0.はじめに
昨日の記事で、「羅睺羅」という単語を扱いました。
この単語は普通名詞としては「障害」という意味にもなり、そう解釈する限りではおおむね悪でありま~す。
そういう普通名詞としての悪い「羅睺羅」の影響を受けて創作されたのが、先祖のラゴウ・ラゴラを含めたラゴス一族であるというのが、昨日の記事の主張でした。
しかし一方で、仏教で「羅睺羅」を固有名詞として扱う場合には、これはおおむね善い存在なので~す。
「羅睺羅」と名づけられた釈迦の息子は、父が出家者であるため実家に置き去りにされたような立場でした。しかしやがて釈迦が悟りをひらくと、自分もまた出家をして個人の資格でその一弟子となり、師弟の立場で釈迦と関係を再構築しま~す。そして血縁に頼らずして釈迦の十大弟子の一人という地位を得たので~す。
『ドラゴンクエストX』には、この固有名詞としての善い意味の「羅睺羅」の影響を受けたキャラもいるのではないかと考えて、探してみました。
1.ラグアス王子
そして発見したのが、ラグアス王子でした。早口だと容易には「ラゴス」と区別できない、あのキャラで~す。
最初にして最大の根拠はやはり発音の類似性ですが、「出家」というか「家出」をして偽フォステイルとなってから個人の立場で父に会いにいったりと、人生上の類似点も多々ありま~す。
2.両者の父も似ている
そしてその「父」ですが、ラグアスの父であるプーポッパン王の設定は、羅睺羅の父である釈迦の影響が感じられま~す。
星月夜の説では、「仏陀」をもっとも色濃く反映したキャラはスキルマスターであるのですが*1*2、プーポッパン王にも釈迦の設定の一部が色濃く反映されていると思うので~す。
以下、共通点を強調してこの二名の紹介文を書いてみましょう。
※釈迦
釈迦は本来は贅沢ができる王子であったが、出家をした。
邪魔な息子との縁も一度は切った。
その後は無駄に苦行をして体をボロボロにした。
しかし苦しいだけの修行が間違いだと気づき、悟った。
悟った後は息子と関係を再構築した。
「死」や「愛別離苦」などの苦しみは諦めるしかないなどの思想を後世に伝えた。
祖国の滅亡は阻止しきれなかった。
彼の唱導した思想を体現した図は、八方向に輻が広がり回転する法輪である。宗派によっては八葉の蓮華も使われる。
※プーポッパン王
プーポッパン王は本来は贅沢ができる王であったが、自らを犠牲にして魔瘴の調査をした。
息子との縁も一度は切れた。
その後は無駄に魔瘴を浴びて体をボロボロにした。
しかしイッドの言いなりの魔瘴対策が間違いだと気づき、反省した。
反省した後は息子と関係を再構築した。
「尽きた命を 呼びもどすなど 天の理に反することを してはならん」という思想を遺した。
祖国の滅亡は彼自身の手では阻止しきれなかった。
彼がその自己犠牲の思想を実践しようとした場は、八方向に葉が広がり回転するキラキラ大風車塔である。