0.まえがき 芸術の分類の確認
芸術は一般に、小説などの「言語芸術」、彫刻などの「造形芸術」、音楽などの「音響芸術」の、三種類に分けられま~す。この中から二つ以上の要素を組み合わせた場合には「総合芸術」とされま~す。
現在のテレビゲームの大半は総合芸術で~す。たとえば『ドラゴンクエスト』シリーズは、言語芸術をつかさどる至高神ゆうぼんと造形芸術をつかさどるアキーラ神と音響芸術をつかさどるすぎやん神の合作で~す。
1.マデサゴーラの作品群を分類
マデサゴーラの作品には絵画・彫刻・ジオラマといったものが多いので、彼の芸術は造形芸術が中心で~す。
しかし偽のレンダーシアを創ったのちは、努力とギャンブルという自分の大好きなテーマを描いた『メタりんの願い事』を書いたり、努力もせずリスクも負わずに成功者になったネルゲルへの憎しみを投影した偽リンジャーラの手記を書いたりしているので*1、言語芸術家としての側面もそれなりにあるようで~す。
では音響芸術はというと、業績らしき業績はほとんど見かけませ~ん。唯一見かけたのが、創造神マデサゴーラとの戦いのフィールドで登場した謎の楽器で~す。
2.謎の楽器の活躍の記録
しかしこれがBGM『神に挑みし者』を奏でているというわけではないようで~す。
なぜなら以下の写真に見るように、「加速する世界」になって楽器の動きが激しくなろうが、「不浄なる世界」になって楽器の一部が消えようが、「混沌たる世界」になって楽器の全部が消えようが、『神に挑みし者』は普通に流れ続けるからで~す。
これが「加速する世界」の楽器の様子。初期状態より全体的に激しく動いてま~す。
これが「不浄なる世界」の楽器の様子。バルブの部分が消えてますね。
最後が「混沌たる世界」の写真。もはや楽器自体が存在しませんね。
3.謎の楽器の機能の比較研究
この楽器には一体何の意味があったのかを考えました。
まず「無意味」とか「ただの雰囲気作り」説の可能性は低そうですね~。
創造神マデサゴーラがあえて創生の霊核を後回しにしてまで勇者姫との戦いを優先したのは、自分自身の新しい能力を計測するためでした。戦闘には無駄な楽器を作ったり奏でたりするのに力を使ってしまうと、正確な計測ができなくなりま~す。
また雰囲気をうんぬんするのであれば、混沌たる世界でこそ怪しげな不協和音を奏でさせるべきでした。
ヒントとして思いついたのは、「恵みの歌」をウェナ全土に伝える装置「波紋の音叉」で~す。
キンナー調査員によれば「恵みの歌」には「水を清める」効果もあるわけですから、逆に音響によって「不浄なる世界」などを作ることもおそらくは可能なのでしょう。
なので楽器が消えた「混沌たる世界」こそが、あの空間のデフォルトなのでしょう。
そして「加速する世界」や「不浄なる世界」はもちろんのこと、戦闘の冒頭の「一見通常版の世界」もまた、楽器の音によって人為的に維持されている状態だったというわけで~す。
つまりマデサゴーラの芸術家人生が究極の完成に至るための最後の一押しである「創世の力」は、実はそれまであまり手を出していなかった音響芸術と密接に関係していたということになりますね。
4.そこから考える、大魔瘴期対策の一案
ここまでの研究成果を再確認しま~す。
本来はウェナ全土を豊かにできない「恵みの歌」も、波紋の音叉があればそれが可能になりま~す。
本来は「混沌たる世界」しか作れないか、もしくは作れるとしても巨大な楽器の急ごしらえ以上の何らかのハンディを背負う創造神マデサゴーラも、楽器があれば四種類の戦闘フィールドを使い分けられま~す。
この研究成果にもとづき、大魔瘴期を乗り切れるかもしれないアイディアを一つ思いつきました。
「本来は魔界の魔瘴には効かない」設定の聖別の詩歌も、適切な楽器の助力があれば、魔界の魔瘴に太刀打ちできるかもしれませ~ん。
雨月「波紋の音叉の存在や設定を活用している記事って、読むの初やわ~。メインストーリーに出てきたはずなのに、何で忘れられやすいんやろな~?」
暁月夜「ジュレットで青のキーエンブレムを入手するためには体験が必須の物語でありながら、後半の猫島の話と断絶しているというのが原因だろうな」
夕月夜「いっそサブストーリーだったならば、かえって記憶されたかもしれませんね~」