ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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古代魔族たちの語源の考察 & レギルラッゾにもようやく曙光が見えてきました。

1.古代魔族の語源の仮説のまとめ

 聖守護者の敵である古代魔族については、冥骸魔レギルラッゾ以外は一応自分なりに最低限の納得のいく仮説を持っていました。どれも本当は他にもっと崇高な語源があるのかもしれませんが、少なくともそれぞれ一つは納得のいくものを見つけておりま~す。

 ここでまとめておきましょう。

※羅刹王バラシュナ

 これについては、「聖守護者の闘戦記を『ラーマーヤナ』で解釈してみました。するとガートラントと「守護」の相性の良さの理由まで見えてきました」という記事で書いたとおり、おそらく「ラーヴァナ」が最大の元ネタであろうと考えています。(その後、名前だけは異母兄の「ヴァイシュラヴァナ」こそ最大の元ネタと考えなおしました。詳細はリンク先記事にて)

※獣魔ローガスト

 狼のような外見をしているので、「ロー」は多分「狼」。霧や煙のようなシャドーウィスパーとか使ってくるので、「ガスト」多分"gust"。

※紅殻魔スコルパイド

 サソリを意味する英語"scorpion"(スコーピオン)か、その古形であるラテン語"scorpio"(スコルピオ)や古典ギリシア語"σκορπίος"(スコルピオス)を中心に、「~に似たもの」を意味する"-oid"(オイド)をつけて発音を少し変えたのではないかと、考えていま~す。

※翠将鬼ジェルザーク

 これは肩書から「水晶」や「緑の水晶」が匂わされており、ジェルソルジャーをどんどん呼ぶので、しばしばいわれている「ジュエルがザクザク」という単純な説で一応納得していま~す。

※剛獣鬼ガルドドン

 「ガルド」は「聖守護者」や「ガートラント」にちなんで、「護衛」などを意味するフランス語"garde"(ギャルド)の可能性が高いですね~。「剣王ガルドリオン」の「ガルド」もほぼ間違いなくそうでしたし*1

 「オドン」は多分「メガロドン」や「プテラノドン」の「オドン」と同じく、学名で「歯」を意味する"odon"だと思いま~す。歯をむき出しにしてましたからね。

雨月「「学名で」とは随分曖昧な言い回しやな~。具体的に何語や?」

星月夜「一応は、古典ギリシア語の「歯」の単数主格よ」

雨月「前に姐さんに習った古典ギリシア語では、歯の単数主格は"ὀδούς"(オドゥース)やなかったか?」

星月夜「標準的とされるアッティカ方言の古典ギリシア語ではそうなんだけど、イオニア方言では"ὀδών"(オドーン)なのよ。そして生物分類学は私も専門外なので詳しい理由は知らないんだけど、学名で古典ギリシア語を使って「歯」を意味したい場合には、イオニア方言が使われることがなぜか多いのよね~」

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 平嶋義宏著『生物学名辞典』(東京大学出版会 2007)の610ページより。

星月夜「学名で使う単数主格・単数属格・語幹のうち、「歯」に関してアッティカ方言とイオニア方言で異なるのは単数主格だけなので、一回覚えてしまえばもう迷わないわよ~。

雨月「でもこういう慣習は面倒やな~。きっと他にもあるんやろうな~」

夕月夜「エセ関西弁の達人なんだから、それぐらい我慢しなさいよ~」

暁月夜「ちなみに現実の地球では、新しい学名用の造語のために「オドン」と組み合わせる単語を探す場合、同じ古典ギリシア語の中から選ばないと馬鹿にされるから、注意が必要だ」

2.レギルラッゾ探訪

 レギルラッゾについてだけは、登場からそろそろ二年経つというのに、「こじつけ」レベルの仮説すら生み出せませんでした。

 仕方がないのでレギルラッゾの語源をツイッターで聞いてみたところ、「きゅろ@ゲーム垢」さんから「イタリア語でラッゾrazzoはロケットやロケット弾、狼煙」という情報が寄せられました*2

 この場を借りて改めて御礼申しあげま~す。

 そこでまずは自分の持っている池田廉編集『伊和中辞典』第2版第10刷(小学館 2009)の1255ページで裏を取ってみたところ、本当でした。

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 そしてこの"razzo"は、以下に見るように二通りの意味でラギルラッゾとつながっていましたので、語源であるという確信を持てました。

3.「ロケット」としてのラッゾ

 レギルラッゾのまめちしきに、「地上世界の星空に魅せられ」とありま~す。

 ロケットは、星空に魅せられた者たちの力が開発・改良を後押ししてきました。

4.「狼煙」としてのラッゾ

 「狼煙」は賢い人ほど二文字でまとめて「のろし」と呼んでしまいますが、これをあえて「狼」・「煙」と分けてみましょう。

 「狼」の音読みは「ろう」。「ろう」は発音上は「ロー」で~す。

 「煙」といえば、"gust"。すなわち「ガスト」で~す。

 これで相棒の「ローガスト」とつながりました。

 第1章で発表したローガストの語源についての説についてまでも、ますます自信が出てきました。

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5.「レギル」はまだ模索中

 「レギル」の語源については、まだ自分で納得できるものが見当たらないので、模索中で~す。

 「レジェレ」という、一応発音の上で近そうな"leggere"(読む)や"reggere"(支配する)を見つけましたが、イタリア語の動詞の原形は「~すること」の意味にできても、「~する人」の意味にはできないので、あまり適当とはいえませんね~。

 「レギル」に「~の愛好家」みたいな意味がある言語が見つかれば、前述の「ラッゾ」の二つの意味と融合させることで、「レギルラッゾ」には「星空に魅せられたロケット愛好家にして、ローガストの親友」という意味が一気にできあがるのですが、未発見の状態で~す。

 誰か見つけたら教えてくださ~い。