1.「狭間の世界エリア」がもたらした影響
5.4で追加された新マップである「ルクスガルン大空洞・魔界」と「ルファ神殿」は、地図やアビスジュエルを使うと「狭間の世界エリア」に属していることがわかりま~す。
この「狭間の世界エリア」という公式の地域名により、アクバー強のまめちしきに記載された「狭間の世界」の解釈が二通りになったことで、ドミノ倒しのように一気に四諸侯全体の解釈が変わっていったので~す。
この「狭間の世界」は、5.3までは「『ドラゴンクエストVI』でデスタムーアが現実世界と夢の世界の中間に創りあげた世界」という解釈しかなかったのですが、5.4以後は「『ドラゴンクエストX』の狭間の世界エリア」を指している可能性も出てきたというわけで~す。
星月夜は次章で後述する理由から「狭間の世界エリア」説が優勢であると考え、それを覆す新たな情報が配信されるまではこちらのほうを推していこうと考えておりま~す。
2.「狭間の世界エリア」説が優勢である理由
2-1.当時の上司の地位
アクバーが「狭間の世界に君臨した」ときの立場は、「魔王の右腕」でした。
そして『VI』のデスタムーアは、一般に「魔王」としてよりも「大魔王」として扱われていま~す。
だからこの観点においては、アクバーが狭間の世界に君臨しつつその右腕を務めた魔王とは、「『X』の魔界のザハディガル岩峰を領土の一部としていた過去の魔王の一人」と解釈するほうが自然なので~す。
2-2.「君臨」の意味
「君臨」というからには、その地域内においてはアクバーは君主だったのでしょう。
『VI』の狭間の世界には上司のデスタムーアの城もありますし、欲望の町の事実上の支配者であるモルガンはアクバーの指揮系統下というわけではなさそうなので、『VI』でのアクバーはせいぜい「牢獄の町に君臨した」だけの立場で~す。
2-3.魔界における確固たる地位
アクバーのそっくりさんの「魔賢者アクバー」はアストルティアを征服することも視野に入れていた相当の実力者ですが、幻界の四諸侯のアクバーのほうがさらに「魔界における地位も実力も」「完全に格上」となっていま~す。
わざわざ「実力」と区別して「地位も」と強調しており、「完全に格上」とまで書いているのですから、その地位は非常に高いのでしょう。
やはり一つの魔王国のナンバー2として狭間の世界エリアを与えられることで、現代ゼクレス内で大公領を所有するオジャロス大公ぐらいの地位を確保していたと考えるべきで~す。
2-4.グランマーズの時系列
夢現篇のラストでは『X』のグランマーズと『VI』のグランマーズの時系列は多少曖昧な余地がありましたが、『アストルティア創世記』の335ページで『X』のほうが古いと公式に認定されました。
魔法の迷宮のテリーはドランゴと組んでから『X』の世界に来たので『VI』が常に『X』の未来だとは断言できませんが、グランマーズの公式設定によりその逆の断言もできないということになりま~す。
そして魔法の迷宮では『VI』のさらに未来の『IV』の人物も登場し、また魔法の迷宮には5000年前のエテーネからも行けるので*1、時系列の根拠にはほぼなりえませ~ん。よってグランマーズの時系列を優先するべきで~す。
すなわち『X』のアクバーは、そもそもまだデスタムーアの部下になった経験がない可能性が高いということで~す。
しかもアクバー強のまめちしきにはデュランに対する捲土重来の狙いが語られており、彼の「未来」が示唆されていま~す。その計画が半ば成功したのが『VI』の時代なのかもしれませ~ん。
さらに想像をたくましくすると、デスタムーアが狭間の世界を創ろうとしたこと自体が、そういう特殊なエリアの支配の経験があるアクバーの助言によるものだったのかもしれませ~ん。
2-5.デュランの経歴
幻界の四諸侯たちはグランマーズ以上にアクバーと同じような時間と世界を生きてきた可能性が高いで~す。特にデュランはアクバー強の「今ではデュランと立場逆転」という記述を読むに、ほぼ100%の確率でアクバーと同じ時間と世界を生きてきたのでしょう。
そしてグラコスのまめちしきには「いにしえの四魔王の一角」と書かれているのに、デュランのまめちしきには「幻界の四諸侯の一角」としか書かれていませ~ん。
もしもデュランとグラコスが『X』の世界に来る前にデスタムーアに仕えていたのであれば、過去の経歴はほぼ対等のはずで~す。
また「デュランダル」はまめちしきの「自分の名前をこの機械兵士に 与えた」という記述からデュランが作らせた可能性が非常に高いのですが、その作らせた者のことは「ある戦い好きの大魔族」や「彼を作らせた大魔族」と表記されており、かなり慎重に「魔王」という表記が避けられていま~す。
すなわちデュランは、「最近になってやっとアクバーを抜いたものの、まだ一度も魔王になったことがない」と考えるほうが自然で~す。
そして『VI』時代にはデュランとほぼ同格だったムドーが「魔王」と呼ばれていたことを考えると、アクバー・デュランはともに『VI』世界が未経験である可能性が高いということになりま~す。
2-6.ムドーの能力
ムドーのまめちしきには「何度倒されても復活する 不滅がウリの魔王だったが 魔法の迷宮では皆同様なので アイデンティティ喪失が悩み」とありま~す。
『VI』で実際に不滅だったのは偽ムドーのほうであり、ムドーは不滅というウリは虚偽でした。
だから『VI』の世界の体験のあとで『X』の魔法の迷宮に来たのだとすれば、「皆同様」で悩んだりはしないでしょう。むしろかつての法螺話が現実になったことを喜ぶぐらいのはずで~す。
だから、「かつての不滅の魔王がいったん皆が不滅になる魔法の迷宮に封印され、やがて辛くも脱出して『VI』世界に行くも、不滅の能力を失った」と考えるべきで~す。
そして「若き日の自分の能力を夢の世界で再現したのが偽ムドーだった」と考えると、実に自然で~す。
2-7.壮大な伏線「幻界の四諸侯」
3.0で幻界の四諸侯が実装されたときには、多くのプレイヤーがこの集団をデスタムーア軍の残党と決めつけた上で、「なぜデュラン・グラコス・ジャミラスと同じような役割を担っていた同僚のムドーが入っていなくて、別種の立場だったアクバーなんかが入っているんだ?」と運営を批判してしまいました。
星月夜もその一人でして、「四諸侯の人選への不満」なんていう記事を書いてしまいました。いやはや、青かった!
魔法の迷宮時代のほうが『VI』での活躍の前日譚だったとすれば、「幻界の四諸侯」の人選は全然不思議ではないですね。むしろ壮大な伏線とすらいえま~す。
まず魔界時代にはほぼ他人だった四人により魔法の迷宮で「幻界の四諸侯」というユニットが作られ、その後は魔法の迷宮では他人だったムドーと一緒にデスタムーア軍に就職して五人の立場が決めなおされたのだと考えれば、実に自然で~す。
(9月1日追記)
「魔法の迷宮では他人だった」という部分は、5.5後期の「真・幻界諸侯」の導入により否定されました。
3.「狭間の世界エリア」説が正しかった場合の他の諸侯の解釈への影響
3-0.総論
アクバーの旧領について「狭間の世界エリア」説を採用すると、その影響は他の幻界の諸侯の解釈にも波及しま~す。
本章では仮に「狭間の世界エリア」説が正しい場合に、他の幻界の諸侯がどのような立場となるのかを分析しま~す。
3-1.デュラン
アクバーが魔界西域で魔王の右腕をしていた当時は、おそらくどこぞの国のナンバー3ぐらいだったのでしょう。最大限高めに見積もっても、アクバーが所属する国より弱い国のナンバー2で~す。
もちろん配下にいた「世界最強の剣士」はテリーとは別人で~す。
3-2.グラコス
彼の経歴にあった「いにしえの四魔王」は、当然ながら幻界の四諸侯とは別物となりま~す。
その「四魔王」も、現代の三魔王のように同時に在位していたのか、それとも大魔王顔壁の五大魔王のように異なる時代に存在したのか、まったく不明といわざるをえませ~ん。
ただし残りの三人のうちの二人がバラモスとムドーであるという可能性は、すでにまんまる堂さんの「「いにしえの魔王軍」みたいな新コインボスが登場しそうな気がする」という記事で指摘されているとおり、まめちしきに根拠がありま~す。
3-3.ジャミラス
5.3までは、幻界の四諸侯の一人として『X』の世界に来たのに個人の立場でネロドスにも使えた気の多い奴という印象がありました。
しかし「幻界の四諸侯」というコンビが各人が魔法の迷宮に封印されてから結成されたものとなると、アクバーに似た経歴だったというだけの話になりま~す。
3-4.ムドー
『亡国の記憶 ~ネロディオス覇王国~』によれば、魔界の歴史で不死のチカラを持つ者はネロドスの他には存在しなかったそうで~す。
そしてこの『亡国の記憶 ~ネロディオス覇王国~』はネロドスのアストルティア侵攻を「1000年前」と表記しているので、つい最近書かれたものといえま~す。
過去記事「ザイガスの勤務先の代表取締役は第二のネロドスのような存在なかもしれませ~ん」で書いたジウギスやザイガスならば「発刊当時はまだ無名」という弁解もなりたちますが、「不滅がウリの」「いにしえの魔王」の記録が残っていないという可能性は低いで~す。
だからムドーは、『VI』の世界でもなければ『X』の5thディスクの魔界でもない、まったく別の世界の出身である可能性が一番高そうで~す。
それが具体的にどこであるのかはまだ不明ですが、やはり前述の「いにしえにバラモス・グラコスと一括りだったかもしれない」という件が、今後の研究の最大の手がかりで~す。
(9月5日追記)
ムドーの出身地については、考えが変わりました。詳細は本日の記事にて。
(9月23日追記)
本稿で提唱した彼らの時系列が正解である可能性が若干高まりました。詳細は本日の記事にて。