1.クオードの語源、通説の確認
クオードの最大の語源は、音楽用語で「和音」を意味する"code"(コード)であるといわれていま~す。
姉のメレアーデも音楽用語が語源であり、またディアンジやザグルフを上手に活用して個々人では生み出せない優れた効果を生み出しているので、妥当な解釈といえましょう。
ただ星月夜は、ダブルミーニングやトリプルミーニングの可能性も考え、クオードについてさらなる探求を進めました。
以下の章はその成果で~す。
2.「苦、負うど」
ツイートですでに結論だけは発表していた説で~す。
日本の方言では、終止形のあとに「ど」をつけることで強調や推量を意味するケースが多いで~す。
よってクオードを「苦、負うど」と解釈すると、「この者は苦しみを背負うことになるであろう」という予言が誕生の時点でなされていたことになりま~す。
本来ならただのダジャレとして自己評価が低くなりそうな説ですが、クオードの人生が実際に苦闘続きであったことや、エテーネ王国が国名を作るときですら異界の言語を大胆に取り入れた国であることなどを考えると、この説も決して無視できないのではないかと考えておりま~す。
3.原点たるラテン語に帰る
クオードの父のドミネウスも先祖のレトリウスも、名前が初登場した時点で指摘したとおり、ラテン語系の語源によるラテン語風の人名の人物で~す*1。
だからクオードについても原点であるラテン語の世界に戻って考えてみることにしました。
すると意識的になっていたおかげか、ツイッターでDimpleさんがラテン語の関係代名詞の"quod"に言及しているのを発見できました*2。そして「これだ!」と思いました。
"quod"は"qui"の中性形の主格または対格で~す。「~するものは」と訳されるケースが多いですが、端的に「それは」と訳されるケースもありまして、その場合は日本語では英語の通常の代名詞"it"とほぼ区別ができませ~ん。
ここで思い出したのが、児童虐待を描いた有名な作品『“It”と呼ばれた子』で~す。
クオードもまたドミネウスからネグレクトをされていたことが、「ドミネウスがしてくれた親らしいことはチェス盤を買ってくれたことだけ」という設定から明らかで~す。
すなわちドミネウスにとってクオードとは、指針書のせいで仕方なく結婚した相手との間に生まれた厄介者であり、「それ」かせいぜい「何かをする人」程度の存在だったのでしょう。
4.改名の動機になった可能性も
これらの語源をクオード本人が意識していたならば、知り合いのいない2000年後の世界に行ったとたんに改名をしたのも当然で~す。
「自分はもう部下に頼らない。苦しみを背負うという運命にも抗う。漠然と「何かをする人」なんかではなく、明瞭に「あの日に帰る」という目的を持った人なのだ!」という決意表明と考えられま~す。
ὅπερ ἔδει δεῖξαι.