0.はじめに
本稿は、5月24日の記事に寄せられたコメントへの返信として書いた文が、我ながらもっと世に知られるべき内容であると思ったため、加筆をして発表したもので~す。
面白いテーマを下さった「まいら」さんには改めてお礼申し上げま~す。
1.そのまま発音すると「蛆虫」であることの確認
SFC版『ドラゴンクエストIII』から登場した「マゴット」の名前については、星月夜は「どうせイギリス系の名前である"Margaret"(マーガレット)の短縮形の"Margot"(マーゴット)のそのまた短縮形なんでしょう」と自然に決め込み、それ以上は考えてきませんでした。
でも「「マゴット」という発音をそのまま受け入れた場合には、"Maggot"すなわち「蛆虫」という意味になる」という事実はしっかり確認しておくべきでした。
そしてその上で"Maggot"と"Margot"でどちらがより「マゴット」の語源として強力なものであったかを論証すべきでした。
2."Margot"の影響の強さの証明
以下の二つの根拠から、"Margot"が"Maggot"よりもマゴットに強い影響を与えたと星月夜は考えま~す。
2-1.酒場の初期メンバーの大半が人名
マゴットの同僚たちの大半が、地球で実在する人名が元になっていま~す。
だからマゴットも相当の確率で人名"Margot"を元に作られたと考えられま~す。
ただし戦士女性の「ミザリー」という例外もいま~す。
2-2.長母音を短母音にする形での短縮が他メンバーでも見られる
FC版のルイーダの店には戦士男性の「ヘ゛ンハ」がいま~す。これはユダヤ系の人名で映画の題名にもなった"Ben-Hur"(ベン・ハー)が元と思われ、長母音を短母音にすることでFC版の人名の文字数の限界をクリアーしていま~す。
同じくFC版の戦士男性の「スタロン」もまた、アメリカで有名な姓"Stallone"(スタローン)の長母音を短母音にしたものと思われま~す。
ならば「マーゴット」が「マゴット」になるのも自然といえましょう。
3.語源を使い日本名にたとえてみた
過去記事「「闇を見つめて」と『新世紀エヴァンゲリオン』と『シン・ゴジラ』の関係 あとボスの名前や戦場の考察とか」で書いたように、フランス系の"Marguerite"(マルグリット)もハンガリー系の"Margit"(マルギト)も、イギリス系の"Margaret"(マーガレット)と同じく、語源は古典ギリシア語で「真珠」を意味する"μαργαρίτης"(マルガリテース)で~す。
これを参考にして、「「マルガリテース」という美しい語源から発生した人名「マーガレット」の短縮形「マーゴット」をさらに不自然に短縮して「マゴット」にしたせいで、他の美しくない意味と勘違いされやすくなった」という本稿の話の流れを、日本人の名前でたとえてみました。
「「真珠」という美しい語源から発生した人名「珠子」の愛称「珠ちゃん」をさらに不自然に短縮して「珠ちん」にしたせいで、他の美しくない意味と勘違いされやすくなった」。
雨月「ひょっひょっひょ」