0.はじめに
通称「アルウェ王妃のノート」には絶大な効果がありますが、あまり多用されずに物語から退場しました。
本稿ではその原因となったノートの限界・弱点について考察しま~す。
1.ノートの設定の確認
誰の願いでも三つだけかなえてくれる代わりに、一人で三つ願いをかなえるとその者は死んでしまうノートで~す。
フォステイルがかつてつくりました。いわゆる「流浪のフォステイル」は、このノートの製造過程でもありました。
フォステイルはこのノートをアルウェに渡し、アルウェからさらにラグアスの手に渡り、ラグアスが三つめの願いをかなえる寸前に消えました。
試作品はクエスト「パクレ警部の現実」*1に登場した銀色のノートで~す。
こちらは願いのかなえかたが不安定であるという弱点がある一方で、使用者への明確なペナルティがないという長所もありました。
2.フォステイル本人は他人と同じようには使えない。
たとえばもしフォステイル本人が「世の中のためになる願望のみが書かれますように」と「誰もが願いを二つまでで我慢しますように」という願いを書いていたなら、ノートがもたらす幸福の量は史実より大きく、不幸は史実より小さかったことでしょう。
賢い上にノートの設定をプレイヤー以上に知っているはずのフォステイルのことですから、さらにもっと効率的な願いを二つ思いつけていた可能性もありま~す。
それをしなかったのは、フォステイル本人はこれを他人と同じようには使えないということでしょう。
どの程度使えないのかは謎で~す。まったく願いがかなわないのかもしれませんし、あるいは一つめの時点でペナルティが来てしまうのかもしれませ~ん。
また使えない理由についても謎で~す。製造者だから使えないのかもしれませんし、時渡りの呪い*2のせいなのかのかもしれませ~ん。
3.二冊目の製造も不可能。理由はおそらく材料不足。
もしフォステイルに二冊目の製造が可能なら、パルカラス亡霊王への対策は、莫大な費用を投じてキラキラ大風車塔を急造することではなく、二冊目のノートの製造であったことでしょう。
仮に自分ではその二冊目に何も書けないとしても、「パルカラス亡霊王を消し去って」と書いた上にその後は私利私欲のためには使用しなさそうな人物に渡せばいいからで~す。
ノウハウがあるのに二冊目が作れなかったということは、おそらく一冊目が完成した時点で材料が尽きたのでしょう。
その不足した素材は「一度枯渇するとフォステイルですら容易には入手できない貴重な何か」ということになりま~す。クオードが苦労したボロヌジウム風情ではないことは間違いないでしょう。
それが具体的に何であるのかを探るために、次章では試作品の類似品について考えてみま~す。
4.類似品『小さな英雄ザンクローネの物語』の原稿から、不足した材料を考える。
『小さな英雄ザンクローネの物語』の原稿は、銀色のノートの類似品で~す。
効果が特定の地域内という限定がついてはいますが、基本的に書かれたとおりのことが起きま~す。
部外者が物語の内側に入り込んでしまうと不安定な部分も出てくるというのもそっくりで~す。
よってこのチカラは、効果対象地域を創造し原稿内容からの影響を望んだマデサゴーラによって付与されたものであると考えられま~す。
マデサゴーラが付与できて、かつこの世界をある程度まで好き放題に改変できるチカラとなると、これはもうマデサゴーラが光の河の中で拾ったという「創生(創世)のチカラの破片」*3のそのまた一部としか考えられないで~す。
ここで5.4メインストーリーの序盤を思い出しました。「微量ならばアストルティアで創世のチカラを採取することは決して不可能ではなく、しかもフォステイルにゆかりの深い銀の丘の付近の銀の森ではその使用が予定されている」という設定が描かれていました*4。
これで一気に辻褄が合いました。
フォステイルは少しずつなら創世のチカラを採取できて、かつてそれを活用してアルウェ王妃のノートを作成したものの、パルカラス亡霊王への緊急対策としての二冊目の製造には、チカラの採取が間に合わなかったのでしょう。
5.まとめ
絶大な効果を持つアルウェ王妃のノートがあまり使われないまま物語から退場したのは、製作者のフォステイル自身は何らかの理由で使えず、かつ二冊目の急造もおそらくは材料不足で不可能であったから。
その材料とは、試作品の類似品の由来やフォステイルの伝記などから総合的に考えるに、創世のチカラである可能性が高い。