0.はじめに
前半では、幻界王の首かざりの説明文に関する運営のミスについて、それがどの程度深刻なミスであるのかを丁寧に説明しま~す。
そして星月夜は修正後の説明文にすらなお不満があるので、後半ではそれについて語りました。
1.実装までに起きた問題の紹介
幻界王の首かざりについては、2021年8月18日放送「超ドラゴンクエストXTV 9周年特番」で発表したアイテム説明欄の記載と、実装後の記載との間に乖離がありました。
運営は「「幻界王の首かざり」のアイテム説明欄の記載について(9/23 6:17更新)」という文章で一応の謝罪をしていますが、この文章には「正しくは「強さを低下する攻撃から身を守る不思議な首かざり」となります」という修正後の説明文だけが記載されており、比較すべき元の説明文が掲載されていないので、どの程度深刻なミスだったかがわかりにくくなっておりま~す。
そこで有名なホイミソ堂さんの記事「問題対応とは何だったのか!唐突に行われた緊急メンテについて解説」を参考に、事前に発表されていた説明文を紹介しま~す。当時は「悪い効果に かかりにくくなる 不思議な首かざり」だったようで~す。
2.その深刻度の分析
この表記ミスの何が一番の問題なのかというと、今まで使われていた言葉の定義から推測される効果が違ってくるということで~す。
「悪い効果」という表現は盾スキルのまもりのたての「聖なる光で 悪い効果から 自分の身を守る」という説明文にも登場するので、ベテランほど「あの装備で防げる効果は、まもりのたてと共通である可能性が高い」と推測しがちになるので~す。
さらに「各弱体系耐性」を高めるラッキーペンダントの説明文が「強さを低下させる さまざまな攻撃に 強くなる首かざり」であるので、ベテランであるほど「同じ首アクセのラッキーペンダントの説明文と表現を完全に変えたということは、その装備の効果は各弱体系耐性とは別物である可能性が非常に高い」と推測しがちになるので~す。
「8月18日以降にクローバーのカギを買ったりふくびきけんを貯め込んだりした人たちは、どの程度可哀想な立場か?」の議論に加わる場合、まずはここまでの知識を抑えておく必要がありま~す。
3.個人的になお残った不満
幻界王の首かざりの説明文の問題については、運営の謝罪を契機に「被害自体はもう終わっており、現在は「あるべき補償」の多寡を論じる段階だ」という立場に移行した人が非常に多いで~す。
しかしここでもう一度、同じ部位で同じ効果を防ぐラッキーペンダントの解説文の表現と比較してみましょう。
※ラッキーペンダント「強さを低下させる さまざまな攻撃に 強くなる首かざり」
※幻界王の首かざり「強さを低下する 攻撃から身を守る 不思議な首かざり」
特に理由もなく表現を変えているため、初めて読み比べた人は少しギョッとなることでしょう。そして表現の微妙な違いに深い原因があるかもしれないと考えて二つの装備の効果を丹念に比較をすることで、時間を大幅に無駄にしてしまいかねませ~ん。
変更された表現で特に酷いのが、「強さを低下する」という部分で~す。
現代の標準語で「低下する」を他動詞として使うという例は、そうそう見かけませ~ん。「クーラーで室温が低下する」とか「私はクーラーで室温を低下させる」とかいうことはあっても、「私はクーラーで室温を低下する」なんて普通いいませ~ん。
永澤済氏の論文「漢語動詞の自他体系の近代から現代への変化」(『日本語の研究』第3巻4号 2007)によると、漢語に「する」をつけた「漢語動詞」の中には現在でこそ自動詞専用動詞であっても近代初頭には自他両用動詞であった単語もあるらしいので、ひょっとしたら古い文献や方言をうんと探し回れば他動詞としての「低下する」も発見できるのかもしれませ~ん。でも本章で論じている問題がそういう特異な用例をもって正当化できるケースではないことは、常識としておわかりいただけると思いま~す。
4.結論としての主張
運営は幻界王の首かざりの説明文を、ラッキーペンダントの説明文にさらに近づけるべきであり、特に「強さを低下する」の部分は最優先で修正すべきで~す。