ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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ヴァルザードと石の関係を考え、さらにそこから勇者に関するある伝統について考えました。アシュレイがホーリーキングに圧勝したという設定の謎も解けたかもしれませ~ん。そして伝説へ。

1.ヴァルザードと石の関係

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 ヴァルザードにはにまつわる話が二度出てきました。デビュー戦である血潮の浜辺の戦いでは大ダコの石化に成功しました。さらに首都ザードは全体が一人の石の魔人でした*1

 当初はこれを単なる偶然と見ていました。

 でも5.5後期で、ヴァルザードが単なる政治と戦争の天才ではなく、ゴダに始まる対症療法の伝統を乗り越えて魔界の問題を完全に解決するためにブルラトスの開発もしたという業績が語られました*2

 さらに6.2で、ダフィアが自分が危険なお守りを装備させた上で発動させたレオーネの石化を、さもゴダの業績であるかのように喧伝したという話も語られました*3

 また過去記事「魔界の「覇王」の研究」ではヴァルザードには漢の高祖劉邦のイメージが投影されていると書きましたが、劉邦には皇帝になったあとの異民族の匈奴との戦いで敵の偽の弱兵に油断して深入りして敗北をしたというエピソードがありま~す。

 これらの設定を勘案するに、「若き日からヴァルザードは伝承をたよりに「勇者(または盟友)は強いが石化攻撃には滅法弱い。耐性はゼロで、効果は少なくとも数千年続く」と思い込み、大魔王に就任してアストルティアに攻め込むときに備えて、石に関する魔術の研究にも邁進していた」という仮説が思い浮かびました。

 この仮説が正しい場合は、ヴァルザードは当然ながら「レオーネの石化は、実は装備したお守りによる内側からの呪いだった」という裏情報については知る由もなく、純朴に生涯を賭けて懸命に石化攻撃の練習をしていたことになりま~す。

 そうして苦労して習得した外部からの石化攻撃が、アジールや新生レオーネには効かなかったか、あるいは効いてもムドーの「石化の魔光」のように10秒程度で解除されてしまったかにより、ヴァルザードは想定外の敗北を喫したのかもしれない。星月夜はそう考えました。

 なにしろあれほど用意周到なヴァルザードですから、こういう想定外の事態でも起きない限り、むざむざと他の大魔王と同じような末路を辿ったりはしないのではないでしょうか。

2.ゼドラ族お家芸、勇者に関する偽情報

 前章ではヴァルザードが勇者(または盟友)に関する偽情報に踊らされたのが敗因かもしれないという話を書きましたが、勇者に関する偽情報はゼドラ族のお家芸のようで~す。

2-1.ゴダを騙した嘘

 人類側は巫女の神託を根拠に「大魔王の侵攻に対抗して、偉大な双子の勇者が生まれた」という内容の宣伝を散々していましたが、実はその双子は青年期に入って初めて二人がかりでやっと剣聖ガーニハンに一本とれる程度の実力でした。

 でも「勇者こそ自分の対抗馬」という情報に踊らされ続けたゴダは、最期には勇者を道連れにするということばかり考えて硬直時間の長い大技を使ってしまい、その隙にガーニハンに殺されてしまいました。

 この件は過去記事「6.2メインストーリーその1 勇者の曙光」で書いたとおりで~す。

2-2.ネロドスを騙した嘘

 4.1メインストーリーでは、アルヴァンは本当はカミルを愛していながらその素振りをあまり見せず、ヴィスタリア姫との婚約も維持していました。これを見て「この優柔不断な二股男め!」と思った人も多いことでしょう。星月夜もその一人でした。

 しかしアルヴァンがカミルへの愛情を自然体で隠していたことが、ネロドスを油断させました。愛し合う二大英雄の一人だけが特攻をしかけてきたら、普通なら「もう一人を生かすためにとんでもない自己犠牲の技でも使いそうだな」と警戒するものですが、ネロドスはそういう想定ができずに禁忌の秘術を使われ死にました。

 アルヴァン本人にはおそらく悪意は無く素の言動だったのでしょうが、まさに二股膏薬のダフィアの子孫の面目躍如といったところで~す。

2-3.マデサゴーラを騙した嘘

 グランゼドーラ王国に「今度の勇者はトーマ王子!」と宣伝されていたこともあり、マデサゴーラは本物の勇者姫の捕獲には失敗しました。

 そのあとで仕方なく急造した魔勇者は失敗作でした。黒仮面に改造したトーマの死体は、先代勇者の指輪をはめてやってもせいぜい神の緋石を破壊するのが精一杯であり、奈落の門を開けることはできませんでした。

3.またもや大魔王はこの手口に騙された?

 6.0~6.2で、この手口が当代の大魔王である主人公を相手にまた使われた可能性が高いで~す。

 まずは6.0の「攻撃が強いのは兄の勇者アシュレイであり、弟の盟友レオーネは防御役」とヘドロヌーバ戦で強調されました*4

 そしてホーリーキングに圧勝して八分割をした英雄は、6.0のカンティスの回想の場面ではシルエットで描かれていましたが、6.1の裁定の聖堂ではこれがアシュレイだったと明言されました*5

 しかし6.2が始まってみると、アシュレイは悪神化してパワーアップしてもホーリーキングより弱いボスでした。一方でレオーネは、たった一人で戦務室の精鋭たちもクリュトスもフェディーラもコテンパンに倒してしまうほどの強さでした。

 この6.2の今までの情報をひっくり返したような二人の戦闘力は、「レオーネは、紺碧の試練ではアシュレイを装ってホーリーキングに圧勝した。ヘドロヌーバ戦では防御キャラにすぎないふりをした」と考えれば説明がつきま~す。

 ホーリーキングを八分割したときの回想の場面であえてシルエットが使われたのも、「この勝利者の影は、アシュレイのものかもしれないしレオーネのものかもしれないということに、注意せよ」という運営からの遠回しなメッセージだったと考えれば、非常に納得がいきま~す。しかもその回想をしているのはあまり注意深くないカンティスですから、彼が易々と騙されたということを描いた場面であった可能性が高いといえま~す。

 当然ながらこの「アシュレイは強い」という偽情報の流布の動機は、トーマとアンルシアに関する情報の入れ替えと同じく、真の黒幕の正体を隠すためであり、また仮に正体がばれた後もその真の強さを隠すためで~す。

4.過去作からの系譜

 多くの冒険譚で「ラスボスは、主人公のポテンシャルに気づけず有効な対策を序盤で打てなかったのが敗因となる」というケースがあり、『ドラゴンクエスト』シリーズにもそういうラスボスは何名かいました。

 『蒼天のソウラ』第15巻28ページでイシュマリクが「そう言って いたずらに 勇者を 成長させ 足を掬われた 魔王は多い」と悪い例として語ったのは、その種の失敗例で~す。

 しかし『IV』のデスピサロは勇者の出現と成長を非常に警戒しており、自ら最前線に立って勇者の隠れ里を襲ったほどでした。そしてこの「勇者だけを特に警戒する」という姿勢のせいで、逆に偽勇者シンシアを殺した時点で油断をしてしまいました。

 このシンシアの手口の系譜を受け継いだのが、本稿第2章3節で確認した現代のグランゼドーラであるといえま~す。

 またダイの大冒険』のバーンは終盤でダイの危険性にかなり気づけたものの、ついにポップの危険性に気づけないままであったことがやはり敗因となりました。

 このポップの立場の継承者が、本稿第2章1節で確認したガーニハンであるといえま~す。

 イシュマリクは父が様々なドラクエシリーズのラスボスの力を借りられる立場であったので、こうした勇者にこだわり過ぎて滅んだ事例も知っていた可能性が高いで~す。両方の知識があったからこそ、同巻48ページで「本当に奴を このまま行かせてしまって 良いのか…?」と悩みに悩んだのだと思いま~す。 

 以上により、「『ドラゴンクエスト』シリーズで「勇者」と戦う「魔王」は、勇者にあまりこだわらないでいると成長されて足をすくわれる。しかしこだわりすぎると目が曇って陽動に弱くなる」という教訓が導き出されま~す。