0.はじめに
今年は卯年ということで、題名の通り、最初の考察記事はウサギに関するものとしました。
1.「大盗賊の伝説」の過去の研究のおさらい
1-1.「大盗賊の伝説」は最初から最後まで「仏教」
これについては過去記事「サブストーリー「大盗賊の伝説」の解釈 その2 「"the illusion of self"としてのリルグレイド」説 これでリルグレイドの設定・カンダタの特技・漆黒のノートの意義を全部まとめて説明できちゃいました」で語ったとおりで~す。
「大盗賊の伝説」シリーズはカンダタが"The illusion of self"から解脱するまでの物語であり、「漆黒のノート」を読めばわかるようにラゴスとはその失敗例である、というのが記事の主張で~す。
この観点でのラゴスの元ネタは「羅睺羅」で~す。
1-2.「大盗賊の伝説」は最初から最後まで『竹取物語』
カグヤ=ムーンが登場するのは第3話「カンダタ月へ行く」からですが、「「大盗賊の伝説」における『竹取物語』の影響の検証 その1」・「その2」で語ったように、第1話からずっと『竹取物語』の名場面のパロディが大量に登場していました。
夕月夜「この二つの研究には大いに納得しておりま~す。しかしだからこそ、もう一つ一貫性のあるテーマを入れるなんていう神業、運営ができたとは思えないで~す」
星月夜「ふふふ~、ところがその神業が存在したんだな~」
2.「大盗賊の伝説」は最初から最後まで「ウサギ」
2ー1.第2話「入団! カンダタ団」の「ウサギ」
ウサギを模したバニースーツを着た月の住民が登場するのは第3話からでしたが、第2話にもウサギは登場していました。
それはラゴスで~す。
現代ギリシア語で「ウサギ」は「ラゴス」(λαγός)と発音しま~す。そのまんまですね。古典ギリシア語でも「ラゴース」(λαγώς)で~す。
2-2.第1話「大盗賊登場」のウサギ
第1話でもウサギは登場していました。
それはラグアスで~す。
ラグアスに"r"音を一つ加えると植物の属名である「ラグラス」になり、これは語源の意味でも和名でも「ウサギの尾」になりま~す。
月の秘宝を求めるカンダタが登場するだけの話ならば不要な、「メギストリスの宝物庫から古文書が盗まれた」とか「キラキラ大風車塔でバトル」といった要素をわざわざ入れたのは、古文書や大風車塔の所有者であるラグアスの存在を示唆するためであったと考えるならば納得がいきま~す。
夕月夜「かなり納得がいきました。特に「ラゴス」のほうは発音がそのままだったので。でも「ラグアス」のほうは「ラグラス」と若干発音が違うので、何かもう一つぐらい証拠がほしいで~す」
星月夜「任せなさ~い。次章でラグアスがラグラスであることをより強く証明してみせましょう」
3.ラグアスは1.0メインストーリーの時点で「ウサギ」
3-0.総論
以上の考察が正しいとすると、ラゴス同様に、ラグアスは「羅睺羅」でもあり「ウサギ」でもあるということになりま~す。
このうち「羅睺羅」の影響についてはすでに過去記事「普通名詞としての羅睺羅の影響を受けたのはラゴス一族。では固有名詞としての羅睺羅の影響を受けたキャラは…?」で証明しておきました。1.0メインストーリーの時点でラグアスは羅睺羅でした。
そして後述するように1.0メインストーリーの時点で「(月の)ウサギ(の尾)」でもありました。
3-1.1.0のウサギの尾
ラグアスはフォステイルに変身していますが、そのフォステイルとは"k"音を一つ加えるだけで"fox tail"(キツネの尾)になる人物で~す。
運営がこの人物の顔をわざわざプレイヤーに解放されていない狐顔にし、この人物の名前としてわざわざ発音しやすい「フォスティル」を避けたのは、強烈に「キツネの尾」のイメージを持たせたかったからである可能性が高いで~す。
なぜ強烈に「キツネの尾」にしたかったかというと、当然ながら「ウサギの尾」が「キツネの尾」に変身をする物語を描くためだと思われま~す。
3-2.1.0の月のウサギ
次に「月のウサギ」というと、『今昔物語』の「三獣行菩薩道兎焼身語」に登場する帝釈天が化けた老人を養うために自分の命を捨てようとしたウサギが、日本では一番有名で~す。
そしてラグアスも自分の命を捨てて老父の命を救おうとしていました。
夕月夜「非常に納得がいきました。今年はよい卯年になりそうで~す!」
卯の花月夜「まさかフォステイルが「フォスティル」ではない理由までわかる記事とは思わなかったわ。やるね、星ちゃん」
暁月夜「一つのシリーズに三つの暗号を埋め込んだ運営も偉大よの。いや、しっかり探せば第四の暗号まであるかもしれんぞ」