※本説の概要
4.5前期メインストーリーの後日談*1で紹介したとおり、5000年前の大エテーネ島の住人は、島ごと一気に5000年後に来た人々と、他の地に移住した人々とに分かれました。
移住組は東の小エテーネ島に渡った自由人の集落の先発隊が主流派であり、そしておそらくは浮島の住民たちの多くもそこに加わったものと思われま~す。
自由人でも浮島の住民でもないのに珍しく小エテーネ島に移住できた人物としては、夜逃げをしたラゴウ隊長がいました。
本日は「このラゴウ隊長こそがラゴスの先祖となった」という説を発表しま~す。
根拠は以下に記載しま~す。
※根拠1.名前が一族ぐるみで似ている。
「ラゴウ」と「ラゴス」、単に名前が似ているだけでもそこそこの根拠にはなりま~す。
ただし「ドミネウス」の子が「クオード」であるなど、親子でまったく違った名前をつける家系もあるので、これだけではかなり浅い根拠で~す。
この点、ラゴウ隊長の甥は「ラゴラ」であり、一族ぐるみで似た名前を名乗る家系である可能性が高いで~す。
これで格段に強い根拠となりま~す。
※根拠2.仏教面でのつながり
要約すると、「カンダタは元ネタの"Karma A Story of Buddhist Ethics"では仏教の「無我」を理解できずに苦しんだ人物でしたが、『ドラゴンクエストX』においてはそれをほぼ乗り越えた人物として描かれており、元ネタ版のカンダタの非仏教的側面はラゴスが演じている」という内容のものでした。
この記事では、「そして「ラゴス」の語源には諸説ありますが、もしも漢訳仏典における「羅睺羅」であった場合、その本来の意味である「釈迦の成道の障壁」が全力で発揮されたといえま~す」と書きました。羅睺羅とは釈迦の息子の名前でもありますが、これは息子の存在が修行の邪魔であることからきているともいわれておりま~す。
また「クエスト「奇妙奇天烈な武器」、かなり簡単に終わりました」という記事では、「「ラゴラ」といえば、釈迦の息子「ラーフラ」の漢訳「羅睺羅」の日本語読みですね~。でもそういうネタは一切ありませんでした」と書いてしまいました。今思えば、本稿の説はこの時点で思いつくべきでした。
「ドラゴンクエストXのラゴスは、仏教における失敗例を象徴」・「漢訳仏典の羅睺羅は仏教における障壁も意味する」・「「羅睺羅」は日本語では「らごら」と発音する」・「ラゴラはラゴウの甥」というこの四つの命題をつなげると、「ラゴウ隊長はラゴスの先祖」説につながりま~す。
※根拠3.不要物マニアという共通点
ラゴスは、風車のカギなんていう、直接的には金にならないものを盗んでいました。しかもそれを使って次は社会的に価値のあるガンガン電池を入手して売ったりとかもせず、ずっと手元に置いておいたせいで、結局取り返されてしまいました*2。
カンダタにとって世界の100大秘宝が大事であるように、ラゴスには風車のカギとかがなぜか大事なのでしょう。
ラゴウ隊長も「わくわくコレクション」で、妙な不要物を集めていましたね~。
ラゴラも多少はその血をもっているのか、役立たずとされた武器に強い関心を示していました。
※根拠4.筆まめという共通点
若き日のラゴスは全13章という膨大な内容の漆黒のノートを綴っており、それが後々の敗因にもなりました。
ラゴウ隊長も王都に大量の手紙を送っていました。
※根拠5.「大盗賊の伝説」の主要キャラたちの法則
「大盗賊の伝説」の主要キャラたちは、先祖または過去の自分と強い因縁を持っていました。
カンダタは先祖のジンダタの偉業を再演し、リルグレイドは過去の自分と同じくアストルティアからの援軍に敗北し、カグヤ=ムーンは先祖と似たような目に遭い、ペリポンは先祖のプロッペの作品を改造しました。
そうなるとラゴスにも何か強い祖先との因縁があった可能性が高いで~す。
この根拠は薄弱なので単独ではほぼ無意味かもしれませんが、他の強い証拠にさらにもう一つ積み重ねる分には、多少の意味があると思いま~す。
※根拠6.不自然な逃亡劇
ラゴウ隊長は嫌われキャラで、新たな隊長代行のローベルは好かれキャラなので、ラゴウ隊長が地位を失いローベルが後継者になる物語を後日談に入れること自体は、プレイヤーを楽しませる要素として自然で~す。
しかし、隕石が百年後に墜落するが「直ちに影響はない」という状況下で、海流のせいで外部との連絡も困難な謎の未開の島の開拓団の、それも先発隊のほうにいきなり加わるというのは、臆病者という設定にしては少々不自然で~す。
また仮に本当に隕石をとことん怖れていたならば、東の島なんかよりもレンダーシア大陸本土の内陸部にまで逃げるべきでしょう。
よってこれはおそらく、物語内においても、運営の決断というメタ的な意味においても、「歴史の復元力」が作動したのでしょう。
「ラゴウ隊長またはラゴラがラゴスの先祖」という裏設定が物語内にあって、運営内部でもそれが共有されていたのに、4.5前期メインストーリーが大エテーネ島ごと住民が現代に来るという話になったので、ラゴウ隊長とラゴラの少なくとも一方を島の外に行かせる物語が必要になったのでしょう。
歴史の復元力によって脳を汚染されたラゴウ隊長は、自分では臆病者の自分に似つかわしい行動をしているつもりでいながら、実は勇敢な行動をしてしまっていたというわけで~す。
これに似た例が、改変後の歴史におけるアストルティア博物館の設立で~す。
自分の見た悪夢の内容を展示した博物館を作ってしまうだなんて、芸術家や非常識な権力者ならともかく、良識ある政治家である普段のラグアス王子ならば到底やらない行為で~す。これも、改変前の歴史では常識的な理由で同じ展示の博物館を建てていたので、歴史の復元力の力を受けてしまい、非常識な行動をとってしまったのでしょう。
この種の例を見せつけられた後だと、以前批判したヨンゲ所長の「メガロダインを開発して脱走されてしまった」という行為*3も、エテーネの歴代の諸王の数々の歴史改変のせいであって、本人の自由意志によるものではない可能性が高いと思うようになりました。
みなさんのそばにも、急に説明のつかない愚行を始めた人、いませんか? ひょっとしたらそれは、どこかで誰かが歴史を変えたせいかもしれませ~ん。