第一の仮説を語った前回に続き、「オルストフ」の名に込められた意味を探りま~す。
「オルストフ」には、第二に、ギリシア神話の"Όρθρος"(オルトロス)または"Όρθος"(オルトス)の意味が含まれている可能性がありま~す。テュポーンとエキドナの間に生まれた犬で~す。様々なゲームで登場するので、その名を聞いたことのある方も多いと思いま~す。
オルトロスの父であるテュポーンと、オルストフがあがめるナドラガ神との間には、強いイメージの重なりもありま~す。
テュポーンはゼウスとの戦いに一度は勝利し、ゼウスを無力化したものの、やがて逆転されて、エトナ火山の下敷きにされたといわれておりま~す。一説には、タルタロスという異次元空間に封印されたともいわれておりま~す。
ナドラガ神も、異世界に封印されていますね。特に頭部は、炎の領界に封印されていま~す。
「ゼウスの無力化」に相当するのは、グランゼニスの長い休息でしょうね。「グランゼニス」の「グラン」の部分は「荘厳な」を意味する形容詞"grand"であると思われますので、名前の中核部分である「ゼニス」は「ゼウス」とほぼ同じで~す。
不思議の魔塔の本棚やオルストフの蔵書やエジャルナの子供向けの絵本の内容を総合するに、かつてナドラガ(≒テュポーン)は増長して親であるルティアナおよび兄弟である六大種族神に戦いを挑み、グランゼニス(≒ゼウス)を無力化するところまで追い込んだものの、最後は生き残った五大種族神によって異世界に封印されてしまったのだと思われま~す。
その時の戦いを描いたと思われる壁画が、グランゼニスを祭った古い神殿にありますね。
次にwikimediaのこのページで、テュポーンの有名な絵をごらん下さい。
どうです? 構図からしてほとんと同じですよね。
テュポーンのイメージが投影されたナドラガ神の創った種族の長の名前として、テュポーンの息子であるオルトロスが採用されたというのは、かなり自然であると思うので~す。
夕月夜「中々面白い説ですが、弱点もありますね~。オルトロスの飼い主であるゲーリュオーンって、アストルティアではせいぜい中堅モンスターの名前ですよ~」
星月夜「う~ん……」
(以下、2021年3月29日追記)
本文中にあるテューポーンの絵の写真へのリンクは、これまでギリシア語のwikipediaのページを活用していましたが、本日wikimediaに変更しました。