星月夜はセラフィの語源は三つあると考えていま~す。
うち二つはすでに他の人が主張しているところを見かけたことがあるのですが、第三のものは星月夜が最初に思いつたものである可能性が高そうで~す。
本稿ではまず通説となっている二つの語源を確認し、最後に自身の説を挙げま~す。お忙しいかたは最後の部分だけ読んでくださ~い。
※語源その1 セラフィム
元の飼い主のカレヴァンの名は、キリスト教史における有名人物であるカルヴァンと似ていま~す。
さらにカレヴァンの異名「疾風のサザンクロス」は、キリスト教のシンボルマークを想起させま~す。
確認されたカレヴァンの他の仲間モンスター四匹の名は、それぞれキリスト教の天使の階級の名称に似ていま~す。
こういったことから、セラフィの最大の語源はキリスト教の天使の階級名である"שרפים"(セラフィム)であると考える人が多いで~す。
ただし「セラフィム」の語源のヘブライ語"שָׂרַף"(サラフ)は「燃やす」を意味するので、これだけが語源だとセラフィのイメージに合いませ~ん。
※語源その2 セラピー
英語の"therapy"(セラピー)は、治療を意味しま~す。
ホイミが得意なセラフィにぴったりで~す。
以上二つの語源から「セラピーをする天使」という意味まで読み取った先行研究は、何度か見かけました。
※語源その3 セラピス
"Σέραπις"(セラピス)とは、住民から見て異民族のギリシア人でありながらエジプト王国を支配することとなったプトレマイオス朝が、ギリシア人でもエジプト人でも崇められる対象として創作した神で~す。
先行研究に見当たらなかったため最後になってしまいましたが、少なくとも「元ネタ」という観点ではこれこそが最大の語源だと思っておりま~す。
以下、なぜセラピスがセラフィの語源であるのかを説明しま~す。
アラハギーロ王国はピラミッドの存在などから地球のエジプト王国のイメージが強く投影されていますが、王族に「ラウル」や「ミラン」といったヨーロッパ系の名前の人物がいて、ピラミッドが過去の存在になっているので、エジプト王国の諸王朝の中でもとりわけギリシア人がファラオをしていたプトレマイオス朝のイメージが色濃いといえま~す。
偽アラハギーロ王国の事情はさらにプトレマイオス朝に似ておりま~す。いかにもヨーロッパという雰囲気の偽グランゼドーラ王国からやってきたバスラーが現地出身のベルムド王を粛清し、偽グランゼドーラ人のルーベンによる支配が始まりました。
その後は国民の気持ちもバラバラな上にキルギルの襲撃などもあってしばらく混迷を深めましたが、やがて全員をまとめ上げられてルーベンも納得する支配者としてセラフィが推戴されました。
このときセラフィに期待された役割は、プトレマイオス朝においてセラピスに期待された役割と似ていま~す。
しかもこのセラピス神は、やがてキリスト教のイエスとも同一視されるようになったそうで~す。ここでまた第一の語源と同じく疾風のサザンクロスのカレヴァンとつながりました。