1.クエスト紹介
自然遺産保護区の2号観測小屋のC134から、クエスト「それは訪れる」を受注しました。
3号観測小屋まで行って、行方不明のC132とC133を探してきてほしいとのことでした。
3号観測小屋に行くと、まず影のようなものが大急ぎで去っていき、C133はメモを残して去っていきました。
情報を総合するに、C133は「それ」が来るから喜びの園に行くようでした。
これをC134に教えたところ、ジェリーマンを倒してカードキーを入手してゴミ処理場のロックを解除してC133を救うよう頼まれました。ゴミ処理場が「喜びの園」ってどういうことでしょうね~?
あと、自分でそれをしない理由は、複製体はジェリーマンとだけは戦えないからなのだそうで~す。
こんなに強そうなモンスターの存在を知っていながら、ジェリーマンとだけ戦えないということは、戦闘力が問題なのではなく、心情的な苦手意識のせいなのでしょうね~。
ジェリーマンを倒すとカードキーが入手できましたが、裏にC132と書かれていました。うわ~、先が読めてきましたね。
ゴミ処理場では、服の切れ端がむなしく落ちていました。報告するとクリアーで~す。
C134によると、複製体には一人一つずつ顔アクセ「Cの聖印」が与えられており、その効果は約100年とのこと。そして効果が切れると、ジェリーマンになって理性も失ってしまうのだそうで~す。だからそうなる前に自発的に自殺すれば、肉体は土壌を豊かにする肥料となり、精神は喜びの園でパルミオに会えるのだそうで~す。
そういう社会だったところ、100年前にC141が永続的な権力者に就任すると、他の複製体に付け替え用のCの聖印を与えたのだそうでした。
でもC132とC133の二人は、それがパルミオの教えに反するのではないかと悩み続け、ついに二度目の延長を拒否した。それがつい先ほど起きた事件だったようで~す。
なお、Cの聖印を付け替え続けても永久に生きられるというわけではなく、いつかは寿命が待っているという話もしてくれました。
そしてどうやら複製体たちは寿命分のCの聖印は持っているらしく、C133が使わなかった聖印は余り物として星月夜にくれました。
2.天才パルミオ博士の非情な制度設計
パルミオ博士が、本来なら200年以上生きられる複製体を作っておきながら、あえて100年の寿命しか許さなかったのはなぜでしょうか?
おそらくは、終身独裁者の登場を防ぐためでしょう。
複製体たちが長く経験を積みすぎると、本体よりも賢くなり、C141のようにバイロゴーグ細胞を摂取しなくても、自然に主客が転倒してしまいま~す。
実際に200年ぐらい生きると、C132とC133のように多数派と違う個性的な思考法をする者も出てきたわけですから、さらに生きれば生きるほど個性が増大し、イレギュラーな存在になっていくことでしょう。
とはいえ、パルミオ博士が追いつめられていた時期は、民主主義では乗り切れない状況下でもあったわけで~す。
こういう課題を乗り切るための方法が、独裁者を作るけれども、同時にまた「独裁者が自発的に10年で辞任し、元老となった後も100歳になる前に自発的に死ぬ」という制度を担保する宗教も作ることだったのでしょう。
ドワーフ族にしばしばみられる、自然科学しかできず社会科学の知見が浅い、いわゆるマッドサイエンティスト的な人物では、「人造独裁者が永久執権したら危険だな~」という発想自体がわきません。
また仮にそういう発想がわく科学者でも、社会科学の素人であった場合には、「とりあえず複製体の寿命を短くする努力をし、できなかったら諦める」ぐらいの意識を持つのが関の山で~す。
しかしパルミオ博士は、社会科学の天才でもあったので、自らを神と擬することで1000年続く安定した制度を構築したのでしょう。
この種の、神話を利用して社会を末永く統御する完璧な制度を作る奇跡の天才を、ルソーは「立法者」と呼びました。パルミオ博士も、この立法者の一人といえましょう。
しかしながら、社会科学を極めた末に、少数を大胆に犠牲にするという、ある種の狂気に至ったともいえますね。「マッドサイエンティスト」ではなく、「マッドソーシャルサイエンティスト」とでもいいましょうか。
つまりパルミオ博士は、全体の幸福のために複製体に「私たちは幸福だ」と1000年間思い込ませて利用し続けた天才でした。
そして、C141は全体の幸福のために「原始種」に「私たちは幸福だ」と100年間思い込ませて利用し続けた小天才でした。
両者は本質的に同じような存在であり、立法者としての才能に約10倍の差があっただけだともいえますね~。
なのでC141が最終的に「パルミオ2世」を名乗ったのは、当たり前といえば実に当たり前であり、皮肉といえば実に皮肉で~す。
3.プクランドの歴史は繰り返す
過去にもプクリポ族同士の政争として、より多くの民を疫病から守るためには罹患者を大胆に追放するパルカラス王と、より多くの民を疫病から守るためにはアルウェ王妃やパクレ警部を踏み台にするフォステイルとが、互いの正義を賭けて争ったという事例がありま~す。
こういうイデオロギーの人物がプクリポ以外にも存在することはシオドーアの例からも明らかで~す*1。
でも、対立した二大イデオロギーの正体が両方とも結局は露骨な「少数を大胆に犠牲にしよう」というものだったという歴史が、これほど頻繁に繰り返されているのは、プクリポだけですよね~。