ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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児童文学『ユリエルとグレン』がラダ・ガートとガミルゴの物語に与えた影響についての考察。そしてユリエル君の正体とは。

0.はじめに

 本稿では、石川宏千花著『ユリエルとグレン』がラダ・ガートとガミルゴの物語の元ネタの一つではないかという仮説を発表しま~す。

 なお、『ユリエルとグレン』のユリエル・グレンをそのまま「ユリエル」・「グレン」と表記し、『ドラゴンクエストX』の両者を「ユリエル君」・「グレン(王)国」と表記しま~す。

1.『ユリエルとグレン』内容紹介

 『ユリエルとグレン』は題名どおりの名前の二人の兄弟を主役とする物語で~す。兄のグレンの髪は赤く、弟のユリエルの髪は金色で~す。

 二人はヴァンパイアの襲撃で孤児となり、さらにグレンは自身がヴァンパイアになってしまいま~す。血縁らしい血縁はほとんど交流のなかった叔父のトリストラム神父だけとなりま~す。

 そこで二人はグレンを治す手がかりを求めて旅に出ま~す。ヴァンパイアになったために不老不死になったグレンのほうが、数年後には外見上はユリエルの弟のようになりま~す。

 途中で出会う敵は、ヴァンパイアだけではありませ~ん。親しい人を守るために重大な犯罪を平気で犯す人間とかも登場しま~す。

 そして二人はやがてヴァンパイアハンターになりま~す。

 この物語のヴァンパイアは、部下に狼男がいるなど、過去の諸作品に見られる典型的な側面も持ち合わせていま~す。しかし本来は異世界を故郷としているなどの独自設定もありま~す。

 全三巻ですが、最大規模の戦いは二巻の「山狩り」で~す。

2.類似性の研究

 『ユリエルとグレン』の設定は、『ドラゴンクエストX』に影響を与えた可能性が高いで~す。

 とりわけ「ユリエル」は、今でもユリエルに守られているガートラント国の初代国王ラダ・ガートに影響を与えた可能性が高く、「グレン」はグレン国の王ガミルゴに影響を与えた可能性が高いので~す。

 以下、類似点を列挙していきま~す。

 ラダ・ガートもガミルゴも孤児としてバグレア教会で育ち、同日に旅に出ました。

 当時の二人の人脈として確認されているのは、後に神父となる弟分のオッドのみで~す。

 ガミルゴが王となったグレン国はすでに長い歴史のある国でしたが、ラダ・ガートが建てた後発のガートラント国はやがてグレン以上の大国となりました。

 ガミルゴが出会う敵は、魔界から来たラズバーンや魔瘴だけではなく、シオドーアのように親しい人々を守るためにクーデターを起こした人間なども含まれていました。

 やがてガミルゴは自身が魔物になりかけたので、先手を打って自ら石化しました。なので今でも当時の姿のまま残っておりま~す。しかも子孫のルシェンダまでもが外見上は不老で~す。

 ラダ・ガートの最大の戦いは、鬼神の大岩跡地である山での羅刹王バラシュナとの戦いで~す。

 この羅刹王軍の幹部には、狼である獣魔ローガストがいましたし、また「ブラッドウェーブ」と「深紅の陣」という一見無意味に「血」を強調した技を使ってくる紅殻魔スコルパイドもいました。

 あ、スコルパイドは「紅蓮の熱波」もしてきましたね。

 この戦いには金髪のユリエル君もガートラント国側についたようで~す。

3.『X』のユリエル君の正体

 『ユリエルとグレン』の設定が『ドラゴンクエストX』に影響を与えたという上述の仮説を前提に、次は『X』のユリエル君の正体を考えてみました。

 ここで星月夜が考えたのは、『X』のユリエル君とはラダ・ガートそのものなのではないか、ということで~す。

 最初に思いついた根拠は、「『ユリエルとグレン』のユリエルの立場がラダ・ガートに似ているのだから、いっそユリエル君も単なる媒介ではなく直接的影響を受けた本人ってことにしてしまおう!」ぐらいのものでした。

 しかしその後、新しい根拠に出会えました。

 長らく「魔封剣姫について」という質問にけんもほろろだった魔封剣姫について、クエスト「雪山の守り人」でその正体がほぼ明かされました。そしてこのクエストをクリアーすると、それまで事実上無意味だった「魔封剣姫について」という質問に魔封剣姫は真面目に答え始めるようになったので~す*1

 これってユリエル君にだっていつ起きてもおかしくない事態だと思いました。

 ユリエル君は魔封剣姫と同じく登場時点のエンドコンテンツ関連の謎のキャラクターで~す。そして「ユリエルについて」という質問事項が存在するものの、はぐらかすような回答によってそれは今のところ事実上無意味な項目になっていま~す。

 でも運営があえてそんな項目を設けているということは、魔封剣姫と同じくいつかはそれを使って正体をばらす予定なんじゃないでしょうかね~?

 これでかなり自信を深めていたのですが、ラダ・ガートがどうして正体不明の人間族風の精霊らしき者に転生したのかの説明だけができませんでした。

 そんなとき、ツイッターで相互フォローをしているアレンティさんが、まったく別の方向からやはり「ユリエル君の正体はラダ・ガート」説にいきつき、かつ「災厄の王と謎の少年の関係」という類例が過去にあったことを指摘してくれました*2

 「神に近い偉大な王は自分の肉体から理性を切り離しそれを人間の子供の姿に具現化させることができる」というのがアストルティアの設定である以上、ラダ・ガートがユリエル君になっても何もおかしいことがないと、これでようやく自分でも納得がいきました。

 以上、『ユリエルとグレン』の設定と『ドラゴンクエストX』の設定の類似性、魔封剣姫とユリエル君の立場の類似性、アレンティさんの先行研究の三点から、「ユリエル君の正体はラダ・ガート」仮説を自信を持って主張いたしま~す。

 そして最後になりましたが、アレンティさんに感謝で~す。

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(2022年12月10日追記)

 正体についての考えが変わりました。詳細は本日の記事で。