0.はじめに
本稿の目的は、「魔王」という単語には二種類の異なる意味があることを証明した上で、それぞれの概念を精緻にするというもので~す。
「大魔王」についても似たような作業をしましたが、そちらは余談程度のものと考えてくださ~い。
なお魔界の制度はまだ明らかになっていない面も多いので、本稿の内容は5.2以降に覆る可能性も高いで~す。
1.二つの「魔王」概念の簡便な紹介
1-1.勇者システムにおける魔王
「魔王」の第一の概念は、『アストルティア創世記』25ページが語る勇者システムにおける「魔王」で~す。
外部からアストルティアに侵入すると勇者を発生させてしまうという、厄介なハンディを背負った者たちのことで~す。
1-2.社会制度としての魔王
魔界に存在する国の王を意味しま~す。
2.両者が別物である理由
まず強者の侵入に対応して自動的に勇者を生み出すようなシステムが、相手の社会的地位や称号まで勘案している可能性は低いで~す。
それに、もしも魔界での地位や称号に対応したシステムだったとしたならば、アストルティア内でネルゲルを生み出すような面倒なプロジェクトは不要で~す。強者は越境の瞬間だけ称号を「魔王」とは別物に変えればいいだけで~す。
また『アストルティア創世記』25ページでは「魔王」を「アストルティアの侵攻をもくろむ強大な魔族」と解説していましたが、5.0メインストーリーでは社会制度としての魔王たち三名のうち、「侵攻をもくろ」んでいたのは一人だけでした。
3.「勇者システムにおける魔王」をより精緻に考える。
一定以上の実力の魔族がアストルティアに来ると勇者を誕生させてしまう。その一線を越えた者が、「勇者システムにおける魔王」で~す。
ではその実力は具体的にどう計測されるかですが、「伸びしろ」が強く考慮されていることはほぼ間違いないで~す。
もしも境界線を越える瞬間の実力だけで判断されているならば、「遺伝的に考えてこいつは将来大物になる可能性が高い!」という少年少女たちをアストルティアに送り込むほうが、レイダメテスプロジェクトなんかよりもはるかに安上がりで~す。
またネルゲルにしても、大量の迷いの霧を発生させると一時的に弱体化してしまう設定があったのですから、勇者システムが伸びしろを考慮しないものだったならば、魔界で育てた後に一時的に弱体化させてアストルティアに送り込むこともできたことになりま~す。
4.「社会制度としての魔王」をより精緻に考える。
「魔界で国家元首なら必ず魔王だ」という立場を採用している人もいるらしく、そういう人はレジャンナの元首だったジルガモットさんを「元魔王」とみなしているようで~す。
でも『亡国の記憶 ~賢女の都レジャンナ~』では、ジルガモットさんを「最後の族長」と表記し、国家元首の家系を「族長の家系」と表記していま~す。
またイシュラースは「魔公王」でした。「公王」という称号は日本ではあまり一般的なものではありませんが、息子の称号が「魔王子」ではなく「魔公子」なので、どちらかといえば王より公爵に近いのでしょうね~。『機動戦士ガンダム』でも、「デギン公王」を頂点とする国が「ジオン王国」ではなく「ジオン公国」と呼ばれていま~す。
以上により、国家元首の中でも特に有力な者が、社会制度としての魔王なのでしょうね~。
ただし「有力」といっても、国の面積や人口や歴史の長さや大魔王からの評価などのしっかりとした基準があるのか、それともある程度曖昧さが残されているのかは、まだ不明で~す。
余談.二つの「大魔王」概念の紹介
余-1.社会制度としての大魔王
大魔王選定の儀でジャゴヌバにその地位を認められ魔仙卿から戴冠された魔族。魔王より偉いで~す。
余ー2.どうぐ大魔王
デルクロアが作った職の固有スキルを100まで上昇させると入手できる称号で~す。
余-3.両者が別物であることの証明
どうぐ大魔王の資格を得て5.0や5.1のメインストーリーで魔仙卿と会話しても、まだ大魔王ではないことを前提にしたセリフが返ってきま~す。