0.はじめに
本日は、断罪の森の亡霊たちの生きた時代について、断罪の森の紹介記事では書ききれなかったことや新たに思いついたことや考えが変わったことなどを、語っていきま~す。
1.なぜ国が荒廃したのかについて
迷宮レベル3の出口近くのほうにいた亡霊によれば、大魔王を倒す前よりも倒したあとのほうが国が荒廃したとのことでした。
大魔王との戦争を上回る損害を国に与え続けたものとは何だったのでしょうか?
いくつかの仮説が思い浮かんだのでそれぞれ検討してみました。
1-1.「女王の悪政が主原因」仮説
亡霊は「すべては あの日。 (引用者による中略) もたらされた日に 始まった」と国の荒廃のきっかけを話してくれま~す。
そこで、「勇者を失い理性を失った女王が手始めに盟友と賢者ワルスタットを断罪し、続いて恐怖政治を開始したため国が荒れた」という筋書きを考えてみました。
しかしこの場合だと恐怖政治こそが荒廃の最大の原因であるので、最初の犠牲者である盟友とワルスタットの二名は、大勢いた被害者の中では誤差レベルの頭数で~す。しかもこの二名のうちの一名であるワルスタットは、最終的には死後にかえって盟友に対して罪悪感を持つ程度の軽い被害ですんだようであり、現に王家の墓に埋葬されるという栄誉まで得ていま~す。
それなのにこの亡霊は二名への被害の大きさばかりを強調してきま~す。
よって二人の被害の話題は、被害者の単なる代表例として出されたのではなく、国の荒廃という次の被害の原因として持ち出されたものと解釈すべきでしょう。
また女王は賢者の日記を悪意で解釈したとはいえ、日記の内容を一応は表面的に理解していましたし、その解釈に基づいて賢者だけは許す度量も見せていました。
これだけの理性が残っている元首が、大魔王との戦争以上に国を乱すほどの悪政を敷くとは到底考えられませ~ん。
しかも亡霊は女王への恨みのようなことは語らず、加害者を「誰しも」と表現していました。
以上により、この「女王の悪政が主原因」仮説は棄却にいたりました。ある程度の悪政はあったとしても、それ以上の他の要因も考えるべきでしょう。
1-2.「民衆の狂乱が主原因」仮説
では次に亡霊が批判の対象とした「誰しも」に着目し、「国民全員が盟友と賢者へのやり場のない怒りにより暴れまくり、治安が乱れてまともな経済活動が行われなくなった」と考えてみました。
しかしいくら勇者が人気者だったとしても、民衆にとって所詮は他人であり、その一人の死をめぐって戦争以上の被害を自ら生み出し続けるとは到底思えませ~ん。
類例であるアルヴァンの事実上の死亡に怒った1000年前の暴徒も、カミル像を破壊する程度で矛を収めていました。
だからこれも主原因とは思えませ~ん。
1-3.「人間同士の戦争が主原因」仮説
やはり魔界との戦争を上回る被害の原因といえば、人間同士の戦争と解釈すべきでしょう。
「戦後の盟友への処遇に不満を持った何らかの主体が、神聖ゼドラ王国またはグランゼドーラ王国の主流派に戦争を仕掛けてきた」というストーリーが思い浮かびま~す。
これが元々一番素直な解釈であり、また上記の他説の棄却という消去法により、一層説得力が増したと思いま~す。
以下、この仮説を前提に話を進めま~す。
2.交戦対象は?
その場合、交戦対象が何者だったのかを考える必要がありま~す。
2-1.「盟友個人」仮説
不満を持った盟友が、加害者である「誰しも」を殺しまくったと考えてみました。
しかし大魔王を相手に三人がかりでやっと辛勝したメンバーの内の僅か一名が、大魔王を上回る被害をもたらし続けることができるとは考えにくいで~す。
この盟友の戦闘能力の問題を、仮に盟友のレベルが大魔王を倒して一気に上がったという論法で無理に乗り越えたとしても、まだまだ課題は山積みで~す。
いざとなったら外国に高飛びのできる個人であり、かつ命懸けで大魔王に挑むような正義感のあった盟友が、怒りに任せてわざわざ民衆まで殺しまくるというのも奇妙な話で~す。
そういうわけでこの仮説は棄却しました。
2-2.「国内の団体」仮説
たとえば「レビュール族」などの元々不満をくすぶらせていた国内の団体が、信奉する盟友への処遇を機に内戦を起こしたという仮説で~す。
しかし大魔王からの被害を上回るほどの被害を国にもたらすことのできる巨大な団体が盟友擁護論を主張していたとなると、亡霊が加害の主体を「誰しも」と表現する可能性は低そうで~す。
亡霊にとっての「誰しも」が「政権中枢の誰しも」だった可能性も否定はできないので、完全な棄却にはいたりませんでしたが、自己評価で20点ぐらいの仮説で~す。
2-3.「盟友と縁の深い強大な外国」仮説
そこで、たとえば「出身地」などの理由で盟友と縁の深かった強大な外国と戦争となったと考えてみました。
これは交戦主体が亡霊のいう「誰しも」から除外される可能性の高さの観点のみならず、被害の規模の観点からも、内乱説よりも優れていると考えま~す。