ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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クロニコの正体と目的を今こそ考える。

0.はじめに

 2.1後期以来、主人公との共同研究を通じて5000年前の世界の歴史を探求し、「5000年の旅路」の予告編的な機能を果たしてきたヒストリカ博士ですが、いざ4thディスクの物語が始まるとほとんど活躍の機会はありませんでした。

 今ではヒストリカも助手のクロニコもすっかり「過去の人」の扱いで~す。

 しかしながら星月夜は、まさにそうした傾向自体も一つの資料として使いつつ、「ヒストリカとその研究とは何だったのか?」について考察を深めていました。

 そうするうちにクロニコこそが真の重要人物であるという疑惑が深まっていきました。

 本日は彼の正体と目的について考えたことを発表したいと思いま~す。

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1.出発点はクロニコの名前

 クロニコの語源としては、クエスト「流星の追憶」の紹介記事で、「年代記」を意味する英語の"chronicle"(クロニクル)を挙げました。

 しかし発音上の類似性を考えるに、直接の語源はこの単語の先祖であるラテン語の"chronica"(クロニカ)であると今では思っておりま~す。意味はやはり「年代記」で~す。

 そしてこの単語をさらに遡ると、古典ギリシア語の時間の神"Χρόνος"(クロノス)に行きつきま~す。

 これは4thディスクのラスボスである時見の箱ことキュロノスの語源でもありま~す。

 こういう名前を持つ人物が、4thディスクの予告編的な物語に絡んだのが、ただの偶然である可能性は低いでしょう。

 そこで「彼もまた何らかの意味でキュレクスの関係者の一人であり、何らかの目的のためにヒストリカを利用している」という仮説を立て、これを出発点とすることにしました。

 なおクロニコの名前についてはのちにもう一度検討するので、覚えておいてくださ~い。

2.ヒストリカの業績から考える、クロニコの目的

 クロニコがキュレクスの関係者でヒストリカを利用していると考えた場合、その真の目的のための手段はヒストリカの業績で~す。

 そのヒストリカの業績から考えると、クロニコの目的はパドレの子に5000年前の歴史と自分の出自を自然な形で伝えることにあったかと思われま~す。

 そのようにすることで、5000年前の世界での冒険やパドレとの和解が容易になり、少しでも主人公のキュロノスに対する勝率が上がるとでも考えたのでしょう。

 4.0になる前にヒストリカの研究の進展が止まったのも、クロニコが主人公に伝えたかったことが全部伝わったために、影ながらの研究への助力を中止したのだと考えれば、納得がいきま~す。

3.直接本人が活躍しない理由

 クロニコが主人公に4.0の予習をさせる使命を帯びていたとして、なぜ自身で主人公に伝言をするという直接的な手段を用いず、ヒストリカを利用するという間接的な手段を用いたのかを考えてみました。

 これはおそらく、クロニコ本人はキュレクスの分身ではないからでしょう。だから自力での時見や時渡りができず、使命についても大まかなことしか知らないがゆえに、「研究発表」の形で全世界に5000年前の歴史とパドレの子の名前を広めようとしていたのだと考えれば、辻褄が合いま~す。

 でも時渡りの才能のない者が時渡りをしたことで主人公の兄弟姉妹と同じく成長が止まり、「自身が普通に学校に通って、やがて大人の研究者としての資格と権威を得て、世間にメッセージを伝える」という手段が取りにくかったので、ヒストリカを利用したのだと思いま~す。

 「流星の追憶」*1でのメンカルさんによる評価などで表現される、クロニコの「年齢の割に大人びている」という設定は、実は主人公の兄弟姉妹と同じく「外見上の年齢の割に大人びている。なぜなら中身は本当に大人だから」という真相の伏線だったと考えれば、完全に辻褄が合いますね。

4.補強証拠としてのワラタローと黒衣

 この「ヒストリカは、クロニコの操り人形である」という仮説を補強してくれるのが、ワラタローで~す。

 運営はヒストリカと操り人形のワラタローの強い結びつきを何度も強調することで、「この研究者は操り人形であり、別に人形遣いがいるぞ」というヒントをくれていた可能性がありま~す。

 そして日本の文楽で黒い服を着て人形遣いをする人のことを、「黒衣(くろご)」といいま~す。「くろこ」という不正確な発音も流行しておりま~す。

 すなわち「クロニコ」には、ラテン語「クロニカ」の他に、日本語「くろご」または「くろこ」が元ネタとしてあると考えることができま~す。

 さらに、キュロノスの側には四体のプレゴーグを操る「黒衣の剣士」がいて、それに立ち向かう側にもライバルとしてヒストリカを操る「黒衣」がいると考えれば、非常に対称的な対立構造ができあがりますね~。

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5.傀儡としてヒストリカを選んだ理由

 クロニコが世界を破滅から救うために現代の学者を傀儡として利用するにしても、なぜそれがヒストリカでなければならなかったのか、という問題が出てきま~す。

 これについては「ヒストリカが、リンジャハルやパドレの研究者としてうってつけだった」という説明が可能で~す。

 学者に一つの研究テーマに打ち込ませるには、本人がその分野に強い興味を持たなければなりませ~ん。

 たとえばライバルのロッサム博士が「古き神の遺跡」の研究に打ち込んでいるのは、本人が神学者でもあるからでしょう。これについては以前「ロッサム博士の経歴について」という記事で検証しました。

 さて、『アストルティア創世記』の7ページによれば、リンジャハルは「町をおこしたのは、レンダーシア内海の航路を確立した「商売の怪物」と呼ばれる女商人」なのだそうで~す。

 ヒストリカは実家が貿易商であり、幼少期から貿易というものを肌で理解してきたからこそ、この都市の歴史をテーマに選ぶことへの敷居が低くなった可能性が高いですね~。そして貿易で栄えた海洋都市を研究することは、やがて研究者をやめて実家の貿易業者の役員になったあとも、何かしらの役に立つことでしょう。こうした人生設計における保険という観点も、頭の片隅にあった可能性がありま~す。

 そしてリンジャハルの歴史の中でも、ヒストリカがとりわけ最後の市長リンジャーラとその友人のパドレに関連する事績に惹かれていったのは、「友情」というものに強い興味を持っていたからで~す。

 クロニコまたは彼に使命を与えた者は、そこまで考えてヒストリカを選んだのだと思いま~す。

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6.クロニコに使命を与えたのは誰か?

 以上の仮説が正しいとして、クロニコに使命を与えて現代に飛ばしたのは誰でしょうか?

 まずキュロノスである可能性は低いですね。彼は時の異分子に邪魔されずに秘密裡に事を進めたがっていましたから。

 そしてキュレクスである可能性も低いで~す。彼は長年力を失っていて、それを取り戻した直後にキュロノスの野望を知り、そのまた直後に死にましたから。

 「ドミネウスの陰謀の正体に気づいた他の王族の誰か」というのも可能性が低いですね~。本人がエテーネ王族として時渡りができるなら、あえて一般人のクロニコを利用するという間接的な手法を採用する必要性が乏しいですから。

 「滅びの未来の回避のために活動していた時期のメレアーデ」も同様の理由から除外で~す。しかもその時点での彼女の場合は「主人公がパドレと和解」まではすでに確定事項でしたから、ますます可能性は低まりま~す。

 すると消去法で、「キュルルを手放す前の兄弟姉妹がキュルルに命じてクロニコに使命を与えて現代に飛ばした」というのが、一番可能性が高そうで~す。この人は滅びの未来の回避が必要なことを認識していた上、自身はエテーネ王族と違って好きな時代に自由に行けるわけではない体質でしたから、いかにもクロニコに頼りそうな立場で~す。

7.まとめ

 クロニコは、主人公の兄弟姉妹から滅びの未来を回避する使命を託されて、主人公に自然な形で4.0の予習をさせにやってきた別の時代の人物であり、そのために最適な藁人形としてヒストリカを利用していた可能性が高い。

 その証拠は、クロニコの名前・クロニコの外見と精神年齢の落差・ヒストリカの活躍時期・ワラタローである。

(2022年4月13日追記)

 兄弟姉妹が予習をさせたがる人であることの補強証拠の記事ができました。

ドラゴンクエストX アストルティア創世記 (SE-MOOK)

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