1.エジス紹介
この写真のNPCはエジスといいま~す。バージョン1.0からグレン城下町の西出口付近に立っていました。出口の先にあるいくつかのマップの名称とその地の敵の手強さを教えてくれるというごく普通の設定の人物なのですが、それにしては非常に贅沢な語源を持っていま~す。
2.語源分析
彼の最大の語源は、古典ギリシア語の"αἰγίς"(アイギス)で~す。60年前にナルビアの町にいた僧侶のアイギスと同じであり、これを英語読みすると「イージス」や「エージス」という発音に近づくので~す。この英語読みは「イージス艦」で有名で~す。
"αἰγίς"の語源をさらに遡ると印欧祖語"*h₂eyǵ-"にいきつきまして、これは「山羊」という意味になであるす。"αἰγίς"はこのため本来は「山羊皮の防具全般」を意味していたのですが、ゼウスやアテーナーの盾またはからだ上装備の"αἰγίς"があまりにも有名になったため、固有名詞としての意味も持つようになりました。
そしてもう一つの語源に日本語の「衛士」(えじ)がありま~す。これは重要施設を護衛する兵士の意味であり、ヴェリナードの「衛士団」にも採用されていま~す。
「神話化された防具」と「衛士」を語源に持つことで、グレンの西門の番人といったイメージが濃厚に出ていま~す。
3.エージス登場
バージョン2.1時代には真のアラハギーロの兵士詰所の本棚に『アラハギーロの歴史』という本が置かれ、アラハギーロの建国王がエージスであるとされました。
バージョン3.2時代には『アストルティア創世記』が発売され、エージスはアラハギーロ王国の前身である太陽の王国の建国王とされました。
過去記事「単語「アラハギーロ」の分析と、それを通じて類推した太陽の王国ならびにアラハギーロ王国の歴史」で書いたように、アラハギーロ関連では「アラハ」(神)や「クドゥス」(神聖な)といったセム語派の単語が多いのですが、彼の名は上述のようにインドヨーロッパ語族の単語で~す。だからいかにも「その地にあとからやってきた流れ者」のイメージがありま~す。やがて旧勢力である夜の民を滅ぼす新興勢力の創始者にふさわしいといえましょう。
こうして「アイギス」以上にエジスに似た名前の人物が新たに登場したことで、アストルティアにおいて"αἰγίς"を語源とした命名が流行している可能性がさらに強まりました。
4.アイギスの守り登場
バージョン3.3時代には盾のスキルとして「アイギスの守り」が登場しました。
こうして「地球と同じく、アストルティアにおいても「アイギス」は防御と深い関係がある単語だ」というのが公式設定となりました。
「アイギス」・「エジス」・「エージス」らの名は、物語内部においても防御を意味することになりました。
日本語に超訳すると、まさに「衛」(まもる)さんたちで~す。