1.「まいど! きょうは だいこんが やすいよ!」
初代『ドラゴンクエスト』では、メルキドで「まいど! きょうは だいこんが やすいよ!」というセリフを聞けま~す。
これについては長らく、ただの雑談だと思っていました。
でもツイッターではすでに軽く触れたのですが*1、このセリフに隠された深い意味に気づきました。
これって、敵味方を区別せず攻撃するゴーレムが倒されたことで、周辺の農村との交易が大々的に始まったことを意味していたのではないか、と。
一応城壁の内側にも緑の地域が8マスあるので、それまでも農業が一切できなかったわけではないのでしょう。ひょっとしたら住民だけが知る隠し通路で、外部との細々とした交易もしていたかもしれませ~ん。それでもやはり野菜は貴重で高価だったと思いま~す。
それが急に正門から一気に大量に輸入できるようになったのですから、安くなるのは当然ですね~。
なお、だいこんを売る商人の付近にいる女性の「こんやの おかずは なんに しようかしら……」の発言も、急に食品の選択肢が増えたこの新情勢に対応しきれていないための迷いや戸惑いが表現されているのかもしれませ~ん。
2.では武器や防具ややくそうは、なぜ一物一価なのか?
前章の考察に賛同してくれたかたの中には、「需要と供給のバランスでだいこんの価格が変動するのならば、武器や防具ややくそうは、なぜアレフガルドでは常に一物一価なのか?」という疑問を持たれたかたも多いことでしょう。
まず「これらは軍需物資だから、ラダトーム王が物価統制令を出した。それに商人が盲従している」という第一の仮説を考えました。
しかしこれは正解の可能性が低いで~す。ファミコン版の説明書の24ページに、アレフガルドで値段の交渉ができない理由は「アレフガルドの商人はとても頑固」だからだと明記されているからで~す。もちろん「頑固に遵法している」という解釈も不可能ではありませんが、文脈上は却下すべきでしょう。
そこで「軍需物資だから、少し安くなるとすぐ権力が買ってしまい、値段が回復する」という第二の仮説を考えました。
冒険者であるプレイヤーにとってはいつでもどこでも同じ値段の武器や防具ややくそうのほうが馴染深いでしょうが、こういう特殊な物品に目を奪われすぎては経済の全体像は見えてきませ~ん。
生活に密着した「かぎ」・「宿泊料」・「だいこん」の値段に統一性がないことのほうにこそ、目を向けるべきなので~す。