第4篇 破裂
4-1
ゾシマの昨日の予言どおり、ホフラコワ夫人に奇跡が起きる。
僧たちの多くはゾシマの死後にさらに偉大な奇跡が起こるに違いないと思い込む。
ゾシマはアレクセイに対し、最後の遺言はとっておいてやるので、まずは外で家族に対する義務を果たしてくるよう命じる。
そしてこの僧院にはゾシマの対極的存在としてもう一種の尊敬を集めるフェラポントという苦行僧がいた。狭い部屋でいつも苦行をしており、長老制度に批判的である。
遠方から来た一人の客僧は、両者のどちらを信じていいか悩む。
4-2
アレクセイがフョードルを見舞うと、彼はまた散々長男と次男への不満を吐く。
4-3
アレクセイは途中の道で、やたらと喧嘩っ早くて嫌われ者の少年と出会い、怪我を負わされる。
4-4
アレクセイは、ホフラコワ夫人宅に着き、すぐに傷の手当をされる。
リーザはアレクセイに恋文を送ったことを今では後悔し、撤回したがっている。
ホフラコワ宅に同居しているカチェリーナには、先にイヴァンが訪ねてきているようである。
4-5
カチェリーナはドミートリイをもう愛していないと自分で宣言するも、まだまだ感情の整理がついておらず、またイヴァンに対する感情も複雑のようである。
それでも数日前にドミートリイが父の手先とみなして酒場で攻撃したスネギリョフに対しての罪悪感だけは本物らしく、慰謝料200ルーブリを届けるようアレクセイに依頼してきた。
イヴァンによると、カチェリーナは自分を愛していないときのドミートリイを愛してしまうという厄介な性格らしい。
イヴァンは近々この町を離れてモスクワに行くそうである。
4-6
アレクセイはスネギリョフ二等大尉の貧しい家を訪問する。
先ほどアレクセイを襲撃した小学生はイリューシャといい、スネギリョフの子であった。父の仇であるドミートリイの弟であるので、攻撃を仕掛けたらしい。
4-7
スネギリョフは病気の家族を抱えていて非常に貧しく、200ルーブリの慰謝料に非常に誘惑されるも、最後の瞬間に名誉を重んじて受領を拒否する。
第5篇 Pro et Contra
5-1
アレクセイは200ルーブリの顛末をカチェリーナに報告するためホフラコワ夫人宅に戻るが、カチェリーナはヒステリーで面会謝絶である。
アレクセイはリーザを一人の女性として尊重して未来の妻として扱うが、ホフラコワ夫人は不快のようである。
雨月「ロリコンの兄さんが娘にちょっかいかけたら、そりゃあ親は不愉快やな」
5-2
アレクセイはゾシマの元に戻る前に最後にドミートリイと再会したいと考えるが、見当たらない。
カラマーゾフ家の隣家で、マリアという女性にスメルジャコフがギターの弾き語りをして惚れられているのを発見する。スメルジャコフはカラマーゾフ一門を本音では全員嫌っているようである。
それでもスメルジャコフからイヴァンとドミートリイの料理屋での会見予定を聞きだせたので、アレクセイはその料理屋に向かう。そこにはまだイヴァンしかいなかった。
5-3
アレクセイとイヴァンの対話が始まる。
イヴァンが翌日にはモスクワに行ってしまうのは、確定事項のようである。
5-4
イヴァンは、世界中で子供たちが様々な虐待を受けているという話を語る。この理不尽さを宗教は解決できるだろうかという話になる。
5-5
イヴァンは非常に有名なあの『大審問官』を語る。具体的な内容については姉の記事を参照のこと。
そして二人は別れる。
5-6
イヴァンは帰宅のさいにスメルジャコフに会う。イヴァンは腹の底ではこの男にある種の近親憎悪を感じている。
スメルジャコフは、ドミートリイに脅されてフョードルとの暗号を教えてしまったので、近々殺人事件が起きるかもしれないと主張していた。そしてそうなったら自分は責任を逃れるため持病の癲癇の発作のふりをしてやりすごす予定だとも。
イヴァンは自分もまた翌早朝にはモスクワに行くので巻き添えにはならないということを教えてしまう。
5-7
モスクワに行こうとするイヴァンに、フョードルはチェルマーシニャに寄って家業の手伝いをするよう命じる。
イヴァンはいったんはそれに従う気になるも、駅に着いた途端にやはりモスクワに行くと決めてしまう。
スメルジャコフは予定通り仮病で倒れ、カラマーゾフ家は無防備となる。
第6篇 ロシアの僧侶
6-1
アレクセイがドミートリイに会えないまま僧院に戻ってくると、ゾシマは必ず再会して彼の企みを止めるよう再度説得してきた。
6-2
ゾシマの生涯の思い出話。
6-3
その続き。
そしてゾシマ急死。
第7篇 アリョーシャ
7-1
死から相当早い段階でゾシマの死体からは猛烈な死臭が発生し、ゾシマの権威は一気に低下する。
アレクセイはこの有様を見て生き方を変える決意をしたようである。
7-2
ラキーチンはアレクセイを、酒やグルーシェンカ宅に誘う。アレクセイは生き方を変えたせいかノコノコついていく。
7-3
グルーシェンカとの対話。
グルーシェンカは子供のころ、一本のネギの話を聞いたことがあるらしい。
ある意地悪な老婆が生涯で一回だけ乞食にネギを与えたので、天使がネギを老婆に掴ませて地獄から引っ張ってやろうとしたものの、他の罪人も老婆の足にまとわりついてきたので老婆はそれを蹴落としてしまい、そのせいで老婆も地獄に逆戻りになったそうな。
グルーシェンカはこの席で、自分がフョードルのものにもドミートリイのものにもならず、かつて自分を捨てた将校とよりを戻すということを通告してくる。
雨月「このネギの話って『蜘蛛の糸』*1そっくりやな。妙なところでカンダタさんと再会することになったもんや」
7-4
僧院に戻り、アレクセイはより自覚的に生まれ変わる。
三日後、ゾシマの遺言どおり、僧院から出ていく。
第8篇 ミーチャ
8-1
ドミートリイは使い込んだ3000ルーブリの返済のため、金策を試み。
まずはグルーシェンカの庇護者であるサムソノフ老人と組んでフョードルとの訴訟をしようとするが、そういうことならゴルストキンと組むよう断られる。
ゴルストキンは、フョードルの土地を買いたがっている人物の一人である。
8-2
苦労して旅費を工面してドミートリイはゴルストキンに会いに行くが、まるで会話にならず終わる。
8-3
ドミートリイはホフラコワ夫人から金を借りることを思いつき、うまくいきそうな雰囲気にもなるが、結局は借りられないまま終わる。
グルーシェンカの居所も不明で焦ったのか、ドミートリイはグルーシェンカ家から巨大な杵を武器として持ち出す。
8-4
ついにフョードルを襲撃するドミートリイ。大金も入手できたようだ。
しかし殺害に成功したか失敗したかは自分でもわからないまま逃亡する。
8-5
ドミートリイは極端な興奮状態の中、グルーシェンカの召使のフェーニャと存外まともに会話をしたり、質として預けていた拳銃を引き出しに行ったりする。
8-6
ドミートリイは御者と馬鹿話をしながらグルーシェンカを追う。
8-7
到着した店には、グルーシェンカの他に、読者にとっては非常に懐かしいカルガーノフやマクシーモフといった連中が第2篇以来久々に登場し、ドミートリイと賭け事をすることになる。
グルーシェンカを五年前に捨てて最近戻ってきたヴルブレーフスキイもいたが、五年ぶりの再会は両者にとってあまり感動的なものにはならず、決裂してしまう。
8-8
ヴルブレーフスキイと破局したグルーシェンカは、再びドミートリイに好意を戻す。
しかしそこに警察署長ミハイル・マカーロウィチ・マカーロフ率いる警察がやってきて、ドミートリイを親殺しの容疑で逮捕してしまう。
この時に一緒に来た役人は、めぼしいところではマヴリーキイ・マヴリーキチ警部とまだ名前が不明な予審判事・副検事である。