夕月夜「御姉様、一万円以上持った状態で神保町に近づくなと、あれほど言っていたのに!」
星月夜「本日神保町に来たのは、古本を買い漁るためではない。もうすぐ改築されてしまう現在の学士会館に記念に泊まっておくためだ。実はキミの分の部屋の予約も勝手ながらしておいたのだ」
夕月夜「キャッ。これは「ゆうべはお楽しみでしたね」の予感」
星月夜「さあ、チェックインだ」
夕月夜「ルンルン」
星月夜「屋上もいいね」
星月夜「部屋はどこかな~?」
星月夜「いい雰囲気の部屋じゃ~」
夕月夜「西洋風で、私好み」
数時間後。
夕月夜「御姉様、喉が乾いたので近くのコンビニに買い物に行きたいですわ~」
星月夜「ここ、門限が24時なので、無理」
夕月夜「ムム! では館内で自販機を探すので、付き合っていただけます? ゴーストとか出そうで一人では怖くて」
星月夜「いいよ~。でも多分そういう物品は、学士会館の重厚な雰囲気を壊すだろうから、置いてないと思うぞ」
予想通り見つからず、仕方なく自室で熱い緑茶を飲んで我慢をする夕月夜。やがて夜が明けた。
星月夜「いい記念になったね。学生時代を思い出したかね?」
夕月夜「ええ、思い出しましたとも。ただし学士号を取るための楽しい大学生時代のほうではなく、寮則で雁字搦めにされていた、あの辛い高校生時代のほうを」