ギリウスの語源についてはかつては一つしか思い浮かばなかったのですが、今までに他の語源の可能性のある単語も見つけたので、ここにまとめておきま~す。
※棄却仮説 "gilvus"
「~ウス」という人名はラテン語を想起させま~す。そして星月夜が知る限りのラテン語で一番「ギリウス」の発音に近いのが"gilvus"(ギルース)で~す。
形容詞の単数主格男性形なので、おそらくほとんどの辞書に載っていることでしょう。
意味は「薄い黄色の」で~す。
意味がギリウスの業績とほぼ無関係なので、この仮説は最初に棄却しました。
いつか再利用するかもしれないので、ここに一応記載しておきま~す。
※語原その1 義理薄
ギリウスについて知ったばかりの過去記事「4.5メインストーリー その2 新たな危機との戦い & 4.5前期の通常モンスターのコンプリート」で最初に提唱した説で~す。
先祖代々世話になってきたキュレクスから力を奪って幽閉したのですから、「義理」というものを軽視する人物だということになりま~す。
※語源その2 ぎる
北海道などの方言に「盗む」を意味する「ぎる」という動詞がありま~す。
この動詞を連用形名詞にすると「ぎり」になり、そこにローマ人男性風の語尾「ウス」をつけると「ギリウス」になりま~す。
キュレクスの力を盗んだ人物の語源にぴったりで~す。
※語源その3 Vergilius(ウェルギリウス)
日本語表記だとそのまま「ギリウス」を包括するローマ人の名前で~す。
ローマの人名という点だけでも、おそらくこれが最強の語源でしょう。
そして意味においても最強なので~す。
ウェルギリウスの名を持つ者で一番有名な人物が"Publius Vergilius Maro"で~す。世界史の試験で回答欄に「ウェルギリウス」とだけ書けば、自動的に彼を意味しま~す。本稿でも以下の「ウェルギリウス」は彼個人を意味することにしま~す。
ウェルギリウスは、共和制ローマが帝政に移行する時期を生きた詩人で~す。
「帝政」といっても過渡期においては名目上は共和制であり、一市民であるアウグストゥスが大昔から存在した最高神祇官などの様々な官職を兼任することで実質的な帝政を実現していました。
ウェルギリウスはこういう時期に、ローマを建国した双子の兄弟の先祖にあたるアエネーアースが活躍する『アエネーイス』という叙事詩を書きました。アエネーアースはローマの建国者の先祖であるとともに、アウグストゥスが所属したユリウス氏族の先祖ともされていました。こういう物語が流布することで、民衆が認識するローマの歴史は再編集され、アウグストゥスの帝政は必然の栄光として許容されていったというわけで~す(異説もありま~す)。
このローマの変質の過程に似た過程がエテーネにもありましたね。エテーネ王国も形式上は700年以上連続していますが、15代ギリウスのクーデターで体制が大きく変わりました。「祭祀長」を意味していた「王」は「専制君主」の意味となりました。建国神話もそれにあわせて書きかえられ、キュレクスは人間だったことにされました。
すなわちエテーネ王国のギリウスには、共和制ローマの体制を事実上変えたアウグストゥスのイメージと、その新体制を自分が現代化した神話の力で正当化したウェルギリウスのイメージとが、重ね合わせられているといえましょう。
夕月夜「こういう古代ローマの歴史を知っていないと、その知識が常識である地域で誕生した映画などの内容の理解も困難ですよね。たとえば『スターウォーズ』シリーズで、エピソード4の時代になってやっと皇帝が元老院を解散し、それでもそれを聞いたレイア姫が「それは予想より早すぎる!」という意味の驚愕の表情を浮かべている場面を真に理解するためには、これは必須の知識でしょうね~」