ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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「味方には攻撃が当たらない」という世界の大原則の研究 & そこから見えてきた神明裁判の研究

1.戦闘関連の世界観の原則の確認

 『ドラゴンクエストX』の世界では、爆発などの範囲攻撃の範囲に味方がいても、その味方に被害が決して出ない仕組みになっていま~す。呪文や魔術的な特技のみならず、大砲のような物理的な爆発の中でも、味方は無傷で~す。

 どういう原理かは不明ですが、「そういう摂理の世界なのだ」と考えるしかないですね~。

 本日はこれに関する考察記事を書きま~す。

2.最初の研究課題

 4.4で登場した対銀甲の凶蟲兵団戦のバザックス(以下、「ダバム戦のバザックス」と表記)は、防衛軍の味方をして、凶蟲兵団と戦ってくれま~す。

 そして同じく4.4で登場した対ゴレオン将軍戦のデスストーカー(以下、「ゴレオン戦のデスストーカー」と表記)も、冒険者の味方をして、ゴレオン将軍と戦ってくれま~す。

 しかしながら両者には決定的な違いがありま~す。

 バザックスはシステム上も完全な味方として認識され、こちらの攻撃を浴びせられないどころか、回復や強化の対象にすらなりま~す。

 一方でデスストーカーは、当人の行動こそこちらの利益になるものばかりですが、システム上は敵として認識され、攻撃の対象となりま~す。

 また冒険者視点でのデスストーカーと似た立場なのが、ゴレオン視点でのしのどれいですね~。しのどれいからゴレオン将軍を攻撃することはないのに、なぜかゴレオン将軍の範囲攻撃は彼らを巻き込んでしまいま~す。

 こうした例外的事態を上手に説明してみようというのが、最初の研究課題でした。

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3.比較研究による原則の修正

 さて、4.3までで明らかにされていた世界でも、敵対する二大勢力の両方からちゃんとダメージを受ける「第三勢力」がいました。

 魅了状態のキャラ・黒蛇鬼アクラガレナが倒れる前の嵐魔ウェンリル(以下、「三つ巴中のウェンリル」と表記)・ウェンリルが倒れる前のアクラガレナ(以下、「三つ巴中のアクラガレナ」と表記)で~す。

 一方、たまに味方を攻撃するのに第三勢力とはみなされず、味方からは攻撃の対象にならないのが、混乱状態のキャラで~す。「準第三勢力」とでも呼んでおきましょうか。

 そして上記の第三勢力と準第三勢力につき、ある瞬間の敵対度だけを比較する表を作ってみました。そして味方にとって攻撃の対象となる存在を赤く塗ってみました。

※瞬間敵対度100 通常の敵魅了状態の味方 

※瞬間敵対度50 混乱状態の味方・混乱状態の敵三つ巴中のアクラガレナ三つ巴中のウェンリル

※瞬間敵対度0 通常の味方・ダバム戦のバザックス・魅了状態の敵ゴレオン戦のデスストーカーゴレオン戦のしのどれい(ゴレオン視点)

 こう見ると、「味方には攻撃が当たらない」という世界の大法則としっくり合わない組み合わせが、ゴレオン戦だけではないことがわかりますね~。

 つまり、「味方には攻撃が当たらない」という大法則は、その瞬間に敵対的行動をどれだけとっているかで機械的に判定されるのではなく、長期的な信条も加味して判定されているのでしょう。

 「その瞬間の態度と長期的な信条とを総合考慮して味方と判定された者には攻撃が当たらない」と、法則を修正してみました。

 こう考えると、当初は例外に思えたゴレオン戦の現象も原則に落としこめそうで~す。

4.ダバム戦とゴレオン戦の比較

 前章の結論を前提に、ダバム戦とゴレオン戦を比較してみましょう。

 ダバム戦の舞台となるチョッピ荒野は、元々バザックスの居住地なので、彼らは死活問題として凶蟲兵団と戦ってくれているのでしょう。この本気度によって、システムから完全に防衛軍の味方として認識されたのでしょう。

 ゴレオン戦で「獄囚の徴集」で登場するしのどれいたちについては、元々「獄囚」なので、魔族における「罪」を犯した罪人たちで~す。何らかの理由で一時的にゴレオン将軍の味方をしたとしても、決して魔族の正統派に心服していないために、ゴレオン将軍の範囲攻撃に当たってしまうのでしょう。

 ここまでは完全に、「その瞬間の態度と長期的な信条とを総合考慮して味方と判定された者には攻撃が当たらない」に上手に落としこめました。

 デスストーカーについては、彼の動機はよくわかりませんが、おそらく本心から冒険者と手を組んだわけではないということなのでしょうね。

5.神明裁判の一定の有効性

 「その瞬間の態度と長期的な信条とを総合考慮して味方と判定された者には攻撃が当たらない」という法則から、メインストーリーを回顧してみると、それまで不合理や理不尽に思えた神明裁判関連の事案の評価が変わりました。

 まず4.0の黄金刑についてですが、ベルマの「足元の釜に 飛び込んで もし釜が お前に構成の可能性を 見出したなら その場で釈放だ」という発言は、単なる建前や方便ではなかった可能性が高まりました。

 世界の大法則が「その瞬間の態度と長期的な信条とを総合考慮して味方と判定された者には攻撃が当たらない」である以上、本心から反省して今後は公の法に服すると誓った者には、執行人の「どうぐ→黄金刑の釜→つかう」による攻撃が無効化されるということもあるのかもしれませ~ん。

 また4.3で、長らく国民から不人気であったウルタ皇女が長らく国民から人気であったグルヤンラシュを処刑したとき、言論統制がほとんどなかったのにも関わらず、グルヤンラシュ擁護論がその同情者からも聞かれなかった件も、それなりに整合性がつけられそうで~す。

 「国家元首自らが死刑を執行したのであれば、国家に忠誠を尽くす者には攻撃が当たらないはず。グルヤンラシュがウルタ皇女に銃殺されたということは、仮に前皇帝暗殺が冤罪だったとしても、どうせ他にロクでもないことを考えていたのであろう」ぐらいの感想を皆が自然と持ったのでしょう。

 魯迅は『阿Q正伝』で、「冤罪」という発想を持たない愚昧な民衆の感想として「被枪毙便是他的坏的证据:不坏又何至于被枪毙呢?」という文を書きました。青空文庫の井上紅梅訳*1では「ぴしゃりと殺されたのは阿Qが悪い証拠だ。悪くなければ銃殺されるはずが無い!」となっていま~す。

 4.3をプレイ中は、ウルベア帝国民をこの『阿Q正伝』の民衆と同レベルに思っていましたが、4.4のダバム戦とゴレオン戦の体験から始まった研究の末、彼らへの評価を改めました。

6.神明裁判の限界

 ただしこの神明裁判には限界もありま~す。

 「その事件については冤罪であり、普段の行状も総じて善人だが、王や死刑執行人を個人の立場で憎んでいる」という人には、そのまま攻撃が当たってしまいますからね。

 またドミネウス王とベルマのコンビのように公権力自体が不正である場合に、神明裁判が暴走したら目も当てられませ~ん。