『アストルティア創世記』の年表を読むと、ゴフェル計画から五種族が帰還したばかりの「5000年前」の時期の話題のほとんどは、人間の話題で占められていま~す。人間が災厄の王の襲来をどうしのいだかは明記されていませんが、他の種族より痛手が少なかったことがここから推測されま~す。
おそらく五種族は、「魔瘴の活性期」に耐えられるだけの文明や頭数を用意できず、少し発展しては滅亡寸前になるということを繰り返していたのでしょう。
しかし「4000年前」の時代には、人間も衰微していたようで、目立った活躍はみられませ~ん。そんな中で、ドワーフの三闘士がドワチャッカ大陸を大規模に開拓したそうで~す。
そして「3000年前」の時代になると、ドワーフの一人勝ちの様相が見られま~す。
ドワチャッカ大陸に三つの国が作られま~す。旧ドルワーム王国・ウルベア地下帝国・ガテリア皇国の三国で~す。
一般に「帝国」や「皇国」という表現は、王より偉いとされる人物が元首である国を意味しま~す。単なる誇大な自称であることもありますが、三国鼎立時代に旧ドルワーム王国を無駄に刺激するような自称をすることは考えにくいで~す。また先走ってウルベア・ガテリアの元首が皇帝を称したとしても、ドルワームにそれと対抗できるだけの実力があったならば、すぐに自分たちの王の称号を皇帝へと昇格させたことでしょう。地球でも、後漢滅亡後に魏と蜀漢という二つの帝国が争ったとき、呉の孫権はしばらくは王としてへりくだっていたものの、やがて三国鼎立状態が安定して既成事実となったのを見極めると、皇帝を称して堂々たる第三勢力になりました。
よって名実ともにウルベア・ガテリアはドルワームをはるかにしのぐ超大国だったのでしょう。
しかしそうなると不思議になってくるのは、「ドワチャッカ大陸三国時代」と公式年表に書かれていることで~す。
つまり、三国の力が実質的にほぼ同等だと考えると名目上の二強一弱が不思議だということになり、三国の力が実質的に二強一弱だとすると時代区分の名称上の三国同格が不思議だということになるわけで~す。
星月夜はこの矛盾を、「ドワチャッカ大陸内での領土面積においては三国はほぼ同格であり、海外領土の面積においては二強一弱であった」という仮説で乗り越えました。これならば、歴史家がドワチャッカ大陸限定の時代区分をつくるさいには「三国時代」と呼んでもおかしくはないし、同時代のドワーフが「ウルベアとガテリアの元首は皇帝で、ドルワームの元首は王にすぎない」という格づけをしていてもおかしくはありませ~ん。
地球にも類例がありま~す。たとえば西暦1560年ごろのフランス以西のヨーロッパ大陸の地図だけをみると、フランス・スペイン・ポルトガルが有力な三国であり、ポルトガルはむしろ一番狭く感じられま~す。しかしこの時期のスペインとポルトガルは全世界に莫大な領土をもっていたので~す。イギリスとフランスが事実上地球を二分していた1900年ごろの世界の情勢も、ヨーロッパの地図だけを見ていたのではわかりませ~ん。
おそらく3000年前の世界において、ウルベアとガテリアは世界を二分していたのでしょう。そして、この時期の人間たちは勇者を中心にグランゼドーラ王国を建てていますので、レンダーシアだけは過去の遺産と勇者の戦闘力によってかろうじて独立を保っていたと思いま~す。
そんな時期に登場したのがグルヤンラシュで~す。グルヤンラシュは姦策によってウルベア・ガテリア間の戦争を起こし、ガテリアを滅ぼし、ウルベアも間接的に滅ぼしました。ドワーフにとっては悪そのものですね~。
でも、グルヤンラシュがオーガ・ウェディ・エルフ・プクリポにとって悪だったかというと、そうとはいいきれませんよね。おかげでドワーフから独立できたのですから。一方で善ともいいきれませ~ん。ドワーフの超文明のおこぼれにあずかれなくなったのですから。
ドラゴンクエストX アストルティア創世記 (SE-MOOK)
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