣言をしていま~す。
そして彼らは強ボスの多数派と違って幻影ではないというのに、フォステイル広場または強戦士の聖域から決して出ようとしませ~ん。
プクリポに舐められすぎると今後のプクランドでの業務が困難になる一方、叡知の冠にまでその脅威が伝わると困るし、いざいうときの退路は確保しておきたいという、彼らの置かれた微妙な立場がここにも反映されているのでしょう。
(2021年10月6日追記)
5.5後期で大いなる闇の根源が滅んだあともネルゲル強が復活すると判明したので、彼もまたザイガスと同じく魔瘴と自然治癒力で復活していると判明しました。
(2021年12月27日追記)