星月夜「夕月夜~、ジパングのカムシカに会いに行かないか~い?」
夕月夜「え~! ジパングにもカムシカが生息しているんですか~?」
星月夜「正確には、「シンロク」と読むのが一般的な「神鹿」なんだけどさ~。「カムシカ」と和訓で読んで同一視したほうが楽しいじゃん」
夕月夜「奈良とかにいる神社の鹿ですか。なんか遠そうで~す」
星月夜「それが首都圏にもいるんだな~」
夕月夜「そういうことならお供しましょう」
星月夜「小田急線湘南台駅で降りました~。ここからのんびりと東南のほうに歩いていくと、カムシカのいる神社があるんだよ~」
夕月夜「わくわく」
夕月夜「地図上の距離では何てことなかったですが、随分と坂道が多いですね~。軽い登山みたいな状況で辛いで~す」
星月夜「は~い、着きました。相州春日神社。奈良の春日大社の分霊を祀っているのよ~」
夕月夜「首都圏では珍しいカムシカのいる神社という当初の触れ込みにしては、随分と山奥にある小さな神社ですね~。その一方で朱塗りの門はかなり豪華で~す。ちゃんとカムシカを食べさせていけてるのかしら?」
夕月夜「カムシカさんたち、元気そうで何より~。それにしてもやっぱり周囲の風景と溶け込んでない気がしますね~」
星月夜「昔はこの周辺に「横浜ドリームランド」っていう遊園地があったらしくてね。元々はその一部だった施設が、のちに宗教法人として独立したのがこの神社らしいのよ。夕月夜が感じたそこはかとない違和感は、多分そういう経緯のせいだわ~」
夕月夜「付近で変な高い建物を見つけました。さらに場違い感が強いで~す。あれは新興宗教?」
星月夜「あれも元は横浜ドリームランドの関連施設「ホテルエンパイア」だったらしいわよ」
夕月夜「ここから同じルートを引き返すのも退屈ですね~。いっそさらに東南に歩んで、JR線の大船駅に行きませんか? 一度あの辺りで見ておきたかったものがあるので~す」
星月夜「いいわよ~。何かな何かな~?」
つ~づ~く~。