ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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5012年前のエテーネ王国には「写真」ならあったのに、メレアーデによると「写真機」は存在しなかったそうで~す。この理由について考えました。

1.研究テーマ

 おにぎりさんのツイートで知ったのですが、メレアーデは写真機について「エテーネ王国には なかったけど」とメモをしていたようで~す。

 しかしメレアーデの本籍ともいうべき5012年前のエテーネ王国を舞台としたサブストーリー「旅に出ると決めた日」*1で、コンギスは「写真を撮ってきてほしい」と依頼してきました。「写真」という概念について解説を加えず、「謎の外国人だろうと写真というものを知っていて当たり前」という立場を前提にした態度でした。

 しかも同時代の便せん屋イトクリ(旧名オダマキ)が「思い出アルバムの 写真を 絵葉書にできる」便せんを20ゴールドで売っていましたし、廃墟のドミネウス邸のアルバムには「小さな男の子と 女の子の写真が たくさん 貼られている。 写っている男の子と 女の子は どうやら クオードと メレアーデのようだ」とあるので、やはり写真自体は当時も大量に存在していたようで~す。

 この齟齬について星月夜は即興で三つの仮説を考えてツイートし*2、その後はじっくり相互の優劣を検討しました。本稿はその成果で~す。

2.第一仮説「メレアーデが知らなかっただけ」

2-1.内容紹介

 「本当は当時も写真だけでなく写真機まで存在していたのに、メレアーデは世間知らずのお嬢様だったから知らなかった」という説で~す。

2-2.検討すると短所だらけ

 最近まで写真機について知らなかったのなら、エテーネ王国に存在したのかどうかすら知らないでしょうから、不存在を断定する文を書く可能性は非常に低いで~す。

 また「当時はまだ発明されていなかった」と信じ切っている者の書いたメモならば、写真機の不存在の範囲を国ではなく時代で表現するはずで~す。たとえば「私たちの時代には まだなかったけど」という具合にで~す。

 つまりこのメモは、「長年知識としては持っていた機器を、ついに実際に使い始めた人の感想文」として理解するのが、文脈上自然だということで~す。

 それに自宅に自分と弟の写真を大量に収録したアルバムがあるのに、その撮影の仕方に一切興味を持たないというのは不自然で~す。

 かつメレアーデは一人でユマテル通りの路地裏を探検したというエピソードもあるので*3、決して深窓の箱入り娘などではありませ~ん。

2-3.自己評価で5点

 そういうわけで第一仮説はほぼ棄却に近い扱いとなりました。自己評価では100点満点中5点ぐらいで~す。

3.第二仮説「機械に頼らずに撮影していた」

3-1.内容紹介

 たとえば、MPを1しか消費しない「念写」の呪文がエテーネ王国で広く知られていたとしましょう。またあるいはエテーネ王国の錬金術で簡単に大量生産できる「機械に頼らず写真に変化する紙」が1ゴールドで売られていたとしましょう。

 こういう理由で写真撮影が盛んだった場合は、わざわざ金を払ってまで撮影用の機械を購入しようと考える人は少ないでしょうから、技術よりも採算の観点から写真機は製造されなかったことでしょう。

 「機」の名に値しない原始的な装置で撮影していたというAbel@DQX (Nabechan)さんの説*4も、広い意味ではこの説の一種に当たりま~す。

3-2.検討すると5012年前の時点では欠点だらけ

 クエスト「旅に出ると決めた日」で、ドラゴンキッズたちの現在の位置について「おそらく アイツらは まだ そう遠くへは行っていないだろう。 エテーネ王国領の どこかにいると思うぞ」と想定していたコンギスが、あえて土地勘の面で弱点を持つ「そこの指針書を 持たぬ者」である外国人に写真撮影を依頼した件が、最大の弱点で~す。

 このクエストはメインストーリーでドミネウスが死に指針書が死文化したあとも受注できるので、「密告を怖れたから外国人に頼んだ」という説明は困難で~す。

 そうであるのにコンギスは、「ある朝」ドラゴンキッズが逃亡してからしばらくの間は、腕が立ち口の固そうなエテーネ人を探そうともせずに、偶然外国人に出会えるような僥倖を待ち続けていたので~す。

 ゆーえーにー、やはり「5012年前の時点のエテーネ王国では手段を問わず写真の撮影自体が廃れており、撮影をしたければ外国人に頼むのが一番現実的だった」と考えるべきで~す。

 また前述の通り幼少期の写真なら大量にあるメレアーデ姉弟ですが、クエスト「新米便せん屋の初仕事」*5でメレアーデが資料として押しつけてきたのは「美しい姉弟肖像画」だったので、「5012年前の時点のエテーネ王国では王族であるメレアーデすら写真の入手が困難だった」可能性が非常に高いといえま~す。

 つまり「エテーネ王国では(写真機とは別の手段により)写真撮影が盛んだった」という想定は、メレアーデがティーンエイジャーになったころから5012年前までの期間においては、ハズレである可能性が高いので~す。

3-3.単独では5点

 この説の内容自体は、たとえば「5020年前」ならば真実の一部である可能性がそこそこあると思いました。

 でもこの説だけで本稿の冒頭に掲げた5012年前の問題を説明し尽そうとすると、それは自己評価で5点ぐらいの説明になってしまうという結論に達しました。

4.第三仮説「指針書で写真機の所持が禁止された」

4-1.内容紹介

 「ある時点から指針書により写真機の所持が禁止されたため、エテーネ王国でのみ写真機が存在しなくなった」という説で~す。

4-2.検討

4-2-1.他の仮説の弱点を悠々と克服

 まず、リンジャハルなどの外国には写真機が存在していたことを匂わせる「エテーネ王国には なかったけど」という表現に完全に合致しま~す。

 また、「幼少期のメレアーデとクオードの写真ならあるのに、青年期になると肖像画しか残っていない」という状況にも合致しま~す。

 さらに、コンギスが「指針書を 持たぬ」という特性に注目して写真撮影を依頼した件との整合性も非常に高いで~す。

4-2-2.類例あり

 エテーネ王国は魔法生物を作れる段階まで文明が進んでいたのに、主人公がキュルルと王都を訪れた時点の少し前に急に錬金術師たちの指針書に「すべての魔法生物を 処分せよ」と書かれたことが、ムービー「王都の錬金術師たち」のベルマの発言から判明していま~す。

 ゆーえーにー、「他国より文明が進んでいたはずのエテーネ王国でのみ写真機が急に所持されなくなり、写真撮影は指針書を持たない観光客だけの特権になった」というストーリーもまた自然だということになりま~す。

4-2-3.動機あり

 キュロノスが魔法生物の処分を命じたのは、ルオンが推測したように*6、魔法生物である偽シャンテの歌がヘルゲゴーグの弱点だったことが動機の一つだったと思われま~す。また同じく魔法生物であるメガロダインが成長すると一定の脅威になるということも動機の一つだったかもしれませ~ん。

 こういう動機があってこそ、指針書による写真機所持の急な禁止というストーリーにも説得力が生じま~す。

 ここで思い出したのが、レイミリアの弱点で~す。「粗末なライト」などで「この人物には影が無いので、幻影の黒幕」と見抜いた者は、レイミリアによる記憶の改変効果が消えてしまうという設定でした。

 おそらく写真機のフラッシュでもレイミリアは影が無いことを暴かれてしまい、しかもその状態が写真として残れば勘の鈍い被害者でも黒幕をやがて見抜けてしまえそうで~す。

 ゆーえーにー、キュロノスが5020年前ごろに「計画の最終段階においては、エテーネ王宮をレイミリア幻灯機の力で他地域と切り離そう」と考えた場合、その時から「レイミリアの弱点となる写真機を可能な限り減らしておこう」と企んでもおかしくはありませ~ん。

 またレイミリアの「まさか そんな粗末なライトで バレてしまうとは」という発言は、「粗末なライト」よりも高級な機器の脅威ならばしっかり認識して対策してきたように聞こえま~す。これこそ「写真機の粛清ならば、ここ数年でほぼ完了した」という設定の赤裸々な告白だったと考えることができま~す。

4-3.自己評価で95点

 これは怖いほど辻褄が合いました。自己評価でも95点ぐらいあげたいで~す。