0.はじめに
鍛冶・さいほうに続いて木工職人の数値の法則も見抜いたので、計算式を発表しま~す。
1.数値や記号の定義など
『魔人本』176ページを参考にしました。
普通に削ったときの基準値nは、他の職人と同じく12~18の7通りの自然数で~す。
ただし「カンナがけ」の数値だけは、nを何倍かして算出されるのではなく、同確率で登場する5~8の4通りの自然数として表では表現されていました。これはnとは別物の"m"と定義しま~す。基準値の時点でこういう別の体系があるのは木工だけで~す。
nには木目・特技・くさび打ち・会心という四種類の変化がもたらされ、mは最初から特技なので木目・くさび打ち・会心の三種類の変化がもたらされま~す。
過去の類似記事では「特技」を全部yとし、「会心」を全部wとしてきたので、今回もその例に従いま~す。「くさび打ち」はx、「木目」はzとしま~す。
xは、普段は1で、「くさび打ち」を使った場合の数値については、後述するように手間取ったので独立した章にしました。
yは、2マス以上彫る特技の最弱マスが0.8、普段は1、3マス彫る特技の中央マスが1.1、2マス以上彫る特技の最強マスが1.4、「2倍彫り」で2、「3倍彫り」で3で~す。
zは、普段は1で、木目に逆らうと0.5で~す。
wは、普段は1で、「会心」が発動すると2で~す。
2.計算順序
2-1.x対y
xの値は後述のように0.8の逆数である1.25よりも大きいのですが、表ではいったんy=0.8の作用でn=15もn=16も13という一つの数字にまとめられてしまうと、そのx倍は21にしかならないようになっていました。
つまりyとxでは、yが先に計算され、そのときに切り上げを伴うというわけで~す。
2-2.x対z
n=13もn=14も、z=0.5の作用があると7にまとめられてしまいますが、さらにxも作用すると11・12に分かれていました。
これらは13・14にまずxが作用して21・23になったあとの、半分の値の切り上げでした。
つまりxとzでは、xが先に計算され、そのときに切り上げを伴うというわけで~す。
2-3.wについて
会心が発動すると理想値に到達しない限りは常に偶数なので、経験的にこれが最後とわかりま~す。
2-4.小結
y→x→z→wの順に計算されま~す。
3.「くさび打ち」時のxの数値を見抜く
「くさび打ち」については『魔人本』175ページでは「約1.6倍」とされているだけで、正確な数字は不明でした。
でも、10を17に変え、20を33に変える作用があったので、x倍の後に「切り上げ」も行われていることは容易に推定できました。
また今の例から、「くさび打ち」のときは「1.6<x≦1.65」になることもわかりま~す。
あとはこの式をより精密にするため、一例ずつ地道に計算していきました。
具体的には、木目に沿ったケースの40例において、くさび打ちの作用がない状態をaとし、くさび打ちの結果をbとし、b/aと(b-1)/aとをそれぞれ見ていったので~す。
するとb/aは77/48のときに40例中最少の1.6041666…となったので、xはこれ以下ということになりま~す。
一方(b-1)/aについては、最初に発見した1.6が最大のままでした。xはこれよりも大きいということになりま~す。
よって「くさび打ち」のときは「1.6<x≦1.6041666…」であり、この中の値のどれかであればどれであっても、現状の木工とは矛盾しませ~ん。
暗算をするならば「1.6倍して少数が出たら繰り上げで、少数が出なかったら1を足す」という作業をするのが、一番合理的といえましょう。どうせ0.004167なんて、200倍したって1に届きませんからね。
雨月「珍しく本当に役立つことが書いてある章やな」
4.結論
(イ)カンナがけのとき
(ロ)それ以外のとき
5.余談?
雨月「このシリーズを非実用的と馬鹿にしてきた雨月やが、今回は実用的な部分もあったから脱帽したで~」
暁月夜「やはりエルフといえば木工だな」